テッド・バンディ('20年1月 大阪ステーションシティシネマ) | Que amor con amor se paga

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原題名:Extremely Wicked, Shockingly Evil and Vile

やっと書けた~

意外と上映期間短かった。この映画
もうレイトショーになってるかもしれん。

女性ばかりを狙う稀代の連続殺人犯テッド・バンディを、
唯一生き残った女性、エリザベス(リズ)・ケンドールの目線から追う自叙伝 『The Phantom Prince: My Life with Ted Bundy』の映画化。

テッド・バンディと言えば

法廷に女性の追っかけが押し寄せ、その様子がTVで実況中継された


どれぐらいの猟奇連続殺人犯というと

『セブン』の、ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)よりも残酷な手口で女性を殺していったぐらい。



この映画、バンディの『犯行うんぬん』ではなく

『彼はいかにして何十人もの女性をだましたのか』
『騙される女性に何か落ち度はなかったのか』
そして

そんなものに騙されない心とは、どこにあるのか

…の三点に絞って描かれています。

調度、今TVで、先日レバノンに逃げたカ〇ロス・ゴーンが、支離滅裂な記者会見をしているのを見て、
この映画Upしなければ、と思いました。

ゴーンにしても、バンディにしても『なぜ、そこで頭を使うので』と思ったので。

監督は、バンディのドキュメンタリーを先に手掛けているジョー・バリンジャー

製作は『サブウェイ123』『アメリカン・ギャングスター』のマイケル・コスティガン

バンディを演じるのは 『ヘアスプレー』 『パークランド~』 『グレイテスト・ショーマン』で、 まつ毛くるんくるんの『永遠に女の子の王子』を演じていたザック・エフロン。

え?今週の日曜が誕生日なのに後味悪いレビュー書いてるって何事なのって?

この映画の後に、全然毛色違う映画のレビュー書くから大丈夫ですよwww

レッスン行こうと思った日に『なんだ代行かよqqqq』という八つ当たりも多少なりともこもってる。

そんなワケで、予告編こちら、あらすじいってみる。



時は、'69年秋、ワシントン州シアトル。

シングルマザーのリズ(リリー・コリンズ)は、友達のジョアンナ(アンジェリーナ・サラフィアン)と共にバー『サンドペッパー・ラウンジ』で飲んでいた。

タチの悪い男と別れた後のヤケ酒で、幼い娘のモリー(エヴァ・アイマン)は家に置いてきたまま。

そんなリズを見つめる甘いマスクの若い男性。
彼の名はテッド・バンディ(ザック・エフロン)。
大学で司法の勉強をしており、スマートで誠実、人懐こく、リズのグチも目を見て嫌がらずに聞いてくれた。

子供ごと受け入れてくれる白馬の王子様がやってきた。

リズの娘モリーもすぐにバンディに懐き、バンディは、リズと共に暮らし始める。

だが幸せは、そう長く続かない。

バンディは、数年後、州外のロースクールに通う様になり、リズを頻繁に呼び出す遠距離恋愛を強いるようになった。

そんな日々が続いたある日の事、バンディがリズの家に帰ろうと車を走らせていると、後ろからパトカーが追ってきた。

信号無視したことを謝り、そのままやり過ごそうと思ったバンディだが、彼はそのまま警察に連行されてしまった。

ソルトレイク州マリで起きた誘拐未遂事件で、車や後部座席にあった工具や白のフォルクスワーゲンビートルが怪しまれたのだ。

バンディは、警察に連れていかれ、幾人かの容疑者と共に並べられ、被害者だと名乗る女性のテレフォン・オペレーター・、キャロル・ダロッシュ(グレース・ビクトリア・コックス)の面通しを受ける。

すると彼女はバンディの顔を指さし、バンディが身の上を巡査だと偽り、暴行を加えたことを証言したのだった。

バンディは、まずユタ州でダロッシュ誘拐事件の公判を受ける事にするが、国選弁護人のジョン・オコンネル(ジェフリー・ドノヴァン)から陪審員裁判では不利になるとアドバイスを受け、 裁判員だけの裁判に切り替える。
だが判決は有罪になってしまう。

バンディを追い続けるコロラド州の捜査主任マイク・フィッシャ刑事(テリー・キニー)や、検察官ラリー・シンプソン(ジム・パーソンス)らの執念により、バンディの容疑は各州に広がっている事が、明らかになり
この当時では珍しかった犯罪容疑者のデータベース化もされる事に。
ついにはFBI捜査官まで介入してきた。

バンディは、各州に容疑がまたがっている事や、このままでは勝ち目がない事から、弁護人のオコンネルを解雇。
自分の弁護を自分でするという異例の事態に。

リズはバンディの無実を信じて待ち続けていたものの、次第に明らかにされる真実
公判の度に傍聴席に押し寄せるグルーピーたち
夫であるはずのバンディの饒舌ぶりに疑いを隠せずにいられなくなり、だんだん疎遠になっていく。

そんな彼女を職場の同僚のジェリー・トンプソン(ハーレイ・ジョエル・オズメント)は見守り励ますのだが
バンディには、別の女性支援者が居た…

以下ネタバレです。

何て男なんでしょうねぇ。

リズが沈んで待ち続けている間、彼女の冴えない同僚がずっと励ましてるのかどうか判らない事を言ってるんすが。

バンディはムショの中で作業してるフリして天井裏から脱獄するのです。

これがその本編映像なんすが。
史実ではこれが二回目の脱獄で、警備の薄い12月30日を狙ったのです。



映画は史実といささかズレがあり、実際のテッド・バンディは、映画で描かれている以上の人でなしで、リズと付き合っていた頃には何股してたのか判らない様な状態だったのです。

映画では、リズと音信不通になった後に、以前の勤務先だった危機管理局(失踪者の行方を捜す所)の同僚・キャロル・アン・ブーン(カヤ・スコデラリオ)と付き合って、彼女が何かにつれバンディの面倒をみて、脱獄の世話までした様に描かれていますが。

実際は、リズとつきあってる間1ダースぐらいの女性と同時に付き合っていた


…らしいです。

そりゃ、ソシオパスだのサイコキラーだの言われてもおかしくないワケで。

映画では明かされていないのですが、バンディがそういう人格になったのは、暴力的で人種差別者の祖父に育てられ萎縮した祖母を見て育った事や、歳離れた姉だと思っていたのが実は母親だったという歪んだ家庭環境。

初恋の女性にフラれたの原因ではないかと。

リズの元に転がり込んできた時も、史実では

初恋の女性及び、キャロル・アン、の三股状態だった

…そうなのです。

ので、リズが疎遠になった所で、平然としてられるのは、人でなしのバンディからしてみれば、当たり前という、とんでもない話で。

でもってフロリダ州で脱獄したバンディは、脱獄に成功したら、そのまま大人しくしていれば、よかったものの

犯罪を犯して捕まってしまうのです。

彼の愛読書は 『パピヨン』だったそうですが、パピヨンの様に、濡れ衣でムショに放り込まれたのではないし、
フォレスト・タッカーの様になれるわけでもない。

パピヨンや、フォレスト・タッカーが、自由を求めて脱獄したのに対し、バンディが犯罪を侵したのは、

歪んだ所有欲や女性に対する劣等感が故

…なんだろうと。

この映画の監督+製作は、

男であろうと女であろうとルックスや、ミテミテアピール上手だけで幸せは決まらないよ

…という意味合いを込めて『少年時代から三十路超えても、まつ毛くるんくるんのキラキラ王子』のザック・エフロンを稀代の連続殺人犯に。

『ペイ・フォワード』や『シックス・センス』の子役→今はシブ声のオッチャンになった、オズメントを、リズに寄り添う恋人役にしたんだろうと思うのだ。

そ、そりゃーさー

男でも、ボッサボサの髪の女が、べらんめぇの口調で本音を理論的にぶちまけるのと

髪やネイルの手入れしてて、スカートはいてる女が『〇〇クンは悪くないよ』って言ってくれるのと,どっちがいいですかったら、後者の方がいいだろ?それは逆も真なりという
テッド・バンディは、こういう人間の心理を利用したのだよ。
残酷な話。

ターゲットになったのは全員
心弱ってて、髪はセミロングかロング。
依存心強そうで、頑な女性。

法廷にグルーピーが押し寄せるのも計算済み。
『貴方もバンディの事応援してるの?そうよね?彼って無実よね』って女性ばかり。
殺されたら終わりなのに。

フロリダの法廷でも、バンディは雄弁に、のらりくらりと逃げまくり、 エドワード・カワート裁判長(ジョン・マルコヴィッチ)を翻弄します。

で、フロリダの法廷を逆手にとって、支援者の1人、キャロル・アンと法廷で結婚してしまうのです。
史実はエドワード裁判長の裁判ではないのですが。

キャロル・アン役のカヤ・スコデラリオは『メイズ・ランナー』のあの彼女なんですが。



…『メイズ~』と全然違うキャラでございますねぇ…
スコデラリオ

バンディが法廷で結婚申し込んだ時の
『私はブスじゃない』的な、表情はなんなんだqqqqqという。

でもってムショに入った後も、バンディは警備員に賄賂つかませて、面会に来たキャロルと〇してたりします。

リズに対しては『僕は無実なんだ、信じてくれ、僕を捨てないでくれ』と、おいおい泣くくせにqqqq
聞いてられるか、男は行動だっつーの(激怒)

で、原題名はだらだらと長いワケは、'82年10月にバンディに出た死刑判決で、エドワード裁判長がバンディに言った言葉からです。

極めて邪悪

衝撃的に凶悪で卑劣

この言葉の後に、以下の言葉が続きます。

『私たちが、この裁判でみたのは茶番などではない
人間の悲劇だ。
君程の頭脳があれば、いい弁護士になれただろうに

与えられた能力の使い方を誤った人間の悲劇

弁護士としての君にこの場で会いたかった

自分をもっと大切にしてほしい



映画では、キャロル・アンがバンディに子供が生まれたみたいなことをいってるのですが、キャロル・アンの娘ローズが生まれたのは、死刑判決が出たあとなので、
彼女は死刑判決が出たあとも、しぶとくバンディの元に面会に行ってた事になるんですよね。

自分は、グルーピーでも浮気相手でもなく、バンディの本命だと信じて。

裁判がTV中継されるほど、(当時は)有名な美男子として注目を集めたバンディだそうですが、

バンディは、キャロル・アンの中にある、自分と同じ悪い意味での本能?というモノを見抜いて利用したんだろうなぁと思います。

これはバンディが死刑判決が出たあとに、ゲロった事なのですが。

他人のモノは、とことん奪って所有しないと気が済まない。

…という…

他人から何かを奪わないと、自分が自分でいられないって愚かじゃないですか。

それはモノに限らず、時間も、お金もそうですが。

映画には描かれていないですが、キャロル・アンは、バツ2のシングルマザーだったそうで。

バンディにとってみれば絶好の獲物だったのだろうと思います。

映画は彼の手にかかりながら、(史実では殺されかかったものの)生き延びたリズがバンディと面会するシーンに始まり終わるのですが

最後の最後でバンディは、ようやく残酷な手口を彼女に自供するのです。

もうこの頃になったら死刑の延期が出来ない状態になってて。

キャロル・アンも生まれた娘を連れてバンディの元から去っています。

てのも、最後の最後にバンディは、自分のグルーピーの1人である女性弁護士に頼んで死刑を延長して貰おうとしたのがキャロル・アンにバレたから、逃げられたワケですね。

映画のラストは実際のバンディのフィルムが出てきて終わりますが。

彼に殺された女性の数は証拠があがってるだけで30人あまり。
証拠がそろってない数も合わせると、その数を超えるのではと言われています。

さ、さすがにその殺人の手口や、何故そうなったのかを描くと、映画のレートがR18で済まなくなってしまうと思うし、主演のザック・エフロンのキャリアがツブれてしまうと思うので。

史実ではどうだったか知らないのですが、描かれ方として、これはポイントだと思ったのは

バンディが偶然にも保護犬を見かけるシーンがあるのですが、保護犬に向ける目が異様に冷たいのですね。

人の心は騙せたかもしれないけれど、動物は騙せない。

保護犬がバンディに吠えるシーンは、『大勢の人々は騙せたかもしれないけれど、真実が見えるものは騙されない』という証だったと思います。