余裕がある生徒に負荷をかける | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

私は中学受験で算数・理科を教えるプロ家庭教師をしています。

7~8割の生徒は、中学受験塾の授業内容を身につけるので精一杯です。

塾の内容以外に、追加して鍛える余裕はありません。

今回は、残りの2~3割の比較的余裕ある生徒への対策の話です。

 

【1】成績低迷していれば塾の内容をカット

私は成績が伸び悩んでいる生徒を中心に教えてきました。

ですから私に声がかかる生徒の約半数は、塾の勉強についていくのが大変で成績が伸び悩んでいる生徒です。

特に「サピックス」や「早稲田アカデミー」は難問も多く扱うため、すごく努力が必要となるでしょう。

ですから、「サピックス」や「早稲田アカデミー」で偏差値45の生徒でしたら、指導方針は明確です。

偏差値45から50に伸ばすには、

(1)偏差値60の人でも苦労する難問をカットする。

(2)ミスしやすく差がつく問題を解かせる。

すでにかなり頑張っていて勉強時間は長いとなると、せいぜい時間を伸ばしても1日30分が限度です。

だったら、何を勉強すれば効率よく成績を上げられるか考えて、具体的に指示するしかありません。

解き方を納得しても制限時間内に点に結びつけにくい難問でなく、納得はしているけどミスしやすい差が付く問題に時間をかけるのです。何をカットするか判断が的確なのは、プロ家庭教師でしょう。

この詳細は、以前の記事にまとめました。

(1)の難問カットはこちら、(2)の類題を解かせるはこちらです。

 

 

【2】余裕があれば、家庭教師が追加の課題

ただし、中には塾の勉強に余力のある人がいます。

たとえば、日能研や市進学院の5年生で、偏差値60前後の場合です。

日能研や市進は、落ちこぼれが多数出るような速いカリキュラムの塾ではありません。塾内テストでは難問は成績上位生だけが解くようになっていて、誤解を恐れずに言うと「偏差値40の生徒に優しい塾」だと思います。

無理ない進度ですから、逆に言えば余力が残っている生徒がいるのです。

毎週・毎月の狭いテスト範囲だけを繰り返し鍛えるのも悪くありませんが、先のことを考えるとプロ家庭教師側から「今これを鍛えると良い」と提案するのも大事だと思います。

提案する代表的な内容を4つ挙げてみます。

 

(1)その場で考える問題を出す。

たとえば『対角線が104本なのは正何角形ですか?』です。

N角形の対角線の本数の公式、(N-3)×N÷2は覚えていても、厳密には2次方程式になって解けません。

毎回1問で良いので、パターンの暗記でなく考える問題を出すのです。

パッと浮かぶ解き方は3つあります。

 

(2)基礎を忘れたころに1問

易しめでも習って4か月経つと、解き方を忘れてしまうことがあります。

易しい1行問題を1日5問、時間にして5~10分解くのです。

これで「範囲がないテスト対策になる」「基礎を思い出すので新出事項が理解しやすくなる」でしょう。

私が解いてもらうことが多いのは、単位の換算です。

成績上位生でも、普段解いていないと案外ミスをします。

つるかめ算を忘れることは無いでしょうが、「場合の数」のような様々なパターンに分かれる問題は「不要なのに÷2をしてしまった」といったミスが出がちです。

こういった「正解して当然の復習」では、見直しが大切になります。

基礎問題を10問解いて、保護者が解答をチェックします。10問中2問間違えていたら、「2問も間違えているから2分見直し!」とミスの箇所を知らせずに見直しさせます。

 

(3)一部を先取りする

塾に通っている生徒に、家庭教師が一部分の先取りをするのは、場合によってはアリと言えます。

得意分野や志望校、そして現在の成績を勘案しながら先取り分野を決めます。

たとえば「立方体の切断」は、限られた範囲のパターン練習で一定レベルの問題は解けますので、先取りに適した内容の1つです。

整数の問題は、5年でも十分解ける難問が多く、鍛えやすいと言えます。

 

(4)志望校の特色ある問題を鍛える

志望校で頻繁に出題される分野の問題を鍛えます。

たとえば食塩水の問題が特に出題されやすい中学校が第一志望校なら、5年生でまだ塾で習っていないパターンであっても教えて練習するのです。

こうすることで、入試に有利になるという効果は少しだけだと思いますが、志望校に対する意識を高めて、自信をつけることにつながります。

 

 

(参考)図を書く練習をする

立方体や時計を自分自分で書いて、いろいろ書き込んで粘る問題があります。

問題に印刷されている図は1つ、でもその1つに全部書き込むと見にくいため、自分で別の図を書くわけです。

だだし、書くのが下手な生徒が結構多いのです。

「図形そのものが小さすぎる」

「細部を気にしすぎて全体のバランスが悪い」

「時間がかかりすぎる」

そのため、立方体、時計、四角すい、円柱など代表的な図を、パッと描けるようにしたいのです。

この話はこちら↑

 

 

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