『夜明けまでに誰かが』(ホリー・ジャクソン作 服部京子訳 創元社推理文庫2025.7)
ホリージャクソン。
前作までのピップシリーズにおいては、
ミステリノベル史上稀有な終わり方(自分調べ)で読者を震えさせて終止符を打った彼女。
ピップシリーズとは潔く別れをつげ、新たな物語を生み出しました。
この作品は単独の本として、彼女のファンに真価を問う、新たな物語かなと思いました。
けっこう、すごいですよ。
私は、これって、誰かの脚本で舞台で演劇として見せたらいいなぁと思いました。
舞台向け。
観たい~!!
状況設定とテーマとストーリーの展開と結末、
そこに生まれた小さな未来への希望。
あいかわらず、ノワールな感じですが、真っ黒ではないところが好きです。
主人公他、生き残った青年たちには幸せになってほしいな~。
それと、登場人物のなかでは一番立ち位置が希薄だったサイモンに
なぜか心が惹かれました。
サイモンにも幸せになってほしい!!
読み終えた後、
人は立ち直れるのか?
そういう 問いが心の中で生じました。
『欲望の大地、果てなき罪 』(上下) ピエール・ルメートル2025.5(ハヤカワ・ミステリ文庫)
ルメートルの小説を初めて読みました。
いいですね~。多くの本好きにおススメですね。
面白い。
翻訳は平岡敦さん。力強く新シンプルで実に読みやすい。たぶん翻訳者の力も大きいなぁという上質な小説。
ミステリでもあり、殺人事件もあるのですが、それは小説全体の味付けみたいなもので
ルメートルが注力して物語を組み立てているのは、「過去の秘密をもった人の悲劇的生き様」です。
ひとつの成功したファミリーがその一人ひとりが過去に犯した過ちや罪により、崩壊していくさまは迫力があります。
ジェフリーアーチャーの描き方にも似ている、社会や時代をしっかり反映したからおとなの読み物になっています。
巨匠といってもいいのかな、という感じでした。
ここから小さいネタバレあります↓
登場人物も極めて魅力的で、彼らの犯した 罪だったら許したいと思う人物が多く出てきます。
しかし一人だけ身の毛もよだつ毒婦がいます。
あれは怖いな~。
「ブルックリン・フォリーズ」(P.オースター)を読んで(再読)
読んでるうちに、「あ、この本、前読んだな~」と思い出しましたが、話の最後がどうなったか覚えてなかったので、
ええい、ままよっ!と読み進めました。
わずか1年くらい前なのですが、記憶力がよくないなぁと軽い自己嫌悪。
話の内容ですが、すごくいい。
主人公の年齢がちょうど私と同じ。感情移入が平易でしたが、逆に自分を赤裸々に見るようで恥ずかしい場面も
少なくありませんでした。
しかし、おもしろいな~と思うのは、「家族や親族との絆」です。
主人公は半分ユダヤ系との設定ですが、なんだかニューヨークを舞台にしたユダヤ系の主人公の小説って、家族の絆をテーマにしているのがすごく多い気がします(サリンジャーとか)。
あと気づけば、同じニューヨークのチャイナタウンを舞台にしたローザンのリディア・チンシリーズも家族や親族との関係があちこちに濃厚に溢れます。
これは、マイノリティだからなのか?それともニューヨークだからなのか?
ラストシーンからして、なんだか「先行き見えない」運命に翻弄されている私たち、って感じで、
なんだか、自分たち人間のちっぽけさといじらしさを感じさせてくれます。
「いろいろあるけど、人生、捨てたもんじゃない」って感じですね。
ちなみに初回時の読書感想はこちらです