小ネタ 暗記科目経済学 | 秋山のブログ

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またニュース女子(2017.5.22)からの小ネタ。

 

保護主義に関する話題において、司会者が経済学者の飯田泰之氏に自由貿易について説明を求めた。それに対して飯田氏の説明は「自由な取引は必ず双方にとって得。国境をまたいでも話は変わらない。」といった内容であった。

これはマンキューの教科書に出ている有名な説明であるが、注意しなくては騙されてしまう詭弁でもある。それが間違いであるという理由は簡単だ。十分な情報、適切な判断力があるという根拠はないし、合成の誤謬という現象も容易に起こりうる。すなわち必ず得というわけではないということだ。

飯田氏はもちろん例外に関して説明しており、そんな単純なことでないことは理解しているわけだが、問題は主流派経済学の経済学者が垂れ流している詭弁をそのまま記憶していて、適合する話で抵抗もなく出てきてしまうことだ。説明を聞いた人間がずぶの素人なら、自由貿易は常に正しいなどと考えてしまうかもしれない。

 

ところがこれは飯田氏だけではない。須田慎一郎氏も、企業の延命の話題で「すぐ潰せば優秀な人材を新しい企業にやれる」と新古典派経済学者が言っていることを主張していたが、注意深く考えればそれも全く正しくないのである(すぐ潰すことを正当化する詭弁である)。

結局、教科書に書いてあったり、著名な経済学者が言った言葉を覚えるというのが、経済学を学ぶことになってしまっているのではないだろうか。そしてこのような態度こそ、経済学が正しい学問にならない大きな要因であろう。その研究から正しい答えを導き出している経済学者がいるにも関わらず、プロパガンダを鵜呑みにした人間が攻撃をしかけるのである。全くの素人ならどちらが正しいか判断困難となるであろう。経済学はその程度のものとか、その程度の能力しかないと思ってしまうかもしれない。そしてそれは経済学の無責任な体質にも繋がっていくだろう。

それを防ぐためには、他の学問以上に経済学では疑いを持って理論を見て、現実やデータと比較するなどの作業が必要になるだろう。詭弁だらけ、プロパガンダだらけで大変な作業になりそうだが、これをやっていくことは不可避である。