算数や理科で計算が必要な問題があります。
「つるかめ算」でも「和差算」でも、まず単純な問題から解きます。
そして慣れてから、複雑で難しい問題に進みます。
ところが、易しい問題をとばして、イキナリ面倒な問題からスタートしがちな単元があります。
代表的なのは、理科の「溶解度」です。
水100gに何gまで溶けるかを、表やグラフを読み取って計算する問題です。
《1》よくある問題
問題集で比較的目立つのは、こういう問題です。
平均点を取れている生徒には、抵抗は少ない問題だと思います。
でも、成績が低迷している生徒(四谷大塚ならABCSのうちのA)だと、辛い問題でしょう。
難しく感じる生徒がいる理由は・・・
《1》表だとイメージがしにくい。
→→表だと数字だけで、理解が中途半端だと粘って考えにくい
《2》小数が混ざるハンパな数字で、暗算しにくい
→→間違っているかもしれないという不安感を持ちながら面倒な筆算に進むのはつらい
《2》最初に易しい問題を入れる
そこで、私なら少し面倒な問題の前に、考えやすい問題を1問入れます。
この問題ですと、メリットがあります。
《1》表ではなくグラフだから、イメージをつかみやすい。
《2》溶ける量が「14.9g」「23.6g」と半端でなく、「15g」「20g」だから、頭がスッキリして計算しやすい。(40℃、60℃、80℃だと溶ける量がキレイな数にならないなら、42℃、60℃、73℃と温度を半端な数にします)
溶けきれなくなる量が、グラフでイメージできます。
だから、次に表で数値を出されても手を出しやすくなります。
実際のテストは、たいてい半端な数ですから、易しい問題だけ解ければOKというわけではありません。
でも成績が伸び悩んでいる生徒の場合は、易しめの問題から順番に、無理なく進めるのが良いと思います。
まあ、御三家狙いなら、泳ぎ方を軽く教えただけでプールに突き落として「さあ泳げ」というノリも悪くないのかもしれませんけど。
(もともと塾でクラス授業をしていて、黒板に上のグラフを1回書いて口頭で問題を出せば、生徒は暗算でパッと答えさせられて便利だから始めたのですけど)
私は中学受験のプロ家庭教師を長年していますが、現在の大手塾のカリキュラムや教材は、主に成績上位生を意識したものと感じます。成績が伸び悩んでいる生徒には、無理ない指導が望まれます。
そのひとつが、イキナリ高いハードルを用意するのでなく、小さな階段を何段かに分ける「スモールステップ」とでも言うべき進め方だと思います。
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