事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

もし、自分ではどうすることもできない現実を突きつけられたら、あなたはどうしますか?
「こんなはずじゃなかった」
「どうして自分だけが……」
そう思いながら、現実を受け入れられずに苦しむでしょうか。
それとも、その現実を受け入れて、
「じゃあ、今の自分に何ができるだろう?」
と考えるでしょうか。
もちろん、簡単に答えられることではありません。
わたし自身も、ずっと答えが分かりませんでした。
でも今は、現実を受け入れることが、前へ進むための第一歩なのではないか。
そう思っています。
そう考えるようになった背景には、母親の死と、海上保安庁を退職した後に経験した自分自身の苦しい時期がありました。
この記事の目次
母親の死を通して考えた「現実を受け入れる」ということ
そう思うようになったきっかけの一つが、母親の死でした。
わたしの母親は、約15年前、70代前半で亡くなりました。
胆道ガンでした。
内臓の奥にあるため、当時はなかなか発見にいたりませんでした。
約2年間、抗がん剤治療や数度の手術を受けましたが完治せず。
最後は、入院していた市立病院からホスピスへの転院を勧められました。
しかし、母親は転院を拒否。
転院すれば、生きることを諦めることになる。
母親にとっては、そういう意味だったのだと思います。
その後、わたしと弟が何とか説得して、転院してもらいました。
転院後の母は、日に日に衰弱していくのが分かりました。
そして、1か月も経たずに死を迎えたのです。
同じホスピスで見た、二つの姿
そんな母親が入院していたホスピスへ見舞いに行くと、廊下で車椅子に乗り、楽しそうに談笑している方々がいました。
明らかに、そのホスピスの患者さんです。
その時、不思議に思いました。
生きる意欲を失い、衰弱していく母。
一方で、同じホスピスの廊下で笑いながら談笑している方々。
何が違うのだろうか?
そのホスピスにいるということは、みなさん自分の病気が治る見込みがないことは理解しているでしょう。
しかし、母親のように生きる気力を失ってしまう人もいれば、同じ患者さん同士で笑って話をしている方々もいる。
いったい何が違うのだろう?
わたしは、ずっと不思議に思っていました。
その答えのようなものが少し見えてきたのは、それから何年も経ってからです。
海上保安庁を辞め、今度は自分が人生に苦しんだ
今度は、わたし自身が人生で苦しむことになりました。
海上保安庁を辞めたものの、やることなすこと、すべてうまくいかない日々が続きました。
将来が不安で不安でたまりませんでした。
「この先、俺はどうなるんだろう……」
そんなことばかり考えていたのです。
そんな辛い毎日を送っていたある時、
「そもそも、どうして俺は海上保安庁を辞めたんだろう。」
「自分は何がしたいのだろう?」
そう、自分自身に問いかけたのです。
「自分はどう生きたいのか」が見えた時
そして、自分の内側から出てきた答えが、
「コーチングと研修や講演を通じて、人々の役に立ちたい」
そんな想いだったんですよね。
そうすると、不思議なことが起こりました。
目的がハッキリすると、心が楽になったのです。
それまでのわたしは、
「どうしてうまくいかないんだ」
「これからどうなるんだ」
そんなことばかり考えていました。
でも、自分がどう生きたいのかがハッキリしたことで、
「じゃあ、今の自分に何ができるか」
を考えることが出来るようになったのです。
それからは、昼夜アルバイトを掛け持ちして家族を養いながら、ワークショップや講座を開くようになりました。
当時のスケジュールは、今でもGoogleカレンダーに残っていますが、我ながらよく頑張ったと思います。
現実を受け入れることは、諦めることではない
何が言いたいかというと、
現実を受け入れないと、前へ進めないということです。
ネガティブを受け入れないと、ポジティブにはなれないということ。
もちろん、受け入れるというのは、
「諦める」
ということではありません。
自分ではどうにもならない現実を、
「今はこういう状況なんだ」
と認めることです。
現実を受け入れられないと、
「こんなはずじゃない」
「こんなの嫌だ」
「どうして自分だけが」
と、変えられないものと戦い続けることになります。
しかし、現実を受け入れることができれば、
「じゃあ、これからどうする?」
「今、自分にできることは何だろう?」
そこへ目が向くのではないでしょうか?
変えられないことを手放し、今できることを考える
もちろん、もしもわたしが余命宣告をされたら、ホスピスで談笑していた方々のように残りの日々を過ごせる自信はありません。
泣きわめくかもしれません。
「死にたくない」
と取り乱すかもしれません。
だけど、人は100パーセントの確率で死を迎えます。
すべての人間は死にます。
生まれた瞬間から、死に向かって生きていきます。
これは、紛れもない事実です。
だからこそ、
どうせ死ぬなら、それまでの時間をどう過ごすのか。
死を実感することで、
「今をどう生きるか」
「自分はどう生きたいのか」
そこへ目が向くんだと思います。
過去を変える。
他人を変える。
起きてしまった現実を変える。
そんな、自分ではどうにもできないことはスッパリと諦める。
でも、
自分がどう生きたいのか。
そのために、今の自分に何ができるのか。
そこは諦めない。
自分にできることを、淡々と毎日積み重ねていく。
そして、その中で人々にどう貢献できるかを考える。
少なくとも、わたしはそんな想いで毎日を生きています。
あなたは、どうでしょうか?
もし今、自分ではどうすることもできない現実に苦しんでいるとしたら、
「どうしてこんなことになったんだろう」
だけではなく、
「この現実の中で、今の自分に何ができるだろう?」
そう、自分自身に問いかけてみてはいかがでしょうか。
まとめ|自分の人生をもう一度、自分の手に取り戻す
人生には、自分の力ではどうすることもできないことがあります。
- 過去に起きてしまったこと
- 他人の考えや行動
- 思い通りにならない現実
そこに力を使い続けるのではなく、まず「今はこういう状況なんだ」と認めてみる。
そして、
「では、今の自分に何ができるのか?」
と問いかける。
現実を受け入れることは、人生を諦めることではありません。
むしろ、
自分の人生をもう一度、自分の手に取り戻すためのスタートなのかもしれません。
心を整え、「今できること」を考えるために
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、変えることのできない現実と向き合いながら、「今の自分にできること」を考える切っ掛けになれば嬉しく思います。
筆者プロフィール
安田伸也|心の安全設計室代表・心の安全コンサルタント
元海上保安官・潜水士。海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船・沈没船の捜索、領海警備など3,000件以上の事件・事故に関わる。一方、在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、長年メンタル不調を繰り返した経験を持つ。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は建設業、建築業、製造業などの安全大会や企業研修で、事故防止、心理的安全性、コミュニケーション、メンタルヘルスなどを伝えている。「自死ゼロ・事故ゼロの世界を創り、笑顔で働く人を増やす」ことを使命に活動中。
