オランダ病と日本 | 秋山のブログ

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オランダ病という概念がある。天然資源輸出で大きな貿易黒字を出した国が通貨高によって自国のそれ以外の輸出品の競争力を失う等様々な障害がでるというものだ。日本の場合は、天然資源がないので全く関係ないように見えるが、かなり強い輸出力を持った産業があり、貿易黒字を積み上げ、同時に通貨高に悩まされてきたわけで、構造としてはそれ程大きな違いはない。オランダが取るべきだった方向は、日本が取るべき方向と重なるものもあるだろう。

為替は収支のみで決まるわけではないが、黒字はかなり強い要素であることに異論はないだろう。生産性を上げた途上国の通貨は、上がっていかなくてはいけないはずで、黒字で通貨が上がるということはよいメカニズムではあるだろう。中国のように政治力でどうにかするのも、EUのように制度で固定してしまうのも、問題が大きい。そうならないように黒字にならないようにするというのが、基本であると考えられる。その黒字の解消の仕方は、自らの生産性をさらに高めるようなものにするのが理想だろう(中国だったら、技術のある他国の企業を買い叩くのがいい手だ)。もちろん生活者の消費で解消するというのも別段悪くない。基本的に、現代人は過剰なほど供給力過多であるから。

いざなみ景気では輸出がGDPの上昇分の中で占める割合が高かった。経常収支もこの時期高い。輸出産業が得た収益は、ある程度還元されると言われているが、それは疑わしい。原油高騰が通常の人々の所得減少をおこしたというコメントをいただいたのだが、本当に原油高騰が原因かは別として、拡大する経常収支の黒字が一般の人々に還元されるわけではないことは確かなようだ。

GDPは輸出産業を優遇することにより上昇させることもできるかもしれない。しかしそれは本当の成長ではない。それを本当の成長に繋げるためには、利益を取り上げてそれ以外の人々の仕事や生活にまわす(最低でも国内で消費させる)必要があるだろう。しかし政府のやっていることは真逆に近い。消費税の戻し税等の措置。法人税の減税。それらをおこなうために消費税増税だなんて、馬鹿げているとしか言えないだろう。日本は意図的にオランダ病になろうとしている。