パピヨン(原題名:PAPILLON '19年6月 大阪ステーションシティシネマ) | Que amor con amor se paga

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やっとかけた~

実在した脱獄者・アンリ・シャリエールの回顧録の再映画化です。

ちなみに前の映画のポスターこちら。

京都シネマでは会員価格で500円で観れるらしい。



いや~さ~、今回のリメイク版、京都シネマでも上映してるんすが

狭い+どの映画も朝一番から整理券を配布する自由席になってるので、ステーションシティシネマへ見に行ったんすよ(爆)

前の映画は、スティーブ・マックィーンがパピヨンを、ダスティン・ホフマンがドガを演じて有名になった、この作品。

マックィーンの役をチャーリー・ハナムが、ホフマンの役をラミ・マレックが演じると聞いて、不安半分+期待半分で観に行きました。

何で不安なん?つーと

公開第一週目フル興行→二週目以降はモーニング+レイトショーオンリーだという事に
『万人向けじゃないんだな~』という一抹の不安を感じたもので。

映画館は、マックィーンの『パピヨン』を観たんだな~と判る、おじいちゃんか、 『ボヘミアン~』でラミを知って、ラミ目当てで来たバブル族の二派に分かれてました。

映画の展開が展開なので、後者のタイプの客が、上映開始30分で、半分近く居なくなった(爆)という。

個人的には、最後まで観ると良い映画でしたよ。
観る人間を選ぶだけの話で。

常に自由の為に、どんな困難があろうとも、前に進むことを選ぶ男性に向いているんじゃないでしょうか。

ただし、『ブルベイカー』とか 『MOON 44』とか『アメリカン・ヒストリーX』とか、ゲ〇ゲ〇しさ+暴力要素が混じるエグい刑務所モノ映画を見慣れていないと、この映画、キツいのではないかと思います。

そんなワケで、本編に比べて毒ないなと思う予告編こちら、あらすじいってみる。



時は、1931年、狂乱の時代のパリ。

胸の蝶の入れ墨を持つ海兵隊上がりのアンシ・シャリエール(チャーリー・ハナム)は、パピヨンと呼ばれる金庫破りの名人だった。

その腕をかわれ、暗黒街のボス・カステリ(クリストファー・フェアバンクス)から仕事を依頼され、派手な生活を送っていた。

ムーランルージュの踊り子でガールフレンドのネネット(イブ・ヒューソン)から、一生遊んで暮らせる金が手に入ったら、田舎で一緒に暮らそうとささやかれるが、パピヨンは、彼女の言うことを信じない。

中流階級の教師の息子として育った彼にとってパリの生活は刺激的で、魅力的。
故郷にひっこむなど、まっぴらごめんだった。

ある日、パピヨンは、カステリからダイヤを盗む様に依頼され仕事をソツなくこなしたつもりだったが、致命的なミズを犯してしまう。
ネネットへのご褒美として盗品の中からダイヤのネックレスを彼女にプレゼントしている所をカステリの腹心に見られてしまったのだ。

カステリに裏切りがバレたパピヨンは、殺しの濡れ衣を着せられ、セーヌ川沿いの監獄コンシェルジェリーに送られる。

カステリは、警察にタレ込んだポン引きのルグランを殺し、
その罪を警察に賄賂を渡し、パピヨンにかぶせたのだ。

面会に来たネネットに『オレの事は忘れろ』というパピヨン。
終身刑になった彼は、仏領ギアナにある悪名高い徒刑所に護送される事になっていた。

何としても脱獄しようとするパピヨンに、コンシェルジェリーで知り合ったポン引きのジュロ(マイケル・ソーチャ)が、刑務所では、裏金がモノをいうと教えた。

さらに今度の護送で、通貨偽造の罪で終身刑になったルイ・ドガ(ラミ・マレック)が、同じ護送船に乗る事、
ドガは全ての囚人から命を狙われている事、
彼に近寄れば脱獄資金が得られる事をジュロは、パピヨンに教えた。

最初はジュロの話に聞く耳も持たなかったパピヨンだったが、脱獄するにも刑務所の中の自由を得るにも金が要ると知り、護送船でドガに近づこうとする。

護送の日、ドガは地元の報道陣に囲まれ、妻クララ(ルイーザ・ピーリ)も彼を見送りに来るという待遇を受けていた。
と、同時に彼は周囲の囚人たちに常に集られ、命を狙われていた。

パピヨンはジュロと共に護送船に乗り込み、ドガに近づき『オレがお前の命と隠し金を守る。その代わりにオレの脱獄に資金を提供してくれ。』と申し出るが、あっさり断られてしまう。
ドガは監視の横で眠れば金目当ての暴漢も近寄れまいと、通路側を陣取り眠る事にしていた。

だが護送中に、金目当ての残虐な殺人事件が囚人たちの間で起きた。
被害者は腹をナイフで裂かれ、内臓が飛び出し即死。
護送中の囚人たちは、次に襲われるのは自分ではないかと怯えていた。
犯行が起こるのは真夜中、皆が寝静まった後。
犯人は囚人の中でも一番巨漢の男で、ドガに集る囚人を狙い、今度はドガの金を狙おうとしていた。

ドガは自分に集っていた囚人が、横で腹を裂かれて死んでいるのを目の当たりにし、
犯人の巨漢の男をパピヨンが一網打尽にしたのを見て
彼の脱獄に対する要求をのむことにする。

徒刑場に到着すると所長のワーデン(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)は白のスーツを着て、囚人たちを見下し、こう告げた。

『脱獄したいならすればよい。試みた場合、1回目は2年間の独房送り、2回目は5年の独房。そして悪魔島に送られる。殺人をおかせばギロチンだ。』

パピヨンとドガが送られた徒刑場は、刑期が終わったとしても囚人を劣悪な環境で強制労働させる場所だった。

リンチが横行し、熱病が流行り、死亡者が毎日の様に出る。

ある日、徒刑場に整列させられたパピヨンやドガの前に連れ出されたのは、脱走を試みたジュロだった。

強制労働をサボりたいために、護送中に自らの足を傷つけ、骨折したフリをして病室で寝たフリをし、脱走したものの失敗したのだ。

目を見張り立ち上がったパピヨンは看守に銃で殴られ、彼の目の前でジュロはギロチンにかけられてしまう。

パピヨンとドガは、所長の命令でジュロの遺体を森の中に捨てに行かされるが、遺体から滲み出る血を見たドガが、怖気づき、その場に崩れ落ちてしまった。

ドガをかばうため、パピヨンは監視の職員を殴り、森の中を抜け、脱獄を試みた。

売春婦を連れてきたボートの男(アティラ・C・アーパ)を買収し、脱出用のボートを確保したはずが、男は裏切り、パピヨンを所長につきだしたため、パピヨンは2年間の独房送りとなってしまう。

心身共に弱っていくパピヨンだったが、1年程たったある日、ドガがバケツの中に、こっそりとココナッツを差し入れしたおかげで、何とか生き延びた。

だが、ドガの策略は半年ほどで所長にばれてしまい、残りの半年、パピヨンは殆ど、飲まず食わずの生活を独房で強いられてしまった。

2年の歳月の間に、ドガは隠し金を使い、徒刑場の事務職に収まっていた。

ドガは、所長からパピヨンが独房生活から生き延びたことを知らされると、隔離されている病室まで会いに行った。
パピヨンは所長を含め、周りには、 気がふれた囚人のフリをして、この病室にいる事をドガに明かした。

ドガは、パピヨンが無事だったことを喜び、脱獄のチャンスを教える。

日曜に、所長が映画上映会を開くので、その時は警備が手すきになる。
それが脱獄のチャンスではないかと

パピヨンは脱獄を成功させるために、徒刑場で知り合った荒くれ者のセリエ(ローラン・モラー)と、病室で知り合ったマチュレット(ジョエル・バズマン)を仲間に引き入れるのだが…。

以下ネタバレです。

パピヨンは、気がふれたフリをして、自分に処方される睡眠薬をマッチ箱の中に居れて隠し持っていたのです。

所長や職員たちが外で『キングコング』観る時は、アルコールを出すだろうから、アルコールの中に、この睡眠薬を混ぜて、彼らが眠りこけてる間に脱獄してしまおうという。

原作の時代背景が、1930年代で、書籍が出版されたのが'69年、映画化されたのが、'70年代と考えても

ゲ〇ゲ〇しい要素が、かなり出てくる描き方は、当時としてショッキングだったんじゃぁないでしょうか。

マチュレットが、いつも病室にいる理由ってのは、まぁ、彼がゲ〇だからです、ねぇ。

『イミテーション・ゲーム』みたいに、昔は性的嗜好が犯罪扱いされていたという信じられんことがあったんですから(涙)

所長や他の職員は酒に睡眠薬を飲ませ、眠らせる事が出来るけれど、病室の鍵番の男だけはどうしようもないので、マチュレットに、お前が気をひいて、時間を稼げというわけです。(そのあたりはあえて書きませんが)

が、ここで想定外な事が起こり、外が大雨になって、上映会は中止、停電になり、職員が飲んでいる酒に入れた睡眠薬が効くかどうかも判らないという時に、一行は大雨の中、脱走しなければいけなくなります。

暗闇の中、無理やり脱走するので、運動オンチのドガが足手まといになり、逃げる道中で骨折して、びっこになってしまいます。

今回は、脱出用のボートの元締めの男が、前と違うので、金さえ渡せばオンボロのボートでもくれたのですが

そのボートが、とんでもなくボロい。

そこに穴が開くわ、碇は外れるわ。
しかも海上は嵐。

セリエは徒刑場に居た時からドガが足手まといで肉体労働が出来なかった事に腹を立てていたので
『肉体労働が出来ないヤツはクズじゃー!』と言わんがばかりにドガを殺そうとするのですが

逆に火事場のバカ力を出したドガに殺されてしまいます(滝汗)

一行の乗った船は、嵐で、コロンビア領の真珠取りを生業とするインディオの島に打ち上げられます。

楽園の様な島で、パピヨンとドガは、しばしお互いの事を語ります。

ドガは、待ってくれるはずだった妻は告訴を諦め、担当弁護士と再婚してしまった事とか、色々。

が、時既に遅く、島の修道女(ヴェロニカ・クインガン)によって密告され、憲兵がジープに乗って捕まえに来るのです。
全然警戒してなかったマチュレットは、憲兵に打たれて死亡。
ギロチンで死ななかっただけマシだったかもよかったかもしれませんが。

パピヨンは独房に5年間閉じ込められ、また、シブとく生き残り、次は悪魔島に護送されるのです。

今度こそ脱獄不可能で、行き場のない囚人たちの終の住処と言われる悪魔島へ。

が!因縁というか、何というか

独房生活何にも経験せず、世渡り上手で、何事も隠し金で解決してきたはずの、ドガが、何故かパピヨンよりも先に悪魔島に居るんですよ。

何しに来たの?って感じで、パピヨンを一番に迎えに来るのがドガ。

悪魔島に送られた囚人は、殆ど気がふれているので、ドガは正気を保つために、毎日決まった時間に起き、決まった事をして、壁に今まで起きたことを描き続けていた。

彼がここに送られてきたのは、所長に逆らったというただそれだけの理由。

どんなに金があろうとも、世渡り上手でも、囚人である限り、悪魔島に行くことは免れない。
一生ここから出られない、ドガは絶望していたわけです。

が、パピヨンは、悪魔島に来た、その日から、もう脱獄する事を考えている。

常に前に進んで、自由になる事、その場に立ち止まらないことを考えているわけです。

パピヨンは、ボサーっとしているドガに『この島から脱出できるぞ!』と、キラキラして言うので、ドガは、びっくりするのです。
え?またやるの?冗談でしょ?と。

何度も実験してみて、潮流に乗って行けば、無事脱出できることが判ったというパピヨンの考えは、海軍あがりの荒くれものらしいなぁと思うんすが。

パピヨンは、脱獄用のココナツの袋にコルクの栓をしたガラス瓶とか、浮き輪の代わりになるものを詰めていきます。

これを断崖絶壁から下の海に落とし、自分も飛び込んで、脱出しようというもの。

あまりにも突拍子もない考えをするパピヨンに、今回ばかりはついていけず、ドガは、ここに残るという。

いよいよ人生の別れが来たと悟る、パピヨン。

ドガは、パピヨンの胸の入れ墨の模様を布に描き、ガラス瓶に入れ、コルクで栓をして、ココナツの袋に入れた。
もし無事に脱走に成功したら、これを開けてほしいと。

もし失敗したとしても、絶壁にぶつかって死ぬまでさ、元気でな。
と笑って、お互い抱き合うパピヨンとドガ。

パピヨンは悪魔島の断崖絶壁から飛び降り、しばらくして海面に浮かび上がる。

それを見て、ドガは歓喜の声を上げた。

映画のエピローグは、'69年のフランス。
学生運動の最中のパリ。

パピヨンことアンリ・シャリエールは、脱獄に成功し、ベネズエラ市民となり現地の女性と結婚。
実業家として地位を築いたものの、フランスからは指名手配中のままだった。

彼は脱獄者で女性作家のサラザンが自伝『距骨』を上梓した事に触発され、サラザンと同じ出版社に原稿を持ち込んだ。

担当者は、いまだに貴方が指名手配中だなんて、と驚きつつも出版の意向をしめす。

アンリ・シャリエールが持ち込んだ膨大なメモや原稿の上には、あの日、ドガが書いた蝶の絵があった…。

映画のプロローグは、独房に入っているパピヨンが、首から上を出して、外の様子を伺う所から、1931年の狂乱のパリの時代への回想シーンで始まります。

ちなみに、マックィーンの映画版では、パリ時代のパピヨンは描かれず、男くさい脱獄モノ映画になってました。

まぁ、今回パピヨンを演じたハナムは、アルマーニのモデルなので、サービスカットという意味合いも含めてなんでしょうねぇ。

独房のシーンの、やつれっぷりは8日間飲まず食わずの生活を個室で送った賜物だそうです。
この映画の為に

10週間で18kg減量、撮影期間中はオフが1日だけ

というハナムの役作り。
クリスチャン・ベールに勝るとも劣らない。
今までの作品は『なーんだ、三十路前のガキじゃんqqq』だったんすが、今回は、精悍でとても良かったです。

これはWIREDのオンラインインタブーなんすが、今回共演した、ハナムとラミが

『(映画観る人たちが)Googleで検索するオレたちの事』について『オレたちなりに答えてみました』という動画。



ハナムのインタブーがコレなんすが、ラミが『ボヘミアン~』や『ROBOTシーズン2』の契約が決まる前に、この作品の契約が進行していたので、
まさかの!
この作品、ラミのギャラが予定よりオーバー+スケジュールの都合がつかなくなり、あわや『お蔵入り』になる所だったらしいですね。

『名前売れちゃう前に、出演をキメていた作品』で
その作品が、絶対万人受けしないだろなぁ~ってのは、個人的に好みだったりしますよ。



所長役のヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンは、クリス・ヘムズワーズの『ブラックハット』以来でした。

あの映画では金の為なら手段を選ばない悪役だったんすが、今回は一囚人であるはずのパピヨンに因縁を感じざるを得ない所長の役でしたねぇ。

オリジナル(マックィーン)の映画では、脚本が赤狩りの犠牲になったダルトン・トランポだったので、抑圧から自由を勝ち取る意義が描かれていたと思います。

マックィーンの『パピヨン』では、パピヨンが、裁判官や判事が出てくる幻を独房で見るのです。

幻の中で、パピヨンは『人殺しをしていない、えん罪だ』と言い張るのですが、幻の中の裁判官はこういうわけです

『お前の罪は殺人ではなく、人生をムダにした事、それは死刑に値する』

これはトランボが、赤狩りに遭った間、自分のやりたかった仕事が出来なかった苦しみを描いていたわけで、映画の核+原作の核とも言うべき重要な所だったんじゃないでしょうか。

このシーンが、今回のリメイクでは『主人公が金庫をあける幻』に変わってた所が

惜しいな~…と思ったのです。

こうなったんのは何でだろう?ヒューたまをホラー映画に出演させた『プリズナーズ』の脚本家がリメイクしたからでしょうか?

他は、よかったんですけどね。