算数の成績が低迷して困っています、と相談を受けることがあります。
不振の生徒の状況を説明する際に、「お化け屋敷」の例を使って説明することがあります。
■お化け屋敷で足がすくむ■
遊園地で「お化け屋敷」に入ったとします。
通路をゆっくり歩きます。
右の方にお化けが隠れていそうな井戸があります。
そこから出てくるのか・・・と思ったら、
・・・「うらめしやぁ~」
「キャー」・・・
反対の左側から突然お化けが出てきました。
予想外の場所から、お化け登場です。
すごく驚かされました。心臓に悪いです。
更に慎重に進みます。
さあ今度は右から出るか、左から来るか。
慎重に、少しずつ歩きます。
すると!
何と上から糸で吊るされた冷たいコンニャクが。
「うわ~っ!」
聞いてないよぉ~。そんなのアリかよぉ。
右かと思ったら左から。
じゃあ左右両方注意しようと思ったら上から。
こうなると、左右に上も見ないと怖くなります。
更に下や後からくるのでは?と想像してしまい、歩けなくなってしまいます。
■成績不振も同様?■
成績不振の生徒は、注意が必要な点が多くなり余裕がなくなると、頭の回転が停止してしまいます。
1つ例を出します。
《問題》図のような円すいを底面と平行に切断した。
小さい円すいAと、円すい台Bの体積比を求めなさい。
この問題、特別なひらめきが必要な超難問ではありません。
ただし「小さめとはいえ落とし穴がいっぱい」の問題です。
《1》どこを比べる?
相似を使って体積比を出します。
比べるのは「A」と「B」ではありません。「B」だけだと円すい台で相似ではないので、
相似となる「A」と「AB全体」を比較します。
《2》面積比ではなく、体積比
「A」は4cmと「AB」は6cmですから、相似比は2:3です。
(4:6だと数字が大きくなり、簡単にしないと勘違いの原因になります)
でも、長さの比2:3ですが、これを面積比4:9にするミスしやすいです。
体積比だから2×2×2:3×3×3
つまり8:27です。
《3》最後に引き算
8:27は「A」と「AB全体」の体積比です。
「A」と「B」の体積比にするには、引き算が必要です。
8:(27-8)となり、答は8:19です。
ですから、成績が低迷している生徒に、この問題を解かせたら、何度もつっかえます。
ミスしやすい落とし穴が、何個もあるわけです。
「4:2じゃないよ。AとABを比べなきゃ」
「長さを4:6でなくて、2:3に簡単にしなきゃ」
「体積比は4:9じゃないよ、これだと面積比だっ!」
「うわぁ、8:27、あと一歩、引き算忘れてるっ」
何度もミスしたら、次もどこかで間違えているような気がします。
自分の中で答が出ても、なかなか言えなくなってしまいます。自信を無くして、考えるのを止めがちになります。
特に、ミスしたら叱るスパルタ指導だと、言えなくなってしまいます。
「長い問題で、次にどこか間違えていそうと不安で、頭の回転が止まる」のです。
「お化け屋敷で、次にどこからお化けが出てくるか分からずに、足が止まる」のに似ています。
ではどうすれば良いのでしょうか。
《1》叱らないで教える
気が短い指導者は、ミスしたら感情的に怒ります。
手抜きなら怒るのは有効かもしれませんが、分からないのに叱るのは不適切です。
意味ないどころか、安心してミスできなくなり、手と頭が停まってしまいます。逆効果です。
《2》スモールステップを繰り返す
長い問題だと、落とし穴が沢山あります。
短い問題に組み替えて、何問か繰り返すのが有効です。
この「円すいの切断」問題でしたら、長さの比と体積比の関係が、面積比とごちゃまぜになる可能性があります。
そこで、単純な体積比の問題を解いて、頭の中をスッキリさせます。
高校生なら事情は異なりますが、小学生だと短い問題に区切るスモールステップが有効の場合が多いと思います。
《3》初めの類題は小さい数字
基本は、初めの類題は、考えやすい小さな数字にします。
円すいの切断ですと、長さ比1:2で体積比1:8、長さ1:3で体積比1:26です。
これが、長さの比3:7だと、27:316になり、一気に不安感が増大します。
筆算が必要な半端な数字だと、途中の過程をハッキリとメモ書きする習慣が無い生徒にとっては、一気に難易度が上がるのです。
色々な指導スタイルの先生がいますが、
私は「熱い指導」はほとんどしません。
中学受験は大変ですから、極力無理のない指導が良いと思うもので。
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私は中学受験のプロ家庭教師をしています。
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