『於七吉三両個振袖』歌川国芳,1827年
昨日の記事 「NTR(寝取られ・寝取らせ)考(3)」 の続きです。
妄想くんが奥さんに自分のメアドを渡し、メッセージを送るよう嗾(けしか)けたことで、自分は奥さんと繋がることになります。
口説く
旦那である妄想くんには、奥さんに対し、敢えて 「全く気にしていない」 態度を取らせます。
初めは、奥さんも何を話して良いかも分かりませんし、次第に会話はこなれていくものの、後ろめたさもあったり、ばつも悪いのでしょう。
少しは、エロい話になったりするものの、なかなか距離は縮まりませんが、そこは根気比べです。
次第に女性の性欲をそそるような話に持っていきますが、奥さんは敢えてその話を妄想くんに話したりします。
多分、旦那と自分の双方の反応を、伺っていたのかも知れません。
こういうのは心理戦ですから、先に痺れを切らした方が負けです。
返事や連絡が来る以上は、どんなに退屈でも、お相手をします。
そうこうしているうちに、次第に相手は焦れてきます。
そしてあるときから、メールでのやり取りから、SNS でのやり取りに変わりました。
多分その方が、二人だけで会話をしている感覚に浸れるのでしょう。
二人が話す内容は、少しは濃くなったように思いますし、奥さんも積極的にはなってきているものの、ある意味当たり前と言えば、当たり前なのですが、やはり不倫に対しては罪悪感を感じているせいか、なかなか吹っ切ることが出来ません。
もちろん、その間の二人のやり取りは、妄想くんには全てを送っています。
奥さんも、もう妄想が止まらなくなっています。
もう陥落まで、そう時間も掛からないと思っていた矢先でした。
下手を打つ
自分は、この部分だけは、彼には報告せず、まず彼女に 「緘口令(かんこうれい)」 を敷き、旦那に話したら旦那が傷付くので、旦那には絶対に口外しないように約束させ、奥さんに 「寝取られ願望」 という彼の性向を打ち明けました。
自分で女房に告白出来ないのであれば、誰かが教えてあげなければ、奥さんはそれを知りようもありません。それを知らず、彼女が将来傷付くのも不本意でしたし、本当であれば、自分と会う・会わないは別にしても、夫婦として、彼女が彼の性向を知っていることは、大切なことだと思っていました。そして、彼女がそれを理解してあげることが出来たら、尚更良いと思っていました。
しかし自分は、それだけでも十分に彼女が傷付くことを認識出来ていませんでした。
当然ではありますが、彼女はそれまではこれっぽっちも疑ったことがなかった事実。旦那にある意味ハメられていた事実に、ぶち当たってしまったのです。
今考えれば、妄想くんに実現してあげれる唯一の道は、自分が現場に隠れ、本人はそれを覗くところまででした。
その後は、例えば、二人の密会が彼に露見し、二人の関係が公然となった状況下においても、会い続けるというシナリオも書けなくはありません。しかしその場合は少なくとも二人に修羅場を経験させなくてはならなくなりますので、やはりそこまでは出来ません。
覗いたところまでで終わり、自分は身を引く。彼女にとっては、後味が悪くても、自分が悪者になってでも、それしか道はありませんでした。
結局は、彼女は、その感情を自分で解消することが出来ず、妄想くんを責めたことから、全ては水の泡と消えました。
夫婦のその後
数ヶ月を経て、ようやく旦那の性癖が彼女に理解され、彼女は 「NTR」 をしても良いという気持ちに切り替わり、彼女はその気でしたが、その頃は逆に、旦那の 「NTR(寝取られ)」 熱が既に冷めていたようでした。
やはり、どんな理由があれ、自分の隠れた性癖を人に非難されるのは、心が折れるものです。
統括
旦那の欲望によって火を付けられた奥さんが、旦那の都合で 「やめろ」 と言われても、それは奥さんからしてみれば、自分勝手以外の何者でもないと思うかも知れません。
自分は、旦那の告白を受けて、実現してあげたいと思いましたし、それで二人の新たな世界が開けるのであれば、それは 「良いこと」 だと思っていましたし、自分の驕りもありました。
今の二人は多分、奥さんは旦那のことを、思い遣ってあげてることと思いますし、旦那は旦那で、如何に自分の軽々しい欲望が、家庭崩壊の危機を招いたかということを、実感したのかも知れません。
今回の件から学んだことは、意図的に 「NTR(寝取られ)」 の状況を作ったとしても、二人の感情に乖離が生じてしまった場合、どちらの気持ちを尊重するかという問題が生じるということ。
「互いに愛してやまないからこその寝取られ」 ではありますが、場合によっては二人の感情に乖離が生じて、「そんなことは望んでいなかった…欝展開」 になる可能性は否定出来ないわけです。
ナンネットのアンケートの 「寝取られの失敗・後悔」 のところに、こんな記述がありました。
- 妻が自分以外の男性で快楽を得ている様子にとてつもない興奮を覚えます。ですが、若い男にほだされてしまい、離婚の危機です。
- 彼女が居なくなった。
この記述だけをみれば一目見て、単純に 「悪いやつだ」 と思ってそれで終わってしまいますが、状況によっては、依頼した夫と 「NTR(寝取られ)」 を受け入れた妻の間で感情に乖離が生じさえすれば、これと同じような状況は、いつでも起こり得るということ。
旦那はもう止めて貰いたくても、妻はまだ続けて欲しい。
妻にしてみれば、あんたの性癖に付き合って、このような状況になったのに、わたしの人格を無視して今度は止めろとか、何を自分勝手なことやってるの…となり得るわけです。
「寝取り男」 が妻の気持ちを尊重すれば、上記のような状況にもなり得るし、「寝取り男」 が旦那の要求を受け入れれば、今度は妻の気持ちがないがしろにされてしまうわけです。
ここまで 「情」 をこじらせないようにするためには、出来るだけ 「NTR(寝取られ)」 の形式性を優先させて、「寝取り男」 と 「寝取られ女」 の接触期間を短くする工夫が必要なのかも知れません。
そのためには、少なくとも、自分のパートナーに対して、自分の性癖の 「カミングアウト」 はしておくべきで、その理解が得られて初めて出来る 「プレイ」 だと思っています。
***
結局は、どんなに後味が悪かろうと、依頼された方は、依頼主の要望を聞く義務がある一方で、依頼主には、結果がどうあれその結果を全て受け容れるだけの度量が求められるわけですが、それぞれが利己に走れば、誰かを悪者とすることが出来る関係であるがゆえに、相手に対する誠意と感謝の気持ちを忘れては成り立たない世界。
「紳士」 であることが求められるのは、きっと努力が水泡に帰そうとも、跡を濁さず立てるかどうか。つまりは 「粋(イキ)」 に振る舞えるかどうかに掛かっている、ということなのかも知れません。
ナンネットの記事を読んで思わず、苦い記憶を思い出してしまいました。
もう、妄想くん夫婦は、既にこのブログを読んでいないでしょうし、お二人で気分一新し、お互いの性向や性癖を尊重して、それまで以上に濃厚な 「結婚生活」 を送られていることと思います。が、しかし、この記憶は自分ばかりでなく、妄想くんにとっても、そして奥さんにとっても、苦い思い出であることでしょう。
これから 「寝取ってやろう」 などと妄想に逸(はや)っている 「寝取り男」 には、「NTR(寝取られ・寝取らせ)」 における立ち位置と役割を理解するキッカケにでもなれば良いと思っていますし、「寝取られたい」 という被虐妄想に取り憑かれている 「寝取られ男」 には、やはりどのような想定外のリスクがあるのか。またそのときにどのように振る舞うのかを考える、ひとつの材料にでもなればと思い、書いてみました。
ご夫婦の営みにおいて、皆さんの何かの参考にでもなれば、光栄です。
(つづく)
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