there it is. | CAHIER DE CHOCOLAT

there it is.

IMG_0100.JPG
前半の記憶がほとんどない2021年。何をやっていたんだろう?と思いながらふり返り。

january
映画の感想と昨年から引き続きのロブのインタビューの翻訳。ロブはとにかくその演技がとても気になるので、役についてどう思っていたのかとかどう取り組んだのかがわかる記事を探しては訳していた。映画と翻訳ばかりだと何をやっていたのかわからなくなるから、日常の記事も残しておこうと思っていたはずがスター・ウォーズのフェーヴを買ったことしか書いていない。

februafy
MUBIの無料視聴日を使って、8エピソードでトータル13時間弱の『Out 1: noli me tangere』を1日で制覇しようとして挫折。結局、Blu-ray&DVDボックスを購入した。でもこの判断は正解だった。ここ数年、ほかにないし……と思って、ほぼ毎年なんとなくやっていたことをやめることにした。その後、これだと思うことが見つかったので、そういうことだったのかもしれない。

march
なんとなく違和感を感じる映画を観たあと(映画自体の内容のせいではない)、いやな気分が取れなくて、それについて考えたり、調べたりしているうちにしばらく過去への旅に出ていた。消化しきれていない過去を終わらせる手段は「これだと思うこと」と関係しているともいえる。

april
フリーになってから3年経過。それについて何か思うことがたいしてあるわけでもなく、なんとなくぼんやりした感じ。この時になんとかしたいと言っていた時間の使い方はいまだに模索中の域から出ていない(いい加減にしろと自分に言いたい)。デスク(にしているテーブル)に合うイスを数年越しでようやく買えた。このイスとアングルポイズのランプは今年のベストバイ。

may
ハンターのゴム長靴を数年ぶりに買い替え。部屋の壁面を1枚違う色に塗る計画(数年前から計画だけで実行できていなかった)が、Farrow&Ballのぴったりな色のペンキでがぜんやる気になったため一気に前進。祖母が亡くなる。この頃、何か少しでもやろう……と思ってやったことが年またぎのトラブル(怒)になるとは、この時は知る由もなく(記事には書いていないです)。

june
壁のペンキ塗りを実行。ちょっとたいへんだったけど、すごく良い色で大満足。これはほんとうにやってよかった。『空飛ぶモンティ・パイソン』を初めて観る。ここから私の人生が変わったといっても過言ではない。ただ、なんで観ようと思ったのか、きっかけを思い出せない。記事にも「ふと思い出して」としか書いていないし、はっきりしたきっかけはたぶんなかったんだと思う。やたらと眠い期(不定期)。

july
ブログを始めた日に、記録することについてやマイブームは貴重という話など。tiny theatreは、映画館が通常営業に戻りつつある中でわざわざ配信先を掲載する意味も薄くなってきたように感じたことなどから更新停止中(もともとほぼ誰も見ていないサイトに必要性なんてない)。別のモチベーションがなくても映画の感想を書こうと思えるようになってきたというのも理由のひとつ。またそのうち再開するかもしれないし、しないかもしれない。

august
モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』と『ライフ・オブ・ブライアン』の感想、まさかのこの2本のみ。Instagramを見てみても、この月はパイソンズ関連以外はミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックスとポン・ジュノのオムニバス映画『TOKYO!』しか観てないっぽい。

september
パイソンズ漬けの日々について書いている(書いたのは8月最終日、アップしたときに日付が変わって9月になった)。7月には届いていた『At Last The 1948 Show』と『Do Not Adjust Your Set』を観始める。ビンジしないようにのんびりめに観ているので、12月31日現在でそれぞれのボーナスディスクが残っている状態。これをお正月休みに観るのを楽しみにしているところ。

october
連載の記事のためにひたすら007シリーズを観る日々。その合間に観ているのはやっぱりパイソンズ関連の作品。グレアムの自伝本を一応一通り読み終わって、マイケルの日記本を読み始めた。この辺りから洋服を着るということが久しぶりに楽しくなってきている。

november
持っていたC&Aの古着のジャケットから『空飛ぶモンティ・パイソン』の脚本の細かさや深さを改めて感じた。ほぼ日課の『At Last The 1948 Show』と『Do Not Adjust Your Set』がとにかく楽しい。Instagramでジョンから謎のlikeをもらってめちゃくちゃびっくり&嬉しい。

december
モンティ・パイソンの衣装デザイナー、ヘイゼル・ペシグのインタビューはほんとうに興味深かった。彼女のインタビュー記事はインターネットではこれと抜粋記事の2本しか見つかってない。ほんとうにもっと色々知りたい。『空飛ぶモンティ・パイソン』の衣装については自分でもまとめたいと思っているけど、量もそれなりにあるし、とても深いのでちょっとたいへんそう。でもそのうちにやるつもり。服を選んで着るという行為があいかわらず楽しい。憂鬱にならずにクリスマスを過ごせたのは私にとっては奇跡的なことだった。記事には書いていないけど、まさかの帯状疱疹発症(軽度でした)。




2021年の話をするのに、モンティ・パイソン抜きではできません。体感では今年はどっぷり全部パイソンズに浸かっていたくらいだけれども、実はまだ半年ほどしか経っていない。それぐらい濃い時間を過ごしていたということだと思う。パイソンズは衝撃的におもしかっただけでなく、私にとって、「これは何かほかとは違うかもしれない」というぼんやりした予感のようなものがあった。半年ほど経ってみて、ほんとうに違っていたのだとはっきりわかる。これまでに好きになったものにも大好きなものはたくさんある。でも、ほんの少しの違和感もなく「これだ」という感じがあるものはなかった。好きなのにどこか追いきれない部分があったり、深い深いところまではのめり込めなかったり。それでなんとなく寂しい気持ちになったりもしていた。パイソンズにはかちっと音がするくらいの感覚があった。なかなか見つからなかった探し物に「ああ、こんなところにあったんだ」と思うようだった。そう感じてからは、どこか安堵感さえある。観るものや聴くものは私にとっては初めてのものなのに、自分の中にある何かにつながっているような気もした。実際、色々知っていくと、過去の自分につながることもあった。まるで端が途切れたままで中途半端だった円を閉じるみたいに。パイソンズをきっかけに、興味の対象も大きく広がった。でも、もっと早く好きになっていれば……という気持ちはそこまで強くはない。もちろんなくはないけれど、今より前に出会っていたら、今のような楽しみ方や接し方はできなかっただろうとも思う。というのも、特別何かに向けてというわけでもなくこの数年間やってきた色々なことがひとつずつ積み重なって、ここに至ったのだなと感じるし、この状態は今だからこそなのだろうとみょうに納得できるから。そして、パイソンズは「これだと思うこと」にもつながった。

なんとなく英語で書かれている文章を日本語に翻訳するということをひとりでやり始めてから6年ほど。「翻訳家」という肩書きがつくようになってからは約2年(ある種たまたまではあるけど)。「翻訳家になるのが夢でした」とかいうわけでもなければ、特別に読書家というわけでも、好きで仕方がない作家(英語で書く作家)がいるわけでもない。でも今年、日本語になるなら私がやりたい!と思うものに出会ったので、ここに書いておきます。まず、マイケルの日記、マイケル・ペイリン 『The Python Years: Diaries 1969 – 1979, Volume 1』。というか、もしそういう話があるのであれば、やります。この本は2006年に発行されてから15年経った今でも日本語に翻訳されていない。読みたいと思っている人はたくさんいると思う。実際、とてもおもしろくてとても興味深い本です。これ以外でも、モンティ・パイソン関連の書籍であれば、もうなんでも(マイケルの日記はVolume 2とVolume 3もあったりする)。今までなんにしても「これ、やりたい!」と迷わず手をあげたいようなものはなかったのですが、パイソンズ関係は書籍に限らずなんでも、やりたい、やります、状態です。こんな誰も見ていないところで言っているだけではだめだと思うし、何か自分の頭を使って考えなければいけないのだけど、とりあえずはまずここに書いておきたい。

結局、今年はふり返りもパイソンズばっかりになってしまった。でも、ほんとうに映画とパイソンズばっかりな年だったので。こんななのにここを読みにきて下さっている方にはとても感謝しています。今年も1年間ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。2022年、世の中の状況も含めて、より良き年となりますように。(思わぬ長い記事になって、書いている途中で日付が変わってしまいましたが!)

写真はモンティ・パイソンのブルー・プラークのひとつがある場所。2019年にロンドンに滞在したときに訪れていた。