財務省の謎 | 秋山のブログ

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経済学と縁のない仕事をしている人間であれば、国家の財政問題を考える際に、家計と同じようなものだと考えて、財政均衡が重要だなどと考えることはありうる。しかし貨幣とは何かということに関して理解し、金融システムについて理解すれば、国家にとって財政均衡が重要ではなく、それを無視しても喧伝されるようなハイパーインフレも、国債金利の暴騰もありえないことが分かるだろう。であれば当然、金融システムについて理解し、実際に財政政策や、銀行に対する様々な介入をおこなってきた財務省であれば、理解できていないはずはない。普段実務をこなしていれば、高橋洋一氏が語るような結論にほぼ行き着くはずだ。ところが実際、財務省はあくまで財政均衡に拘り、消費税を増税させようとしたり、様々な歳出を削減しようとしたりする。

 

その理由に関しては、いろいろな人がいろいろな推測をしている。3つ程、説を上げてみよう。

「財務省意外と賢くない説」というのがある。暗記してよく憶えていて、作業能力も高いけれど、深い思考はそれほどではないというものだ。公務員試験における経済学の勉強では、疑うことなく新古典派の理論を受け入れる必要がある。新古典派の問題点を見つけることなど、試験の邪魔にしかならないので、その理論を前提に考えるようになるのが普通かもしれない(高橋洋一氏ですら、新古典派の理論を踏襲する部分を残している。またISバランスも間違えている)。

「利権確保説」も根強い。予算をつける分野を選別することで、財務省は権力を得ることができる。必要であっても予算をつけない理由として、財政均衡は便利だろう。当然、利権にならない医療は削りたがるであろうし、先日書いたように教育バウチャーよりも直接学校に予算をつける方が利権になる。

最後は「財務官僚スパイ説」というちょっと陰謀論めいたものだ。このスパイというのは、ある国のスパイということではない。米国では新古典派がオーリン財団等の資金援助によって、国民や政治家、法曹を洗脳していったという話があるように、投資家に都合のよい政策を取るように懐柔されているということだ。均衡財政は投資家の利益に一致するし、金融ビッグバンや法人税減税は言うまでもない。その証拠と言っては何だが、パナマ文書において7人の財務官僚の名前が取り沙汰された。この問題を脱税という点から捉えるのは正しくない。財務官僚は脱税が必要なほど通常は稼いでもいない。タックスヘイブンの口座の問題点はそこではなくて、何者かからの振り込みがあってもばれないことである。つまり、財政均衡策を取るなどする見返りとして、金銭を得る可能性もあるということだ。(そうでないにせよ、昨年バレていなければ、この口座は賄賂の振り込み先に成り得たものであるから、本来大問題である)

 

どの説が正しいと思われただろうか。ただどれであるにせよ、この問題に対してどのように対処すべきかといえば、結局国民が正しい理論を理解するしかない。しかし啓蒙していくべき経済学者自体が、新古典派のプロパガンダに騙されているというのが現状であり、実に悩ましい。