タダだったので | 秋山のブログ

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最近読書三昧である。というのはアマゾンのKindleを買って、Kindle Unlimitedに入ったからだ。膨大な電子ブックをタダで読むことができる。持ち運びにも便利で重宝している。

そこでタダだったので読んでみたのが、竹中平蔵氏、池田信夫氏、鈴木亘氏、土居丈朗氏による「日本経済「余命3年」」という書籍だ。この余命3年というのは『あと三年で日本経済が絶命するという意味ではなく、いまのように奇妙に安定した状態はあと三年くらいしか続か』ないということだそうだ。財政問題について書かれた書籍ということで、書かれたのは7年前民主党政権時代である。言うまでもなく、完全に狼少年だ。

 

財政破綻する根拠として、USJレポートと同じ根拠が使われていた。家計貯蓄の上昇率と政府債務の上昇率を比べて足りなくなるというあれである。USJレポートの方が先なので、流用したのであろう。しかし教授になるような経済学者が4人も集まって、その誤りに気付かないのは実に嘆かわしい。答えを述べれば、企業の負債の変化を考えていない時点で、消化余力を評価することに意味は無い。貨幣とは何か、理解不足なのも原因である。

 

終始間違い探し状態で、全て指摘説明したら、書籍自体の何倍もの量になってしまうトンデモ本であるが、一つだけよい情報があった。市場原理を活用するために教育バウチャーを提案するのだが、直接給付が好まれるので拒否されたという話である、この件に関しては4人が正しく、拒否する方が間違っている。直接給付が好まれるという話は、理由として納得できる話だ。(財政政策で、社会保障に注ぎ込むよりも、公共工事に注ぎ込まれることが多い理由の一つはこれだろう)

 

まとめとして、この本の象徴的な内容を取り上げたい。『経済学者は信用できないか』という話である。池田氏はこの4人の意見が同じようであることを持って自分の経済学が正しいと考えているようだが、経済学において喧伝されている誤った命題を覚えて信じていて、それを前提に考えているからだ。前提に関して、疑って検討した痕はない。間違った前提でも前提が同じならば、考察の結果は同じ(間違った)結果に行き着く。

4人は一般人を啓蒙する経済学者が少ないことを問題としてあげているが、間違った命題から導き出される答えは、現実と一致するわけもなく、むしろ科学的な素養が高ければ高い程納得することはないだろう。だいたい、国家の財政を家計に重ねあわせて考えるという誤りは一般の人が陥りやすいもので、本来は経済学者がそれを正さなくてはいけないことだが、彼ら自身も同様に間違えているようだ。とても一般人を啓蒙できるレベルではないように思われる。