偏差値45の指導「類題の作成が大切」 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

私は中学受験のプロ家庭教師をしています。

保護者は「プロなら分かりやすい説明をしてくれる」と期待しています。

主に算数のプロ家庭教師をしていて感じるのは、この点↑です。

 

ですが私は、プロの一番の腕の見せ所は、「分かりやすい説明」ではないと考えています。

指導経験3年の若手家庭教師とくらべて、大きな差がつくのは、「分かりやすい説明」でなくて、別のところだと思います。

では何がプロの腕の見せどころかは、主に生徒の成績によって違ってきます。

 

今回は「偏差値45」くらいの生徒の場合です。

 

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偏差値45前後の生徒は、塾の先生の説明は、一応納得できるレベルです。

説明を聞けば「なるほど」と一応納得はできるものの、テストを受けると、「ミスをする」「パターンの区別ができない」「時間が足りない」などで点が取れない状態だと思います。応用問題は手が出なくても、普通の問題は理解できる、でもミスが多いのが偏差値45くらいでしょう。

この「偏差値45」の生徒には、「分かりやすい説明」は、最も重要というわけではありません。

もちろん、分かりやすい説明であるのは大切です。塾で大勢に時間をかけて説明する塾講師でしたら、「分かりやすい説明」は非常に大切です。でも、1対1の家庭教師でしたら、生徒の反応を見て、反応が悪ければ別の説明ができます。実力がイマイチの家庭教師でも、生徒の解き方を見て、理解できるような説明をあとから加えられるのです。

もちろん、指導経験3年の若手家庭教師が塾のフォローをする場合なら、食塩水の問題を「計算で解く」「面積図で解く」「てんびんで解く」の3つのパターンを生徒に合わせて選択する柔軟さは不可欠ですが。

 

では、偏差値45くらいの生徒を教える際に最も重要なのは何でしょうか。

私は「適切な類題を作って解かせる」ことだと思います。

一応「なるほど」と理解できている生徒ですから、もう一度同じ問題を解かせたら余裕があり、たいてい解けます。

その直後に、数字を変えた類題をパッと作って解いてもらうのが重要だと思います。

 

たとえば、こういう問題が解けなかったとします。

お菓子を子どもに配ります。1人5個配ると11個余り、1人7個配ると9個不足します。子どもは何人いますか。

解き方の例ですが、「1人5個配る」から「1人7個配る」に増やすには、「1人2個の追加」です。

そのために「11個余る」から「9個不足」になりますから、11+9で「更に20個必要」です。

ですから、20個÷1人2個=10人となります。

 

偏差値55でしたら、納得しただけで、次は解けるでしょう。

でも偏差値45でしたら、数字を変えて練習しないと定着しません。

そこで、類題を出します。

お菓子を子どもに配ります。1人7個配ると16個余り、1人10個配ると11個不足します。子どもは何人いますか。

これですと10個-7個=1人3個差。16+11=27個差。27÷3=9人となります。

 

次に変化球を投げます。

ボールを箱に詰めます。4個入りの箱に入れるとボールは15個入りません。6個入りの箱に入れると3個入りません

ボールは何個ありますか。

先ほどのお菓子の問題でしたら「16個余り」と「11個不足」ですから16+11で27個差です。

今回は「3個入りません」と「15個入りません」ですから15-3=12個の差になります。

12個÷(6-4)=6箱。 ボールは4×6+15=39個です。

 

ここまでが、最低ラインになります。

納得させただけで、点が取れなかったら、意気消沈してしまいます。

「わかる」に続いて、「できる」にするためには、適切な類題練習が不可欠です。

その場でできなかったら、1週間後のテストではできませんので。

ちなみに、問題作成に慣れていないと、「答えの人数が整数にならない」とか「意味が通じにくい問題文になる」など、トラブルになりやすいので、教える側に余裕が必要です。

 

類題練習といっても、あらかじめ用意できることは多くありません。

「消去算ができない」と言われて、問題を用意したものの、難易度やパターンが違う問題ばかりで使えなかったなんてことが、よくあります。

結局は、その場で問題をパッと作ることになります。

問題を作る場合に活用できるのがシールです。

問題文がやや長い時には、100円均一の店で買ったシールに、生徒が解いている間に次に解く問題を作るのです。

これは特に6年の夏以降に、基礎ができていない生徒を教える時に役立ちます。

その場で作った方が、理解度に合った問題にできますので、効果的です。

ハイテク装置より、案外原始的なローテクが使えます。

 

 

この先「偏差値35」「偏差値40」「偏差値60」の場合を予定しています。