〈あらすじ〉
博麗神社の掃除をやらされた…
幻想郷は朝を迎える。山から覗き込む太陽の日差し、鳥たちの鳴き声、爽やかな風が木の葉を揺らす
その頃博麗神社では…
修「…」
霊「…」
香「…」
3人が3人とも、同じ寝室で寝ていた
香「んー…修一ぃ~…(ギュ」
修「…んん~…」
香奈が寝返りを打つと、そこに修一がおり、上から覆いかぶさって抱きつく形になってしまった。羨ましい、羨ましいぞ、修一
カシャカシャッ…
?「おぉ、これはなかなかいい記事になりそうですねぇ、修一さんの名はそこそこ知られていますし…さて、誰か起きる前にとっとと退散しますか」
修「…(あれ、か、体が動かない…まさか、これが金縛り!?まてまてまて、落ち着け…)」
霊「…んー…あら、もう朝…」
霊夢がこのタイミングで起きてしまう。そして当然のごとく、修一と香奈の様子が目に入る霊夢
霊「…(カチン」
布団から出た霊夢は、修一の枕を掴み、強引に取り上げる
修「ッ!!?」
香「わッ!?」
修一の起きた衝撃と共に香奈も目覚める
修「あれ…香奈…何してんの?」
香「え?…ひゃあッ!?すす、すいません!」
寝起きとは思えないスピードで香奈が修一の上から降りて離れる。そんなに速く離れられたら嫌われてるみたいで嬉しくないな…
修「まあいいけど…」
霊「朝からラブラブね。全く」
霊夢は上から目線で見下ろしながらそうつぶやく
修「ら、らら、ラブラブって!?ぶはッ!」
ま、枕を顔面に投げつけるな!!
香「(カァァァ…」
修「お前も赤面するなよ…はぁ…」
修「うーん…」
香「どうしました?」
朝食を食べながら修一は考え込んでいた
修「なんていうか…こう…どうやってあんな体制になったんだろうなって…ある意味すごいよ…上に覆いかぶさるなんて」
香「は、はは…」
霊「あ、そうだ修一、実は食べ物ほとんど切れちゃったのよ…ってことで何か買ってきなさい」
修「命令形!?」
霊「悪い?」
修「自分で行け!」
霊「嫌よめんどくさい。お金渡すから、早く行ってきて」
そう言うと霊夢は服のポケットの中から硬貨を取り出して修一に渡す
修「自分で行けって!!」
霊「巫女には巫女の仕事があるのよ~。あーもうこんな時間じゃなーい、境内の掃除しないとー、きゃー忙しー(棒」
…もういいよ、俺の負けです
修「…えーと、米はあるのか?」
霊「あるわー、味噌も醤油も、あと砂糖も塩も…調味料は切れてないわ」
修「わかった~…買いに行く代わりに、今日ご馳走してくれよ?」
霊「はいはい、じゃあいってらっしゃい」
香「行ってきまーす!」
…え?
修「あ、来るんだ」
香「悪い?(ドヤァ」
なんだお前それ、霊夢の真似かそれ。あとドヤァって感じで見られても困る
人里に着いた。うん、確かに着いた。でもなんか…里の人が凄いジロジロ見てくる…これは一体…
とりあえず…大根とか人参とか、その辺の野菜を買うか…野菜野菜…八百屋だな
修「すいませーん」
八百屋「はいいらっしゃい~」
店の奥から店主らしき人が出てくる
修「えーと…大根と人参と…」
店の品を全て見終わる前に、自然と口が動く
八百屋「兄ちゃん、今は冬や。だから今美味いのは人参じゃあねえ、白菜とか里芋。他にはゴボウとかやな。大根は合っとるけどな」
修「あ…じゃあ…白菜と大根で」
八百屋「はいよ~!…ん?兄ちゃんどっかで見た顔やなぁ…はて、どこで見たんやったかな…」
…どっかで見た顔?俺そんなみんなに顔が知られるようなことしたっけ…あ、あの異変か…
香「修一さん、早く買おうよ~」
俺も早くしたいよ…そう思った時、八百屋の店主が「そうや、思い出した!」と叫ぶと、急いで店の奥に駆け込んで行った
修「…何を思い出したんだろ…知りたくないよ~知りたくないよ~…」
しばらくすると店主が新聞を持って戻ってくる…新聞?まさか…
予感的中…「文々。新聞」でした
八百屋「そうそうそう、この熱々カップルの修一君…やな?」
そう言って、八百屋の店主はその新聞を見開いて修一に見せつける。そこに写っていたのは、修一と、その修一の上に覆いかぶさった香奈の姿だった。そう、今朝の状況の写真だ
修「文のヤロォォォォ!!!!」
文「ヘクショッ…誰か私の噂でもしたんですかねぇ…」
八百屋「…いきなり大声出すんじゃないよ兄ちゃん。ま、元気がある分いいってことや!はははは!!」
修「あの野郎…土下座…してもらわねぇと…」
香「(し、修一さんの髪が赤く…!)は、はは、や、八百屋さん!とりあえずお代です!!それじゃあ!!」
香奈が修一の代わりに代金を払い、買ったものを持って、修一の腕を掴んでその場を駆け足で去っていった
博麗神社へ向かう道(空?)中…
香「…大丈夫ですか?」
修「土下座してもらう…ふふ、倍返し…いや、十倍返s」
香「大丈夫みたいですね~よし帰りましょ~」
修「…香奈」
博麗神社に着き、居間でくつろいでいる香奈に話しかける
香「何ですか~?」
修「お前さ…なんで抱きついてたんだ?」
香「…無意識です」
修「無意識…はぁ…これもう、幻想郷中に知れ渡ったぞ…誤解も解けそうにないな…あーちくしょー…」
香「き、気にしないで下さい!そ、そんなことより今日の晩御飯は…」
霊「鍋よ~、丁度冷えてきたしね」
霊夢が台所から、鍋を持ってやってくる
修「おー、美味そうだな~!」
霊「あんたたちにも食べさせないといけないから、いっそのこと鍋にしたわ。買ってきてくれたものも大根と白菜だし。豆腐もあったし」
香「んー!最高です~!」
修「霊夢、ありがとうな!」
霊「こっちこそ、買い物ありがとう」
修「んー…」
香「あれ~?…」
霊「…なんか変ね…」
なぜだろう、あまり美味しくない…
修「霊夢、これ、大根と白菜と、あと豆腐…だよな?」
霊「そう…だけど…」
修「…昆布出汁とか…そういう出汁は使ったか?」
霊「…出汁…あー、使ってないわ」
修「それが原因だろ…味が薄い…というかほぼ無いぞ…」
霊「いいじゃない、素材そのものの味を楽しみましょうよ」
呑気なこと言ってる人が1人いるよ…
香「それもいいですね~」
2人でしたね。はい。
修「はぁ…ポン酢でも作ろ…」
といって修一は、能力を使ってポン酢を作り出した…
霊「…何それ毒?」
修「ポン酢っていう外の世界の調味料。酸味があって美味いんだ。ってか毒な訳あるか」
瓶の中に入った黒っぽい液体を、修一は自分の器の中に注ぎ込む
霊「見た目は醤油っぽいわね…ちょっと匂っていいかしら?」
修「いいよ」
修一の器を手に取った霊夢は、その液体の香りを嗅ぐ
霊「な、なんか…不思議な香りがするのね…」
香「ポン酢はですね、鍋の時は本当に大活躍するんですよ!鍋の他には蒸し野菜とかでも使えますね、まあ、酸っぱいのが苦手な方にはお勧めしませんが」
霊「へぇ…修一、このポン酢っていうのは、外の世界の調味料って言ったわよね?」
修「え、まぁそうだけど」
霊「ならここに売ってない…ということは…修一。今度から必要な時、このポン酢っていうの、作ってくれない?」
修「まあ…はい。でも食べてみなきゃわからないっしょ」
霊「…そうね。修一、ポン酢貸りるわよ」
そう言った霊夢は、修一の側に置いてあったポン酢を取り、自分の器の中にそれを注ぎ込む。そしてその中の白菜を箸で取ったが、食べる気配はない
霊「…さすがに怖いわ」
修「(パク」
霊「あ…」
修「…んー、霊夢、やっぱこれ美味い!」
香「美味しいですー!!んー最高ー!」
2人についていけない霊夢は、恐る恐るポン酢に浸けた白菜を口に運ぶ
霊「…何よこれ酸っぱい!…あれ、でも美味しい…」
修「美味い?美味いか!?」
霊「美味しい…美味しいわこれ!ポン酢最高ね!」
お…おぉ!分かってくれたか!ポン酢の美味しさ!!
霊「よし…決めたわ!」
決めた?何を?
霊「修一、売るわよ。修一、生産は任せt」
修「断る。んー、やっぱ美味い!美味いな香奈!」
香「美味しいです!!」
霊「…」
結局その日はポン酢を1本だけ作り置き(?)しておいた。まさかここまで霊夢が食いつくとは思わなかった。暫く鍋が続きそうだな…
後日、家に強引に上がり込んだ魔理沙と文が同席して鍋をした時、彼女らにもポン酢を使ってもらったが、彼女ら曰く「普通」だそうだ…
もちろん文には、その後例の件についてゆっくりお話しました。弾幕込みで。
〈あとがき〉
まだまだ冷えてますね…私は寒いの苦手です。まあ夏よりマシですけどね。そういえば今日外にいたら、蚊がいました。人類の敵ながらあっぱれです。
さて今回は、ポン酢とか修一君の悲劇(人によれば幸福)の回でした。ポン酢ポン酢ポン酢ポン酢って、いっぱいポン酢が出てきましたが、皆さんはポン酢お好きでしょうか?ちなみに私はポン酢大好きです。ストレートのまま飲んだりする程です(ぉ
では、次回もお楽しみに