ポール・オースター『幽霊たち』(柴田元幸訳 新潮文庫)を読んで
ポール・オースターの作品としては読むのは3作目。
不思議な作品です。
登場人物はすべて「色」の名前で判別されていて、
主人公はブルー、そしてその監視対象がブラック。
主人公は私立探偵で、ずっと張り込みをしてブラックの日常を観察していますが、
このブラックがなにやら一日中机に座ってものを書いていて、
ブルーはその姿を向かいの建物からずっと張り込みしている。
そういう日々が延々と続くという物語です。
やがて、ことの真相があきらかになって、ブルーは段々と精神が不安定になり・・・・。
なんだか、「人生とはなにか?」を感じさせる読後感です。
自分はブルーみたいな人生を送ってないか?
あるいはブラックみたいな人生を送っていないか?
誰かにコントロールされてないか?
偽ってないか?
などなど。