『グレイラットの殺人』(MWクレイヴン著 ハヤカワ文庫)を読んで
人気上昇中のワシントンポーが活躍すミステリーシリーズ第4作。
和訳されている中では最新作だし、過去最高の分厚さ(709ページ)なので、これを読み終えたらしばらくポーに合えないぞと。
じっくり楽しみはずでしたが、つい面白くて2日間で読み終えてしまいました。
ステファニーフリンはこの作ではお休み。
出産後なので、としか言っておかないことにしましょう(笑)。
ティリーブラッドジョー、そして、USAからメロディリーがイギリスにわたり、ポーとともに謎をときます。
VIPが集まる国際会議の会場につとめるヘリのパイロットの死体が場末の売春宿で発見されるところから話ははじまります。
第2作「ブラックサマーの殺人」でちょっと出た元シェフ元兵士の彼がこんな時にまたちょい役で登場するのもなんだかファンにはうれしいひととき。当時の恋人が殺された後に立ち直れるのかなと気になってましたが、まさかこんな形で「立ち直って」ていたとは(笑)
今回の事件はちょっと苦みを感じる結末なんです。
犯人も可哀そうな気がして、犯人にも一理があるように感じられ、
戦争の歴史の残酷な後遺症でしょうか・・・・。
合掌。
『キュレーターの殺人』(MWクレイブン著)早川書房を読んで
ワシントンポーシリーズの第3作目
文句なしに面白かったです。
主役はもちろんワシントンポーと、変わり者同市(笑)の相棒天才娘ティリー・ブラッドショー。
ポーの上司のステファニー・フリンは、おめでたのためあまり登場しませんが、重要な役割を担います。
そういえばじこのシリーズは、毎回新たな女性が登場してきてますが、今回も前作に登場した」ジョーナイチンゲールや、エステルドイルなど魅力的です。
さてキュレーターとは職業名のひとつで、図書館や美術館のスタッフのことで、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門職のことで、究極の学芸員のような存在だと理解しています。なぜタイトルに使われたかというと、この仕事内容にはあまり関係ないように思います。「ハンドルネーム」みたいなものなのかな、それとも仕事の性質がキュレーターに似てるからなのかな?よくわかりませんでした。
以下、ほんのちょっと軽いネタバレがありますよ。
この作品ですが、一般的な市民を身代わり殺人者に陥れる恐るべき心理操作のされ方が記されていて、そこが最も戦慄します。
そしてそのやり方にはIT時代ならではの拡がりが見えており、もしパソコンやスマホなどがなかったら、この手の犯罪は起こらなかったろうと思えます。時代の進化に沿って生まれた恐るべき犯罪ですね。
ちなみに、その真の黒幕とは・・・・・・・・
呆気にとられます。
読まれる方は、慎重に文章を読んでおくと、もしかすると、ワシントンポーが気が付く前に、犯人に気づくかもしれません。多分可能性はかなり微々たるものだと思います。ほんのわずかな表現で気づけるかどうかですね。
『ブラックサマーの殺人』M.W.クレイヴンを読んで
「ストーンサークルの殺人」の3人組がまたまたタッグを組んで、荒涼とした大地・イングランド北西部カンブリア地方での奇怪な犯罪解明に挑む「ワシントン・ポー」第二作目。
いやはや。またまた個性が突出している犯罪人(あえて敵と呼びたい)が、現れました。イギリスを代表するミシュラン三つ星シェフで、類まれな人たらし、そして性の悪いことに、これが史上最悪のサイコパス。
またまた、とんでもない悲劇に落とし込まれてしまうワシントン・ポーが、なんとかかんとか、絶対常識では考えられないトリックを解き明かそうとしますが・・・。
意外なことが次々におこり、もはや半分くらい読んだあたりで、読んでる者としては、悲嘆と絶望で投げ出したくなるくらい・・・。
ブラッドショーとエドガーという無垢の存在になんとか人心地を取りもどしながら、読了しました。
主人公や、脇役以外の登場人物がそれぞれチャーミングな側面をもっているのがなんとも読後感をよくしてくれている原因でしょうか。
それにしても、この犯人、とんでもない。