それは今から47.8年前、
小学校3.4年生の頃だった。
クラスのAくんがポケットの中から直径3センチほどの錆びた鉄の玉を2.3個取り出してこう言った。
「これ、なんだと思う?僕は、戦争とかで使った鉄砲の玉じゃないかと思うんだ」
その玉を掌にのせてもらうと、ずっしりと重かった。
「これどうしたの?」
「たくさん落ちている場所を発見したんだ。
誰にも言わないって約束してくれたら教えてもいいよ」
「言わない。言わない。」
「じゃ学校の帰りに行こう。絶対に誰にも言わないでよ」
ひとつ貰って半ズボンのポケットに入っている重い玉。
授業中も気になって気になってしようがなかった。
その重たい感触を半ズボンの中にずっと感じながら放課後を待った。
そして放課後。Aくんと一緒にソコに行った。
ソコは、よく大人たちがコクテツアパートと呼んでいた4階建ての集合住宅(国鉄職員社宅)が立ち並んでいた裏にあった。
錆びだらけの鉄格子。その中には雑草が生い茂っていた。
そして奥にはレンガ作りの工場の様な建物が見えた。
「これ、僕、登れないよ」
鉄格子を登らなければ入れないと思ったが、逆上がりも出来ない自分には絶対に無理な高さだった。
「こっち、こっち」
Aくんは、扉に沿って歩き、鉄格子の下の土が削れている場所を指さした。
這いつくばればなんとか入れる大きさの穴が開いてた。
土だらけになりながら入った。
そして雑草をかき分けながら赤いレンガの建物に向かった。
時々、靴の裏にゴリッという感覚があった。
「Aくん、玉があったよ!ほら」
「ねっ、言ったでしょ。ここには玉がいっぱいあるって」
レンガの建物までの約20メートルで、自分とAくんは7つの玉を見つけた。
掌が玉の錆びで赤くなっていた。
そして、赤いレンガの建物の中に入った。
レンガの壁は、ところどころ穴が開いたり崩れていた。
天井に大きく空いた穴から日の光が差し込んでいたがそれでも中は薄暗かった。幻想的な空間だった。
木でできた長く大きなテーブルは所々腐って苔が生えていた。
自分とAくんはそのテーブルに拾ったばかりの鉄の玉を置いた。
何か宝石でも眺めるように目をキラキラさせながら暗くなるまでそこにいた。
「絶対に内緒だからね」再びAくんはそう言った。
ところが翌日、Aくんは黙っていられなかったらしくクラスの5人にその話をしてた。
放課後、今度はその7人で赤レンガに行った。
20個ほどの玉を拾いテーブルにピラミッドを作るように置いた。
7人が目をキラキラさせながらその錆びだらけの玉が積まれたピラミッドを見つめた。
誰かが言った。
「ここを僕たちだけの秘密基地にしよう」
「毎日来ると皆にバレちゃうから、1時間授業が少ない水曜日に集まらないか?」
体育が得意で学級委員長でもあるBくんが言った。
そしてみんなで持ち込む物の分担を決めた。
漫画家になるのが夢だった自分は「少年キング」を持ってくる担当になった。
石鹸工場の社長の息子で金持ちだったCくんは駄菓子を買ってくる役を引き受けた。
メンコが得意だったDくんは、皆から勝って奪ったメンコを分けてくれた。
そして勝つ秘訣。親メンに油を塗ることを教えてくれた。
当時、少年キングで連載されていた「ドッキリ仮面」はエッチな内容で子供にはふさわしくないと社会問題になっていた。
その為、Eくんの親は少年キングを買うことを許さなかった。
秘密基地でEくんは、自分の持ち込んだ少年キングを駄菓子を食べながら食い入るように読んでいた。
「ドッキリ仮面」は当時の子供たちにとっては、性への目覚めの漫画だった。
確か「ハレンチ学園」はその後に出てきたのではなかったかな。
勉強は出来たけど、運動と遊びが苦手だったFくんには皆で野球のキャッチボールを教えた。
鉄の玉のピラミッドはどんどん大きくなっていった。
7人は小学校を卒業するまでその秘密基地でメンコをやったりケンパをやったり、漫画を描いたり、学校の話をして過ごした。
そして、
小学校を卒業すると秘密基地の7人は2校の中学校に分かれ分かれになり、誰もそこには行かなくなった。
今思うと、その赤レンガの建物は本当に軍需工場だっのかもしれない。
終戦直後は鉄が貴重品だったから最後の最後まで稼働していた工場が、ある日突然終戦を迎えたのではないか。
きっと武器に使うベアリングの工場だったのではないかとも思う。
そしてその後20年間ほったらかされていたのかもしれない。
なぜ、こんな話をしたのかって?
だってさ、開店してからもうすぐ1ヵ月。
お店の常連さんがこんな話をしてくれたんだ。
「ここは、オヤジたちの秘密基地だよ!」
「いやいや、メギツネさんもたまに来るからオトナたちの秘密基地!」
その話を聞いて、子供の頃を思いだしたって訳。
でもね、そう思って見てみると、錆びた鉄の玉をキラキラした目で眺めていた光景。
デロをみながら3姫の話題をしている時の皆の目と一緒なんだよね。
皆、オヤジ・オバサンになったけど目の輝きはあの時と一緒なんだ。
みんなキラキラしている。
べビメタって本当に凄いよね。
だって仕事仕事に追われてとっくの昔に忘れていた大切な事を思い出させてくれるんだもん。
「オトナの秘密基地」という言葉を聞いてもしかするとそんな場所を提供出来ているのかもと凄く嬉しい気分になりました。
あっ、そうだ。だから無意識に「駄菓子」を置いてるのかも。
そして所々「鉄の玉の秘密基地」の様なレンガの壁もあるし。。。
待てよ?!同じ子供の頃の秘密基地が舞台となる漫画と映画の「20世紀少年」
物語に出て蹴るくる教祖名『トモダチ』は英語訳だと『メ・イ・ト』だ!!
なんという偶然・・いや奇遇だろう。。。
♪チヨくん ア ソ ビ マ ショ♪
「オトナの秘密基地」
皆様のご来店をお待ちしております。
(第60話へ)
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