経済の好循環を実現しよう | 秋山のブログ

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アベノミクスの有識者会議の中に、経済の好循環実現検討専門チームというのがあって中間報告を出した。これはたいへんよい。日本経済に関する分析もしっかりしているし、経済学のゴミ理論をしっかり見極めて正しい取捨選択をしている。日本の経済学者も捨てたものではないと強く感じた次第である。是非ご一読願いたい。

レポートのポイントを書き出す。(私が今まで書いてきたこととかなり一致する)
〇デフレ(スパイラル)の要因は名目賃金の低下。
〇非正規雇用への転換が、名目賃金低下をさらに加速。(参照
〇バブル崩壊後企業はコストを削減、内部留保蓄積に努めた。(参照
〇家計部門の貯蓄超過に対して、企業部門が投資超過になるという姿こそが資本主義経済にとって健全な姿であるが、現状は決して正常と言えない。(参照
〇各企業からみれば合理的な行動が、合成の誤謬を引き起こし、デフレと言う悪循環を引き起こした。
〇生産性の向上を価格引き下げで吸収するのではなく、需要創出に繋げることが重要。(参照
〇非正規雇用の拡大は、長期的な生産性とイノベーションの低下、成長率の低下に繋がる。
〇労働組合は賃上げよりも雇用維持を優先し、春闘等による賃金上昇をはかるという従来の構造は崩壊した。(参照
〇日本は企業ごとの労組であるが、米国等は専門職ごとの労組があるので、生産性の上昇に伴った交渉がしやすい。(これは目から鱗だった)
〇賃金の上昇は雇用を悪化させない。(参照
〇日本の割増賃金率は低い。

一方、問題点は2つ。
〇法人税減税で分け合うパイが増加すると考えていること。(参照
〇サービス産業において高付加価値化をもとめながら、それに反する規制緩和を推奨したりして矛盾している。

さて、この専門チームのメンバーは、高橋進氏、照山博司氏、樋口美雄氏、吉川洋氏、脇田成氏の5名である。それぞれの方の経歴や書いたもの、話したものをいろいろ読んでみれば、必ずしも賛同できるものでもなかったが、このレポートの内容は日本のみならず世界中の人に読ませたいくらいだ。樋口氏の経歴を見れば慶応で、コロンビア大学にもいたとなっているので、スティグリッツ教授と繋がりがあるかもしれない。英訳してスティグリッツ教授に送ってみてはどうだろう。よい評価をして世界中に紹介してくれるかもしれない(問題点も指摘されるであろう)。

日本の国会議員に関しては必読だと思われる。アベノミクスに反対であれ、賛成であれ、正しい経済の理解なしに議論するのは時間の無駄だ。経済学は別に難しいことはない。論文を読んで評価反論する能力がないのなら、国会議員になるべきでもないだろう。

このレポートに書かれている『経済の好循環を起動させ、日本経済を本来あるべき姿に速やかに戻し、アニマル・スピリットが存分に発揮される力強い経済社会が実現できるよう、本報告の提起が広く国民的な議論の素材となることを期待したい。』というのは、まさにその通りだ。