第221話「刑事失格!?」

放映日:1976/10/8

 

 

ストーリー

滝と田口は二手に分かれ、沼田利夫について聞き込みをしていた。

田口は沼田(長塚京三さん)を発見した。

沼田は2丁目のレストラン「キングジョージ」を出て、3丁目に向かって歩いていた。

沼田は鮮魚店の前に停めていた車に入ろうとしていた。

勇駒水産新宿営業所主人(浅野進治郎さん)が沼田の前に現れ、駐車禁止の看板があるのにも関わらず駐車したことを注意した。

沼田は主人を威圧し、謝罪せずに車で去って行った。

滝と田口は沼田の車を追跡した。

滝は沼田が犯人である確証がないにも関わらず、猛スピードで発進し、沼田の車の前に塞がった。

滝は拳銃を構え、沼田に動かないように警告した。

滝は田口が車を降りる直前に沼田の左肩に発砲した。

滝は車のサイドボックスに拳銃を出すために手を入れたと推測していたが、車の中からは拳銃が発見されなかった。

沼田は七曲警察病院に搬送され、全治1週間の負傷と診察された。

滝は病院を後にしていた。沼田は全然動いていないのにいきなり撃たれたと主張し、山村と石塚に抗議した。

沼田は半年前に出所し、真面目に過ごしていた。

10日前、銀行帰りの商店の主人が拳銃強盗に襲われ、500万円の現金を奪われて殺害されていた。

沼田は3年前(1973年頃)、強盗傷害事件を起こしていた。

沼田は10日前の事件について否定し、滝が自分を撃ったことにも捜査するように強く言った。

滝は田口が車を降りようとしたちょっとした隙に発砲したため、沼田が動いたのは沼田と滝以外知らなかった。

田口は滝の言い分が正しいと思っていたが、沼田がなぜ動いたかについては説明できなかった。

車の中から拳銃や凶器が発見されなかったため、沼田の主張の方が真実性のある状況だった。

滝が沼田を逮捕しようとした理由は、強盗事件と同じ拳銃を沼田が車のサイドボックスに隠しているという情報が入ったからだった。

滝は廃車置き場にて情報屋(田利之さん)と会っていた。

情報屋は一部始終をちらっと見ただけで、他のことは何も知らなかった。

山村は沼田が常連客の喫茶店を訪れた。

山村は9月26日の午後2時から午後3時までに沼田が喫茶店にいたのかを質問した。

店主(和久井節緒さん)は沼田が喫茶店を2日に1度訪れていることを記憶していたが、確実にいたかは分からなかった。

沼田は店主と競輪のことを話題にしていた。

石塚と田口は沼田の自宅を捜索していたが、凶器の拳銃は発見されなかった。

田口は山村と石塚が滝を信じようとしていることを嬉しく思っていた。

田口は石塚に、滝が本当に自分の仲間なのかと尋ねた。

田口は沼田が動いたかについて自信が無くなり、強盗犯や凶悪犯が憎いという気持ちが先走って撃ってしまったのではないかと心配した。

野崎の調査で、沼田が出所後に父親譲りの土地を売り、矢追町にバーを1件開業したが、経営が悪化して借金がかさみ、店を手放したことが判明した。

野崎には沼田が強盗を働くようには見えなかった。

滝から一係室に連絡が入ったが、定時が過ぎたので何も話すことが無いと言って電話を切った。

滝はロイヤルフラットに帰宅しようとしていたが、部屋の前には田口がいた。

田口は滝の部屋に入った。滝の所持しているサボテンに花が咲いていた。

田口は沼田の発砲についての真実を尋ねた。

石塚によると、沼田の強盗容疑が固まらない場合、本庁で懲戒審査委員会が開かれる可能性が出てきた。

その場合、田口も証人喚問される可能性があったが、何を証言すればいいか分からなかった。

田口は滝の気持ちを理解して証言すれば、証言の内容も微妙に違ってくると考えていた。

滝は田口と口裏を合わせることを嫌がり、田口に帰るように促した。

田口はなぜ捜査員に報告しないのかと怒り、藤堂達も責任を問われると強調した。

田口は「沼田を撃ったのがミスだと思う」と証言すると約束し、部屋を去っていった。

滝が沼田を発砲したことが報道され、本庁で懲戒審査委員会が開かれた。

委員会には藤堂と滝と田口が出席した。

委員長(神山繁さん)は滝に、事件でとった行動と周囲の状況の詳細な説明を求めた。

滝は前夜、沼田が車のサイドボックスの中に拳銃を入れているという密告が入ったため、朝から田口と聞き込みを行っていたと説明した。

滝は沼田が自分の制止命令を聞かず、車のサイドボックスに手をかけたと主張した。

しかし、査問委員A(幸田宗丸さん)は、沼田が全然動かずに撃たれたと証言していると反論した。

査問委員B(西田昭市さん)は錯覚ではなかったのかと質問した。

委員長は沼田がサイドボックスを開けた理由の説明を求め、滝は中に拳銃が入っていたためと答えた。

委員Aと委員長は沼田が拳銃を持っているふりをして、滝に発砲させたのではないかと解釈していた。

沼田は傷が軽いこと、借金の返済に忙しいことを理由に、山村に退院させてくれるように頼んだ。

山村は沼田に、明日に競輪のビッグレースがあることを教えた。

山村は沼田が10日間、競輪に大金をつぎ込んでいたことを知っていた。

石塚は沼田の子分のチンピラを尋問したが、チンピラは沼田が拳銃を持っていなかったと主張した。

委員長は滝に、拳銃以外の沼田が犯人である根拠を求めた。

委員Aは10日前の強盗殺人事件の捜査資料を読んだ。

事件は犯人が銀行帰りの北川商店主人の北川耕三を尾行し、人気のない路上で背後から襲撃し、拳銃で北川を射殺し、現金500万円を奪い、逃走したものだった。

委員Aは滝に、指紋も目撃者も発見されていないにも関わらず、強盗の前科がある沼田をマークしたのかと尋ねたが、滝は否定した。

滝は事件の手口が3年前の沼田の手口と酷似しているからと回答したが、3年前に沼田が使った凶器は果物ナイフだった。

滝は3年前の事件の被害者に会い、当時の状況を詳しく聞き、被害者が銀行から帰るところを背後から襲撃され、刺されていることを突き止めていた。

滝は被害者の傷の位置から、3年前の事件と今回の事件の犯人の身長が180㎝であると確信し、それは沼田の身長と一致していた。

滝は沼田が犯行以後の10日間に、競輪につぎ込んでいる金を200万円以上と推定していた。

田口は滝の意見が全て真実ではないかと思うようになっていた。

田口は委員長に、滝が発砲したときに沼田が車のサイドボックスを開いているのを見ていたのかと質問された。

田口は正直に何も見ていないと答えた。

藤堂は委員長と会話した。滝の処分について幹部の意見が分かれていた。

委員長は事件が未解決のため、この時点での処分は時期尚早と考えていたが、職権乱用と人権蹂躙の問題をたびたび起こしている滝を絶対に放置できないとも考えていた。

藤堂は滝の責任は自分の責任であるとして、自分を処分するように申請した。

委員長は滝に、仮処分として事件解決までの謹慎命令を下したが、沼田の証言が真実であると認められた場合、責任が藤堂にも及ぶと警告した。

退院した沼田は滝の謹慎に納得していなかったが、石塚は本庁の決定であるのでどうしようもできないと伝えた。

田口は沼田を尾行した。

スーパー経営者の丸山周一(門脇三郎さん)が白川進(27歳)に正面から2発撃たれて死亡する事件が発生した。

白川は部屋を荒らして、少々の宝石と500万円相当の株券を強奪した。

沼田は勇駒水産新宿営業所に向かっていたが、田口の尾行に気付き、逃走した。

田口は沼田と鉢合わせし、沼田にこのまま尾行すると裁判で不利になると嘲笑された。

丸山の第一発見者は夫人で、夕方に親戚の家から戻って発見していた。

丸山の死亡推定時刻は死後5時間前後で、犯行推定時刻は午後1時頃だった。

丸山は金目のものを自宅に置かない主義だった。

山村は銃弾の摘出と鑑識の提出を命じた。

丸山の殺害事件の弾と10日前の強盗事件の弾が一致した。

沼田は丸山が殺害された午後1時頃、2丁目の盛り場を歩いていた。

沼田が強盗犯人ではなく、拳銃を所持していなかったという疑惑が浮上した。

豪雨の夜、滝は自宅でサボテンを眺めていた。

田口は非常階段の下で沼田の自宅を張り込んでいたが、島が張り込みに合流した。

沼田は午後8時頃に帰宅し、動いていなかった。

島は田口に、沼田が強盗犯人でないかもしれないと告げた。

沼田は棚から拳銃を発見した。拳銃からは銃弾が減っていた。

滝は新聞で、丸山の強盗事件の拳銃が同一であることを知り、田口の張り込みに合流した。

田口は滝に帰宅するように促したが、滝は応じなかった。

滝は沼田も新聞を見たと推測し、沼田を尾行した。

山村は丸山のスーパーの元従業員の白川が、沼田と同じアパートに住んでいるという情報を入手した。

白川は小さなミスが理由で丸山に店を辞めさせられていた。

白川が犯人である場合、同じ拳銃で手口の違う2つの事件が起きた理由の説明がついた。

沼田は拳銃を所持していることが断定された。

藤堂は白川の所在を突き止めようとしていた。

沼田は勇駒水産新宿営業所横の公衆電話を利用していた。

田口は沼田が何度も勇駒水産新宿営業所の前に来ていることが気になった。

滝と田口は沼田が勇駒水産新宿営業所の主人に電話をかけているのを見た。

田口は沼田の尾行に向かった。

主人は滝に、沼田から、沼田が戻るまでに車に誰か近づいた者がいないかと質問されていた。

主人は車にもう1人接近した男がいたこと、車を動かすように頼んだが、持ち主に車の中の荷物を取ってくるように頼まれたためにできないと拒まれたことを話した。

主人はもう1人の男が車の中を探し回っているのを目撃していた。

沼田は1丁目の喫茶店「ポプラ」に入っていた。滝は田口の張り込みの合流に向かった。

山村と石塚と島は沼田と白川のアパートに向かった。

白川は沼田の車から拳銃を強奪し、拳銃の強奪を知らなかった沼田は、盗まれていることを知った瞬間に滝に撃たれていた。

沼田と白川はアパートに不在だった。山村達は白川の勤務先の、1丁目の杉田運送店に急行した。

沼田は「ポプラ」の裏口から逃走していたが、田口は藤堂の連絡から、沼田が白川のもとに向かっていることを知っていた。

滝と田口は杉田運送店に到着していたが、沼田も到着し、トラックを停車させた白川に接近していた。

滝は沼田が拳銃を取り戻していると考え、謹慎中にも関わらず、田口に拳銃を貸すように頼んだ。

田口は沼田が万一に拳銃を持っていなかったときを想定し、滝の頼みを拒んだ。

山村と石塚、野崎と島も杉田運送店に到着していた。

田口は滝に沼田を撃たせようとしなかったが、滝は田口を殴り、拳銃を強奪した。

沼田は懐の拳銃を取り出そうとしていた。

田口は滝の銃口の前に立ちふさがった後、沼田に突撃した。

沼田は拳銃を落とし、田口と格闘になった後、田口に逮捕された。

白川も野崎と島により逮捕された。翌日、滝は一係室に不在だった。

滝は謹慎が解かれたが、謹慎中にも関わらずに田口の拳銃を無断で使用した件で始末書を書き、3日間謹慎していた。

 

 

メモ

*確証がないのに容疑者に発砲してしまい、査問委員会に問われるスコッチ。後に「スコッチ、市民を撃つ」でも似たような状況に立たされる。

*ボンはスコッチの発砲の瞬間を見ていなかった。この部分は「空白0.5秒」を思わせる。

*長さんまでスコッチを「スコッチ野郎」と呼ぶ。

*スコッチは紅茶を飲む際、ボンに「飲みたかったら勝手に淹れてくれ」と発言。

*査問委員会に出席するにも関わらず、スーツでないボン。

*前回に引き続いて、西田氏が本庁幹部役で出演している。

*例え査問委員会にかけられても、冷静に、理論的に意見を言うスコッチ。

*サブタイトルで使われているBGMが本編中に使われている。

*勇駒水産新宿営業所の電話番号は、前回の佐々木の電話番号と同じ。

*ボンは沼田にもスコッチにも拳銃を撃たくないと考え、沼田に突撃。スコッチに「馬鹿」と言われる。

*ラストの始末書にて、スコッチが警部補であることが判明する。しかし、後年には小川氏直々に「スコッチの階級が巡査」と訂正されている。

*ラスト、ボスの新聞のテレビ欄に「NETテレビ」(現在のEX、テレビ朝日)、「東京12チャンネル」(現在のTX、テレビ東京)と書かれているのが時代を感じさせる。

*今回は「殿下とスコッチ」と同時撮影。

 

 

 

キャスト、スタッフ(敬称略)

藤堂俊介:石原裕次郎

滝隆一:沖雅也

田口良:宮内淳

野崎太郎:下川辰平

 

 

矢島明子:木村理恵

本庁査問委員長:神山繁

沼田利夫:長塚京三

本庁査問委員B:西田昭市、本庁査問委員A:幸田宗丸、喫茶店店主:和久井節緒、滝の情報屋:田利之、勇駒水産新宿営業所主人:浅野進治郎

本庁査問委員:片山滉、稲川善一、小寺大介、中川明、萩原伸二、丸山周一:門脇三郎

 

 

石塚誠:竜雷太

島公之:小野寺昭

山村精一:露口茂

 

 

脚本:小川英、杉村のぼる(後の杉村升)

監督:小澤啓一