問題集の解説は分かりにくい | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

算数の問題集の解説は、分かりにくい。

特に文章題の解き方は、分かりにくい。

解説を読んでも、何を言いたいのか伝わってこない。

 

文章題を中心に、算数の問題集の解説が分かりにくい原因は、いくつか考えられます。

 

■つるかめ算を例に■

(例)1本50円のボールペンと、1本30円の鉛筆が合わせて15本あり、

合計金額は610円でした。鉛筆は何本でしたか。

 

A《丁寧な説明》・・まだ習いたての生徒向けの解説

もし全部30円の鉛筆なら、30円×15本で450円になります。

でも実際は610円だから、610-450=160円高くなります。

1本鉛筆をボールペンに換えると、50-30=20円高くなります。

全部で160円、1本で20円高くなるので、

160円÷1本20円=8本、ボールペンは8本になります。

 

B《式だけの解説》・・解説なしで式だけ

30×15=450

610-450=160

160÷(50-30)=8

 

C《1つの式の解説》・・強引に1つの式にまとめたもの

(610-30×15)÷(50-30)=8本

 

このABCの解説では、Aが最も分かりやすいでしょう。

解説が入っていないBとCは、成績が低迷している人が読んでも理解できない可能性大です。

 

更に「全部30円の鉛筆なら」と考える説明になっていますが、もし別の考え方「全部50円のボールペンだと」解いた人が計算ミスしたら、ミスに気づきません。

もちろん面積図など他の解き方で文章題を解く人もいるでしょう。

解答解説を書く先生の立場も、理解はできます。

丁寧に解説を書くと、50ページの問題集の解説が100ページになってしまいます。問題集の値段が1.5倍になったり、1冊の問題集に載せられる問題数が大きく減ったりしてしまいます。

手書きの解説が可能なら、1ページに活字印刷の約2倍の情報量を載せられそうですが、大手塾や出版社はクセの出る解説を敬遠します。

 

最も大変なのが、模擬試験の解説です。

偏差値70の人ならC《1つの式の解説》で問題ありません。うっかり使う数字を間違えたような単純ミスに気付くくらいの短い解説で十分です。

その一方、偏差値30の人にはA《丁寧な解説》でも、理解できるか微妙です。

上位生も、基礎が不安な生徒も、両方満足させる解説を、書くのは非常に困難なのです。

 

更に問題なのは、〈最短〉のCの式を解説に載せると、成績が低迷している生徒も、「その〈最短〉の解き方を真似しなくては」と思ってしまいます。

そもそも全く余裕が無い低迷中の生徒が、上位生の短くてパパっと解く式を真似るのは困難ですし、弊害が大きいです。

これは教える先生が、(610-30×15)÷(50-30)=8本のような一気に解く式を、真似するなと伝えると良いでしょう。

とりわけ割るの後にカッコがつく「÷(50-30)」は、勘違いしやすいと思います。

 

 

■通過算を例に■

もう1問、通過算を例に挙げます。

(例)長さ80mで秒速20mの普通列車を、長さ120mの特急列車が追い抜くのに、25秒かかりました。 特急列車の速さは秒速何mですか。

 

これも、最短の解き方をした解説では、こんな感じでしょう。

(120+80)÷25+20=28、答は秒速28m

追い越しの場合は、速さを引くのですが、今回は上のような式で「+20」になります。

 

こちらも、成績が低迷している生徒には、全く真似できません。

イキナリ最短の式

(120+80)÷25+20=28

が、頭に浮かぶのは、成績低迷している人には期待できません。厳しすぎます。

特急列車の速さが決まっていて長さが分からない時などに、頭の切り替えは難しいでしょう。

せめて、距離を時間で割って(120+80)÷25=秒速8秒

抜かされる普通列車が秒速20mだから、20+8=秒速28mにします。

私が成績イマイチの人に解かせるなら、速さ×時間=距離の下に数字を書いて粘ってもらいます。

追い越しなら2つの列車の「速さを引く」「長さをたす」と知っていれば式を立てられます。

(□-20)×25=120+80

これなら、細かなパターンを暗記せずに、その場で粘れます。

 

もちろん、塾の教え方になるべく合わせるのが適切でしょう。

「解けるけどミスしがち」でしたら、塾の解き方で何問か練習させれば定着すると思います。

 

〈まとめ〉問題集の解説が分かりにくい理由

〈1〉解説のページ数が限られていて短い解説になるため

〈2〉解説を書く先生は、最短の「美しい」解説を書く傾向があるため

〈3〉一定以上のレベルの理解度の生徒を想定して解説を書くため

この他にも、解説を読み取るだけの基礎力がまだついていない、もあるでしょう。

「俺はこんな解き方を知ってるんだぞ!スゴイだろ」とアピールしてるように見える解説もあるのです。

我田引水ですが、より適した分かりやすい解説ができる先生に習うのが、本来は理想的でしょう。

 

わたしは中学受験の算数理科のプロ家庭教師ですが、現在現在リモート指導をしています。