さらば愛しきアウトロー('19年7月 MOVIX京都) | Que amor con amor se paga

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原題名:The Old Man & the Gun

ロバート・レッドフォード俳優引退かぁ~(滂沱)

1935年生まれだから、老いの醜さを晒さないうちに引退するのが美学なんだろなぁと。

40年ぐらい前のレッドフォードって、ブ○ピよりイケメンじゃーないだろうか?
この写真だけど?



外見中身揃ってる俳優が、また1人銀幕から居なくなるのを憂いたブログ主でした。

映画の時代背景が'80年代なので、デジタルじゃーなくて、スーパー16mmフィルムで撮影されているのも、お見事。

デジタルだと撮影する時に、スタッフ全員カメラの影に隠れないといけないんだけど、昔の様なフィルム撮影だと、そこまで気を使う必要がないので、現場にまた違った一体感が出るんだそうな。

レッドフォードが米国に実在した『誰もきずつけなかった銀行強盗』フォレスト・タッカーを演じる引退作。

そんなワケで、予告編こちら、あらすじいってみる。



時は'81年のアメリカ。

ネイビーブルーの三つ揃えをエレガントに着こなした初老の男が、アメリカン銀行から出てくると、ゆっくりとセダンに乗り込んだ。

彼の名はフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)

アタッシュケースの中身は、銀行から巻き上げた金。
そう、彼は『誰一人傷つけない銀行強盗』だった。

行員の通報で地元警察が出動し、フォレスト一味の車を追うが、フォレストの方が一枚上手。
警察無線を傍受し、いつ、どこに追手が来るのか前もって察知していた。

フォレストは高速道路に逃げた道中で、エンストして立ち往生していた女性・ジュエル(シシー・スペイセク)を見つける。

ジュエルのトラックを修理するフリをして、ジュエルを、さりげなく自分の車に乗せるフォレスト。
パトカーは、そんなフォレストの横を気が付かず通り過ぎて行った。

数日後、フォレストは仲間のテディ(ダニー・グローヴァー)、ウォラー(トム・ウェイツ)と、テキサス州ダラスの銀行を襲う。

テキサス州に、『黄昏ギャング』と呼ばれる初老の銀行強盗が現れている事を知ったダラス署の刑事ジョン・ハント(ケイシー・アフレック)は、非番だったにも関わらず、 息子ジョン(ティーガン・ジョンソン)を連れ、顧客のフリをして銀行に偵察に行く。

フォレストは、ハントの目を欺くかの様に、支店長のオーウェン(ジーン・ジョーンズ)を呼び出し、支店長室で融資を受けるフリをして強盗を働き、
銀行の正面玄関から堂々と去っていった。

ハントが、強盗に気が付いたのは、オーウェンが警察に通報した後、
行内に居たにも関わらず何もできず、雨が降りしきる銀行の外には同僚の刑事たちが集まっていた。

銀行強盗を生業としつつも、一目ぼれしたジュエルの事が忘れられないフォレストは、別れ際に聞いた連絡先に電話し、再会を果たす。

フォレストは自分が堅気の人間でないとジュエルに言い出せずじまいだったが、ジュエルは彼の優しく理知的かつ、好奇心旺盛な魅力に惹かれていった。

上司からの命令でフォレストの事件を担当する事になったハントは、フォレストの事件が小規模すぎて、地元の巡査も軽く扱っていた事に気づく。

元々フォレストの事件を担当していた黒人巡査のデントラー(アイシャー・ウィットロックJr)は、茶番にすぎないと思い、フォレストが何年にもわたり行ってきた銀行強盗の調書作成をいい加減にやってきた。

デントラーが放棄していた調査記録を、同僚のケリー(ジョン・デヴィット・ワシントン)と共にまとめると、フォレストは

2年間で、93件の銀行強盗をはたらいていた事が発覚

ハントはフォレストが、銀行強盗をする時に、誰一人傷つけていない事、証言者が全員『いい人だった』『紳士的だった』そして何よりも

彼は私に逢えてうれしいと、幸せそうだった

…と言っていた事が気になった。

ジュエルと親しくなったフォレストは、夫を亡くし、子供たちが独立してから3頭の馬と共に牧場で過ごす彼女の家を訪れた。

そこでフォレストは、若い頃に一度結婚し失敗した事や、自分の本当の稼業をほのめかす。

ついにフォレスト、テディ、ウォラーは、今まで襲撃した事がないメガバンクを襲う計画を立てる。

もう体力がついていかないと、テディ、ウォラーは、今回のヤマで引退を決めていた。
綿密に計画を練る3人。

フォレストは、自分たちがメディアで『黄昏ギャング』と名付けられ、モンタージュも出回り、事件を担当するハントが『オレが自分で手錠をかけてやる』と息巻いているのも見た。

他の2人が怖気づく中、1人やる気を出すフォレスト。

ミズーリ州セントルイスのメガバンクを襲った最後のヤマは成功。

金塊だけ狙い、現場には札束の入ったバックを残していった。
それをみて、ほくそ笑むハント。

だがこの後、捜査権がFBIに移った事により、事態は急変する…

以下ネタバレです

フォレストは、テディ、ウォラーに分け前を与え、隠遁生活に入るんですよ。

でもテディがフォレストをFBIに『売って』しまうのかな。
テディの元に遊びに行こうとしたフォレストが、テディの家にFBIの捜査の手が回っているのを知って逃げるのです。

逃げて逃げて逃げまくって、最後にはジュエルの農場まで逃げる。

ジュエルの家の門をたたこうとするのですが、諦めて、馬小屋に入って、3頭いる馬のうち、ジュエルが『この馬だけはなじまなかった』と言ってた茶色い馬・クレメンタインの手綱を引いて、 逃げようとするのです。

車なかったら馬で逃げようとするのか~ですが。

馬に乗ってるレッドフォードったら『モンタナの風に抱かれて』を思い出しますが。

一方、ハントはニュースで、フォレストが捕まった事を知ります。
何だかもーえーわー、あほたれーって感じで。

奥さんのモーリーン(チカ・サンプター)や娘のアビリーン(アリ・エリザベス・ジョンソン)に、あれだけ自分が捕まえるって言ってたのに、と言われてしまいます。

執念燃やして『捕まえてやるわー!』ってただけに、FBIに捜査権限移ってしまった以上、モヌケのカラになってしまったワケなのです。

捜査権移っちゃってるにも関わらずハントの元には、フォレストに関する情報が集まってきます。

まずはフォレストの国選弁護人であるロングストリート(スティーヴン・ベックリーJr)から、
本でも書けそうなぐらい情報があると言われるのです。



フォレスト・タッカーは、1920年、フロリダ・マイアミ生まれ

6歳で父親が家を出て祖母に育てられ、15の時自動車泥棒で捕まるが、少年院を脱走。
その時から脱獄を繰り返してきたのです。

感化院、刑務所、護送車、ありとあらゆる所から脱走し、脱走するシチュエーションも、洗濯物の輸送車に紛れて、刑務所の作業中、塀を乗り越えるのは当たり前、監獄の鉄格子を破った事もあると、 脱獄の為なら手段を選ばない男だったのだから、どんだけ脱走してんだか。

『パピヨン』並の脱獄不可能さだな~と思ったのが、'70年代。

周りを海で囲まれた刑務所、サン・クウェンティン刑務所にフォレストがブチこまれた時。

これをそうやって脱走したか
刑務所での作業中にボートを作り、海を渡って脱獄しちゃったワケですよ。
コレが実話っつーんだから、信じられん。

大人しく刑期を勤めればいいのに何故…フォレストの生き方を知れば知るほど、不可解な謎に惹かれていくハント。
そりゃぁそうだわな。

大人しくしてたら給料もらえそうな仕事と、ワクワクドキドキする仕事、どっちがいいですか、つーたら男にとったら後者だろうと。

ハントの同僚、ケリーは、捜査権限がFBIに移ったなら、関わらなくてもいいんじゃないかと助言するんだけど、ハントは、自分が手掛けたヤマな為、調べだしたら止まらない。

ハントの元には、フォレストの実の娘ドロシー(エリザベス・モス)から写真付き手紙も届く。

ドロシーは、物心つかない頃には父は刑務所に入っていたとハントに言う。

彼女は父が世界を旅行している人と母に嘘をつかれ育った、ある日突然警察の人が来て、父が銀行強盗だと知った。
脱獄した事も。

ドロシーは、母は死ぬその時まで父を愛していたが、私は違う。
もしも父が捕まるなり万が一の事があったとしても、逢うつもりはないとハントに言う。

一方フォレストは、FBIに捕まる前に、投資信託銀行に行き、銀行強盗で儲けた金を、妻もしくは娘名義に出来ないか相談していた。
だが妻の直筆の署名が必要と言われ、諦めていたのです。

捕まったフォレストの所に面会に行ったのはジュエル。
警察の人が来たから知ってる事を全部話したけれど、ホントの事はしゃべってくれなかったのねと。



しゃあないじゃん、という感じのフォレスト。

大マジで強盗だったら、オレについてきた?
と、フォレストはジュエルに今までの脱獄記録を書いて手渡す。
最後の1ページが空白のまま、また脱獄するつもりならしい。

そんなフォレストに

今度は(刑期)を勤め上げたらどう?

…と言われ、助言を受け入れるフォレスト。
刑期満了後は、ジュエルに身元を引き受けて貰うんだけど

ずっと強盗、脱獄を繰り返してきた彼は、毎日の当たり前の幸せが退屈で仕方がない。

フォレストは、ある日、ジュエルの元を去り、前の様に、スーツを着こなし、銀行の前に居た。

そしてハントに電話を入れる
ハントは、非番で家庭菜園を手伝っていて忙しそうだったが、声の主がフォレストだとすぐ判った。

もしかして出てきたのか?

映画のエンディングは、フォレストが銀行に入っていく後姿をとらえて終わります。

最後の最後にフォレストがハントに電話したのは

お前が捕まえてくれなきゃ話にならないよ。

…という意味なんでしょうねぇ。

フォレストが何故強盗を続けるのか、それは『お金』の為じゃぁなく『生きがい』なんでしょうねぇ。

『X-ミッション』に似てますよねぇ。
この展開。

レッドフォードが演じてきた

手が届かないアウトローながら、不思議と親しみやすい人の集大成

が、今回のフォレスト・タッカーだったかもしれないですね。

『明日に向かって撃て!』のサンダンス・キッド、『ホット・ロック』のダイヤを盗むドードマンダー、マフィアのボスをハメる詐欺師を演じた『スティング』

…今回レッドフォードが引退するにあたって、改めてレッドフォードの作品を、観たんすが

今の映画って、ストーリー的にここまで面白いモノが作れるのかな?
ユ○バのアトラクションぽくなってて、映画と呼べない代物になってるんじゃないのかな

…と思ったりもしました(涙)

実在のフォレストは、ジュエルの元を去った後、サ高連みたいな所に住みながら、銀行強盗を働いていたそうです。

まさかサ高連から強盗が出勤してると思わないものねぇqqqq

シシー・スペイセク演じるジュエルや、ケイシー・アフレック演じるハントは、フォレストの生き方?
人生にゲームオーバーはないという考え方や、 生き方を貫くために長年の同士であるテディたちに無理強いさせる所、その為なら法を犯すという所は、許せないだろうと思うんすよ。

それでもフォレストの生き様を見届けるのは、人間の生き方の違いを超えた何かを感じたからなんでしょうね。

SNSで同じ考えや、同じ思考の人としかつながらない人は、愛ある批判や意見と誹謗の違いが判らんのだね~という話を友人としておりました。

この映画には、そこの答えが描かれているんじゃないでしょうか。