入りやすい私立中の校長は「営業マン」!? | 中学受験講師ブンブンのブログ

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中学受験の塾講師とプロ家庭教師をしています。指導のあり方、入試情勢、教えて思うことなどについて、書いていきます。

私立中学・高校の校長先生に、どんなイメージを持っていますか?

 

●難関校の校長は、人格者

難関校の校長先生は、おそらく多く方々のイメージに合っていると思います。

「人格者で、尊敬に値する」タイプの校長が多いです。

難関校の校長は、教えている先生方の中から「昇格」することが目立ちます。

難関校には優秀な先生が多いため「他校からスカウト」する必要はないのです。

経営者一族から理事長は出すことはあっても、校長は現場の先生から「昇格」するパターンが中心です。

難関校でしたら、リスクを冒してまで校長がリーダーシップをとってグイグイ引っ張る必要は無いでしょう。

普段は生徒や先生を見守り、必要な時だけスパッと決断するのが大切なのです。

こういう校長先生は、現場の先生に任せる部分が多く、校内を走り回ることはあまりありません。

 

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ところが、入りやすい私立中学の校長は、多くの人のイメージとは違います。

●入りやすい私立中とは?

このような私立中は、受験生を集めるのに、とてつもなく神経質になっています。

都内の私立中で偏差値38なら、「定員割れ」の危機があります。

都内の私立中で偏差値45なら、「定員割れ」の心配はないでしょう。

でも2月4日の定員10人の入試で、偏差値45以上の受験生が受けに来ないで、偏差値37の受験生も合格させるようなことになったら大変です。

また3年連続で受験生を減らしたなら、校長の責任問題になりかねません。

そこで、受験生の確保に非常に力を入れることになります。

 

●校長の仕事の半分近くは生徒集め

毎日の学校運営は、基本的に先生方に任せます。必要な点の方針を示すだけで問題なく流れていきます。

最も大切で、判断が必要なのは生徒募集と言っても過言ではありません。

校長を補佐する教頭・副校長が2人いたら、1人は生徒募集担当専門という学校もありました。

 

●文化祭では受付に立つ

入りやすい私立中の文化祭、特に競争が激しい女子校では、校長室にふんぞり返っている校長は少数派です。

多くは受付の近くに控えて、率先して案内をします。

以前に説明会に来て顔を覚えている親子が来場したら「また来てくれたんだね。来てくれてありがとう(^^)/」と「VIP待遇」で接します。

帰りに受付を通った保護者には、「いかがでしたか?」と感想を聞き取って、こちらの教育方針を説明する機会にします。校長御自ら挨拶して見送っていただいただけでも、感激してくれるかもしれません。

説明会では、大勢の人を相手にしますから、受験生親子と話をする機会がなかになか取れないのですが、文化祭なら時間がズレますから、「ウチに任せてください」と校長から個別にアピールできる絶好の機会になるのです。

「ひとりひとりを大切にします」と説明会で言うより、校長が直接話を聞くわけですから、圧倒的に説得力が出るのです。

 

●意欲あふれる校長が求められる

他校で手腕を発揮した校長をスカウトしたら、偏差値が一気に上がったという話も聞きます。

偏差値が45以下の私立中の多くは、学校の指導体制が万全で魅力的という訳ではないから、偏差値50を超えていないのです。

でも至らない点はあるけど、「入学して後悔はさせない」と校長が迫力をもって訴える姿に、多くの受験生の保護者は期待します。話の中身が大切なのは当然ですが、プレゼンテーション能力が私立中の校長は必須の能力になるのです。

ですから、中国の古典を引用した退屈な話を、小声でボソボソと長時間しゃべる校長は、ものすごく印象が悪く「この学校を受けるのやめた」となってしまいます。

 

 

●塾のイベントに積極参加

私は10年以上前ですが、塾業界のイベントの手伝いをしていた時期があります。

合同相談会では相談コーナーに座ったり、行列の誘導をしたりしました。

新年会では受付を担当して、会費を受け取りました。

塾のイベントなのですが、私立中の校長に結構来てもらえたのです。

私立中の校長の立場からは、塾業界の人間に顔を売って、志望校を迷った受験生がいたらウチの学校を優先して勧めて欲しいという気持ちがあるのは事実でしょう。

 

でも、何年もイベントに出ていると、他の面も大きいと気づきました。

「校長は孤独で愚痴れる相手がいない」

私はイベント後の飲み会で、カラオケに曲を入れる係を務めることが多く、「校長先生、どの曲がよろしいでしょうか?」などと聞いて回るので、いろいろと愚痴を聞く機会に恵まれ?ました。

生え抜きの校長でも、同僚とは立場が違いますから、本音で語れない部分が出てきます。

「定年間際ならともかく、30歳台の若手が、どうして改革に反対するんだ?変でしょ?」

「大手塾の出版物に広告載せるのを断ったら、『いいんですか?』と不利益があるかもと匂わせてきた。ズルいぜ(おそらく次の年の偏差値を下げる、面談時に併願校として勧めない、と思われる)」

こういう愚痴は、校内では言いにくいでしょう。

同じ立場の他校の校長にも言えない話題なら、業界をよく知っている塾の人間に吐き出すしかないのです。

校長は辛いや。

 

入りやすい私立中の校長は、受け身でなく学校全体を動かすリーダーシップが必要です。

外部の受験生に対しては積極的に応対するいわば営業マンのような立場と考えるのが妥当だと思います。

 

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私は中学受験のプロ家庭教師として、主に算数と理科を教えています。

当面はオンライン利用に限定して生徒募集をしています。