ステグリッツ教授はかく語りき(法人への課税) | 秋山のブログ

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時々お邪魔しているたけなか氏のブログで、たけなか氏が税の累進性をあげるべきであることを書いていた(氏もスティグリッツ教授の書籍の影響を受けている)。しかしながら法人税は企業が逃げるので上げられないとも述べていた。

P115
『労働者の交渉力を弱める方向で、政府にグローバル化のルールを設定させたあと、企業はさらに政治のテコを使って、法人税率の引き下げを要求することができる。具体的に言えば、税金を下げてくれないなら、もっと税率の低い国に会社を移転させる、と国家に脅しをかけるのだ。』
資本の自由な移動グローバル化もほとんどの人間にとってほとんど価値のないものであることは、既に述べたことであるが、それらがほとんどの人にもたらす害は、果てしなく大きい。適正でない程低い給与で労働させた結果得られる利益は、戦前の小作人に課せられた地代と同様のレントであって、そこにこそ高い税を課すべきところだ。ところが現状は愚かな法人税切り下げ競争である。
正解は、利益を還流してきた時に高い税をかけるということだろう。もちろん、そうすると海外での儲けをさらに海外で使って戻ってこないというマイナスは確かにある。しかし本来そうやって出て行くこと自体感心なことではない(海外で儲けてきたことは国内に還元されうるが、出て行ったデメリットに比べて大きいことはほとんどない)。戻って来て損することが分っていれば、早々出て行かないだろう。

米国ではこんなバカなことがおこなわれた。
P130
『アメリカ企業が海外子会社を通じて投資をした場合、投資収益が国内へ還流してくるまで、アメリカ政府は課税をおこなわない。。。(中略)。。。ここで実業界はブッシュ大統領を言いくるめ、”課税休業”(期間限定で税率を五・二五パーセントに引き下げる措置)の導入を了承させた。。。(中略)。。。結局、企業が払うべき税金の大部分を免れただけで終わったのである。』

外国企業が日本で業務をおこなっているが、資本も設備も技術も他から導入する必要性の薄い日本には本来不要なものだろう。日本の企業が出て行った雇用の穴を、外国の企業が埋めるというのはおかしな構図だ。そのことを実現するための減税競争は馬鹿馬鹿しい。資金の移動に関して十分な課税をするべきである。