春闘と財務省の傀儡 | 秋山のブログ

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春闘のニュースがあったので、今回はこれについて。

 

労働者の賃金が経済全体にとって重要なことは疑いないことである。労働者はそのまま主要な消費者である(上げなければ需要が回復しない)し、国民の生活の向上こそが経済の最大の目標であるからだ。今回経団連も、『賃上げの勢いを維持することは重要だ』と述べている。

 

内部留保の問題が取りざたされているように、十分な分配がなされていないといった話もあるだろう。だが、必ずしもそれだけではない。

いつもの図を出す。

この顔のマークは、個人ということでなく、企業でも同様に言える。すなわち日本銀行、一般銀行による貸し出し、貨幣の供給が実体経済に対して少なく、返済や内部留保、消費税のように実体経済からの貨幣の流出が多ければ、企業は売り上げを増やしようがないのだ。内部留保を貯める企業がなかったとしても、デフレでは十分には賃金を払いえない(内部留保を貯める企業があるから尚更である)。そしてデフレは解決されることなく続いていくだろう。

 

経団連も、賃上げについて肯定的に述べていることをみれば、消費者の収入が企業の売り上げにかかってくるといった全体を俯瞰した考えを持てていると言えるだろう。しかしその一方で、経団連は消費税に賛成し、消費税をさらに上げることを提言さえしている。消費税が極めて強力に景気を悪化させることが、最早誰にも否定できない程明らかになっているにも関わらずである。これは一体どういうことだろうか。

経団連で力を持っている企業が輸出企業だということが一つはあるだろう。それ以外の企業は、デフレ下の日本において業績を伸ばすことは構造上困難であり、当然ながら様々な活動費を捻出することも難しい。輸出に関しては消費税がない(免税にしていることに関しても議論が可能だろう)ので、消費税の害に関しては比較的無頓着かもしれない。

輸出企業でなくても、医療以外の分野においては、派遣社員を利用することによって、消費税の戻しを得ることができるため、消費増税の悪影響が直接的には見えにくい企業もあるだろう。

ただ、そうであるにしても、消費増税の主張は経団連が本来おこなうべき主張では全くない。政府の財政が均衡していようがいまいが、企業活動にすぐには結びつかないものだ。むしろ全体的に企業にとってもよい政策は財政均衡の破棄なのだから、経団連の主張は自らの首を絞めるものであり、経営は分かっても経済はまるで分かっていないことを白状していることに等しい。そこから分かることは、結局経団連は、財務省から様々な特典をちらつかされて、財務省のために動く傀儡と化しているということだろう。だからこのような発言もするし、政治家に献金(それも財務省による優遇の産物である)等により財務省の思惑通りに動くように圧力をかけたりもするということだ。

 

この吐き気がするような状況に対して何ができるだろうか。それは結局のところ、どんなことがおこなわれているか事あるごとに発信していき、正しい理解をしている国民を増やしていくしかないと思われる。最近の例を出せば、新聞が軽減税率を餌にまんまと飼いならされているといった話もあるし、今回の経団連の話もそうだろう。悪事は皆が目を光らせればやりにくくなる。経団連に参加する人間も、おかしな動きをする執行部を批判するようになるだろう。

春闘に向かう労働組合も、自分達の賃金アップを妨げているのが、財務省であり、財務省を間違った政策に向かわせる主流派経済学であることを理解して、正しい主張をおこなっていく必要があるだろう。