偏差値40の指導「指導内容を厳選」 | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

前回は、偏差値45の中学受験生には「分かりやすい説明」も大事とはいえ、

「適切な類題を解かせる」のが、より重要という話をしました。↓

今回は、偏差値40の生徒の場合です。

 

私の考えは、こうです。

偏差値40の中学受験生に特に必要なのは、「指導内容を絞り込む」ことだと思います。

 

一般的な大手塾は、成績に関係なく単元が進みます。

流水算を教える週は、全クラス流水算になります。

もちろん最上位のクラスなら難問も扱うのに対して、基礎クラスなら易しい問題を中心に教えることになります。

偏差値40の中学受験生に、プロ家庭教師が教える際は、指導内容を絞り込むのが非常に大切になります。

基礎が分からない生徒に、難問を解かせるのは無謀です。基礎な問題に時間と労力を注ぐべきです。

「なるほど」と理解するだけでなく、実際に解けて「できる」状態にするのが必要です。

 

例を示します

A【超基礎】

400gの水に、100gの食塩を溶かした。濃度は何%になりますか。

→→これは余裕で解けないと話になりません。

      答は20%です。25%ではないですよ。

 

B【基礎】

7%の食塩水200gと、17%の食塩水300gを混ぜたら何%になりますか。

→→これは「面積図」でも、「てんびん」でも解けますが、式で解いてみます。

《混ぜる前》

200g×0.07=14g

300g×0.17=51g

《混ぜた後》

500g×□=65g・・・これで□は13%

 

C【やや応用】

4%の食塩水200gに、食塩を何g混ぜて溶かしたら20%になりますか。

→→これは面積図・てんびんで解くのが無難だと思います。答は40g

      (水の量が一定であることに注目して解く方法もありますが)

 

D【応用】

食塩水AとBを2:1の重さで混ぜたら5%、食塩水AとBを1:5の重さで混ぜたら8%になります。

食塩水AとBの濃度は何%ですか。

→→答はAは3%、Bは9%。てんびんを2つ使うのが無難かもしれません。

 

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偏差値40というと、基本的な理解が不十分です。

この状態で応用問題に時間を使うのは、無謀です。

私なら食塩水を塾で勉強した偏差値40の5年生に対しては、A【超基礎】とB【基礎】を徹底して鍛えます。

少し寝ぼけていてもA【超基礎】とB【基礎】は解けなくてはいけません。

時間がなかったら、C【やや応用】とD【応用】は手を出しません。AとBを優先します。

易しい問題をボロボロにミスする状態で、やや難しい問題は解けるわけがありません。

分からない問題を解かせられる生徒は、メンタル面でもシンドイ状態になります。

基礎ができていれば、テストでも一定の点数は確保できますし、夏期講習などで再度C【やや応用】が出てくれば基礎ができているので理解しやすい状態になっているハズです。

 

特にサピックスと早稲アカでは、基礎クラスでも応用問題を多く教える傾向があると感じます。

現在は偏差値40でも、これから頑張って偏差値55に上がる可能性もありますから、必ずしも悪いことではないですが、消化不良で苦しむ人が多いと思います。

 

もちろん頑張るのは大切です。

私が教えてきた何十軒もの御家庭では、すでに人並み以上に家庭で勉強して頑張ってきた生徒が大半です。

でも思ったように成績が伸びなくて、プロ家庭教師の私に声がかかったというケースが目立ちます。

そういう御家庭に、「勉強時間を1.5倍に増やしてください」とは言いにくいのです。

だったら、プロの眼から見て、必要性が低い問題をカットするしかありません。

取捨選択をするのが、偏差値40前後の生徒に、最も必要なことだと思います。

塾の先生は立場上、「あたなは現在偏差値40だから、この問題は解けなくてよい」とは、なかなか言いにくいですから。

 

難問1つを30分かけて納得させても、易しい問題が余裕で解ける状態まで鍛えていないと、点にはなりません。

偏差値40前後の中学受験生を1対1で教えるプロ家庭教師に必要なのは、「いかに難しい問題を理解させるか」という能力より、「いかに基礎的な問題を無理なく正解させられるか」だと思います。そのためには限られた時間と労力を有効に使うために、どの難問をカットすれば良いか指示することだと考えます。

 

神頼みの前に、合理的な指導!(写真は太宰府)

 

《参考》

その取捨選択の一環として、サピックスの優れた暗記教材「コアプラス」で、無理して覚えなくてよい事項をまとめました。