先週土曜のN響Aプロを鑑賞し、今月のBプロとCプロは期待できませんので、私的なN響の今シーズンの定期演奏会が終わりました。N響が先週から「最も心に残ったコンサート」のファン投票を開始しています↓。

今年も昨年に続き、私的な心に残ったベスト3とワースト1を勝手にブログしたいと思います。昨年のブログはこちらになります↓。

今シーズンは、ブログに書いていない公演を含めて、7割くらいのN響定期演奏会にいきましたが、昨年のブロムシュテットとフェドセーエフの来日中止の影響や、昨年秋の海外オーケストラの来日ラッシュで10月から12月のN響にはあまり行きませんでした。今回のアンケート結果は、入場数の多いAプロ12月(完売公演)の「千人の交響曲」が1位になる可能性がありますが、筆者の感覚ではそうではありません。当ブログの評価点数で言うと満点(五つ星)はソヒエフ指揮の1公演、次の四つ星は9公演、三つ星が7公演、二つ星が1公演、最低の一つ星が1公演と、今シーズンのN響は海外オケと引けをとらない素晴らしい公演が多かった印象です。例えば、昨年11月のベルリン・フィルの東京公演を5回鑑賞しましたが、満点は1回だけでした。ウィーン・フィルの来日公演・定期公演・ザルツブルク公演も満点はありません。

*日本の音楽評論家のような忖度を一切しないランキングです。私的なランキングですので、偏見も入っているかもしれませんが、ご了承ください。


1位: 2024年1月Aプロ・ソヒエフ指揮(1/14)

この2日目のコンサートは収録されていませんが、ソヒエフの指揮はカメラが入っていない時の方が良い意味で暴れやすく、このAプロの2日目が今シーズンNo.1でした。ソヒエフ得意のフランス音楽が思う存分に出ていたと思います。収録・放送されている1日目もなかなか良かったです。

曲目
ビゼー(シチェドリン編)/バレエ音楽「カルメン組曲」
ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」
ラヴェル/バレエ音楽「ラ・ヴァルス」

指揮 : トゥガン・ソヒエフ


2位: 2024年5月Aプロ・ルイージ指揮(5/11)

昨シーズン開幕のヴェルディ・レクイエム以来、ルイージ公演はイマイチでしたが、このレスピーギを中心としたコンサートはピカイチでした。会場がNHKホールでしたが、360度からのサウンドはライブでしか味わえません。しかも、↓この時のブログのアクセス数が1万くらいになりまして、クラシック音楽のブログとしては異常値でした。

曲目
パンフィリ/戦いに生きて[日本初演]
レスピーギ/交響詩「ローマの松」
レスピーギ/交響詩「ローマの噴水」 
レスピーギ/交響詩「ローマの祭り」

指揮 : ファビオ・ルイージ


3位: 2024年1月Bプロ・ソヒエフ指揮(1/24)

ソヒエフのロシアもの・フランスものはお得意であることは明確でしたが、モーツァルトやベートーヴェンのような古典派やドイツもの(ブラームスなど)で良い公演を聴いたことがありませんでしたが、この公演は期待以上でした。モーツァルトのコンチェルトでの郷古さんと村上さんの相性は抜群でしたし、ソヒエフの「英雄」の解釈は秀逸でした。NHKでの放映のインタビューでもこの点は確認できました。N響Bプロでは珍しい現象として、カーテンコール中にソヒエフの指示で楽団員とPブロックに向かって拍手に応えていましたが、オケとの関係性の良さも感じられます。この収録のソヒエフのインタビューについては、下記の「ソヒエフvsマケラ」のブログに書きました↓。

曲目
モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K. 364
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

指揮 : トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン : 郷古 廉(N響ゲスト・コンサートマスター)※
ヴィオラ : 村上淳一郎(N響首席ヴィオラ奏者)


3位: 2024年2月Bプロ・カサド指揮(2/15)

3位にもう一つあげたいのがこの公演です。エラス・カサドのスペイン音楽も良かったですが、ソリストのハーデリヒのプロコフィエフのコンチェルトを聴くと、今シーズンのNo.1ソリストだったと思います。ハーデリヒはこのプロコフィエフの第2楽章が最も美しいと言ってますが、それが体感できます。この時の映像は保存版にしていますが、ハーデリヒのコンチェルトの後とアンコールの後に、N響メンバーらが拍手と足踏みをしながら、笑顔で絶賛しているシーンを見ると、このヴァイオリニストの異次元の素晴らしさを確認できます。先週土曜の反田恭平公演のN響メンバーの反応とは大違いでした。ハーデリヒは来年6月に来日しますが、おそらく、再来年あたりにN響と再演すると思います。ちなみに、ソリストの2位はブフビンダー(24年5月Bプロ)、3位がペトロヴァ(23年12月Aプロ)になります。



曲目
ラヴェル/スペイン狂詩曲
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
ファリャ/バレエ音楽「三角帽子」(全曲)*

指揮 : パブロ・エラス・カサド
ヴァイオリン : アウグスティン・ハーデリヒ
ソプラノ : 吉田珠代*


ワースト1位: 2023年9月Bプロ・コープマン指揮(9/20)

この公演は筆者のツレも怒り出したくらい酷い公演でした。ウィーン・フィルのコンマスが「モーツァルトの交響曲は歌うこと」と言ってましたが、この公演の歌い方が美しくありませんでした。読響からのゲストコンマスのリードも良くない理由の一つでした。モーツァルトの交響曲は簡単そうで一筋縄にいかないことも認識しました。曲目解説も含めて整ってなかったので、Bプロ公演に対する期待度が低くなりました。

曲目
モーツァルト/交響曲 第29番 イ長調 K. 201
モーツァルト/フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K. 314
モーツァルト/交響曲 第39番 変ホ長調 K. 543

指揮 : トン・コープマン
フルート : 神田寛明(N響首席フルート奏者)

と言うことで、ソヒエフ贔屓と思われるかもしれませんが、実際の投票結果もソヒエフが評価されると思います。来シーズンの見どころは以前、ブログしました↓。注目公演はAプロに固まっています。指揮者・曲目やソリストの観点ですとAプロが圧倒的に良く、Cプロは2時間制に復活しますが、低調だと思います。


本日もお読み頂き、ありがとうございました。