モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル | CAHIER DE CHOCOLAT

モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル

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ここ数日間は『ホーリー・グレイル』ウイーク。まずふつうに観て、確実に最初に観たとき以上に笑った。そのあと、ジョン&マイケル&エリックのコメンタリーつきで観て、テリーJ&テリーGのコメンタリーつきで観て、結局本編を3周した。マイケル&テリーJのロケ地再訪のドキュメンタリー『Quest for the Holy Grail Locations』と短いメイキングドキュメンタリーも観た。ソフトで観ると、オープニングタイトルの手前にも観る人を混乱に陥れる全力のおふざけがあって、最初から最高すぎる(Netflixはオープニングタイトルから。もちろんオープニングタイトル自体もふざけてます)。スケッチを組み合わせたようでもあるこの作品をひとつの物語にしているのは「聖杯を探す旅」、その中心にいるのがグレアム演じる主人公のアーサー王。彼が最初から最後まで笑いをとらない正統派の演技をしていることで、真ん中に1本まっすぐなラインが通った感じになってる。コメンタリーでもみんな「アーサーに威厳がある」と言っていて、ほんとうにその通り。実際は、この映画の撮影中はだめだめなグレアムだった時期で、主役の重圧もかなりのものだったらしい。それでも画面を通して見えるのはアーサーの威厳と純粋さ。この演技でのグレアムの声はふだんの声ともまた少し違って、より明るくてまっすぐな感じ。いい声だよなあと改めて思ったりする。コメンタリーを聞いていても自伝本を読んでいても、とにかく少なかった制作費とそれゆえの工夫(苦肉の策ともいう)についての話がみんなから何度も出てくる。ほんとにたいへんだったんだろうと思う。でも、それがこの映画の良さにつながっているもので、私がこの映画をとても好きだと思うところでもある。どのシーンも奇跡みたいに絶妙でおもしろい。好きなシーンやキャラクターをひとつずつあげていっていたらきりがないくらい(魔女裁判のエリックが可愛いとかハーバート王子が力なくて良いとかあれこれ途中まで書いたけど、恐ろしく長くなってきたのでやめた)。ひとつだけあげるとしたら、アーサーと黒騎士(中身はジョン)の戦いのシーン。ふたりのやり取りと間がほんとうに良くて最高。画的にも長身のふたり(グレアム189センチ、ジョン196センチ)が対照的な白と黒の衣装を身につけて並んでいるというのがなんとも良い。動いてるとななめになるアーサーの王冠の角度さえも完璧。ああ、そうだ。撮影に使われたドゥーン城とストーカー城を訪れるという新たな生きる目的も見つかりました。行くぞ行くぞ(ことだま)。