10%に上げただけでなく | 秋山のブログ

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消費税が10%に上がった。何度も述べているように、モノの値段が上がってちょっと嫌とかいった話ではなくて、金利が上がって失業が増えるのと同じ機序で、景気が悪化し、多くの国民が失業したり、収入を減らしたりするだろう。実際連鎖的に働く消費税は、3%の増税で9%の消費を減らしている。

 

軽減税率といった、国民に無駄な労力を強いる一方、効果はほとんど期待できない完全な愚策に対して、もはや言うべきことは何もない。これが消費税による景気悪化に対する万全の対応だと言って、信じる国民がいるのだろうか。

 

今回話題にするのはインボイス制度に関してである。参考となるツベを貼っておく。

(他にもインボイス制度を説明している動画もいくつかあるので、参照されるといいだろう)

 

消費税は、客が支払った消費税を国に収める際に、仕入れの際に支払った消費税分を控除して支払う。今までは請求書があれば、控除されていたものが、登録されている業者のみで認められるようになるといったことだ。ここで問題となるのは、売り上げが大きくない個人事業主やフリーランスなどの免税事業者である。彼らからの仕入れは控除にならないので、取引先から取り引きを控えられたり、値引きを強要される可能性も高い。免税自体が恩恵だから、消費税課税事業者選択届を税務署に出せばいいという意見もあろうが、その労力は、個人であれば無駄で大きいものであり、一方税務署としても猫も杓子も申請すれば業務に支障も起こりえよう。取り引きにおける力関係を考えれば、もともと免税を前提での取り引き価格であった可能性もあるだろう。また、免罪事業者も仕入れは普通あるわけで、そうすると控除が認められないといった話になった時には、消費税が二重課税にもなる。

 

経済において保護すべき個人や零細企業を蔑ろにするというのは間違った方向性である(トリクルダウンは実証上パイ全体を大きくすることはなく、かえって大きくなるのを阻害する。ボトムアップこそパイを大きくする)。消費税の害悪は、非正規雇用や中小企業に大きくでるものであるからダブルショックということになるだろう。WTOに提訴すれば問題になると言われている輸出戻し税をそのままにして、こんなバカなことをするのは全く理にかなわない。

 

今回の変更で、増える税収はそれほど多くないだろう。しかし問題となる害は、かなり大きい。短絡的に考えれば税収が増えそうであるが、景気に悪影響を及ぼしたりする可能性に無頓着で、実際に大きな税収増にも繋がらないこのような改悪は、この件に限らず、今までおこなわれてきた。過去を振り返ってみれば、交際費等の経費を認めない方向に改悪されたのも大きかったし、外形標準課税の導入なども全くとんでもない。税を考える上では、経済全体としてはどのような影響があるか常に考えなくてはいけないはずなのだが、財務省にはその視点が欠如している。

さらに貨幣を正しく理解しているMMT的な立場から言えば、税によってお金を動かすという視点こそ重要だと思われる。すなわち、お金がその効果を発揮せずに淀むレントから取ることを心がけるべきであろう。逆に、今回そして過去に行われた誤りである、悪徳でないモノの生産、需要や供給に繋がる部分に対する税金による抑制は、するべきではない。