事故を防ぐのは、心の安全から。
心の安全設計室
心の安全コンサルタント
安田伸也です。

「他人に優しく自分に厳しく」は本当に正しいのか?
日本では昔から
「他人に優しく、自分に厳しく」
という価値観が美徳とされてきました。
ですが、心理学を学ぶほどに、私はこう感じるようになりました。
それは現実的にかなり難しい考え方ではないか?
なぜなら人は、
自分に禁止していることを他人がやると強く反発する
という性質があるからです。
この記事の目次
なぜ人は他人にイライラしてしまうのか?
例えばこんな経験はありませんか?
自分は我慢しているのに、自由に振る舞う人に腹が立つ
ルールを守っているのに、破る人にイライラする
実はこれ、あなたの心の問題というよりも
心理的な仕組みとして自然な反応です。
私自身、海上保安庁にいた頃
ストレスで抑うつ状態になっていました。
その当時は
「組織には従うべきで、自分の意見は言ってはいけない」
という思い込みがあったのです。
そんな中、ある後輩が
組織の方針に対して「私はこう思います」と自分の意見を述べたんです。
その時、わたしは…
「なんだこいつ…!」とムチャクチャ腹が立ちました。
でも今なら腹が立った理由が分かります。
それは
「自分が禁止していることを、相手がやっていたから」
なんですよね。
自分に厳しすぎると、他人にも優しくできない
このように、
自分を抑えつけている
自分の感情に見て見ぬ振りをしている
状態だと、その反動で
他人に対しても厳しくなってしまうのです。
つまり、
「他人に優しくするためには、まず自分に優しくする必要がある」
ということなんですよね。
心を整えるカギは「自己共感」
ここで参考になるのが、心理学者でありカウンセリングの基礎を築いた
カール・ロジャース の考え方です。
彼は、良い人間関係を築くために重要な「中核三原則」を提唱しました。
中核三原則とは
- 共感的理解(相手の立場で理解する)
- 無条件の肯定的関心(評価せず受け入れる)
- 自己一致(自分に正直であること)
これは「傾聴」とも呼ばれる重要なスキルの要素です。
ちなみに産業カウンセラーの研修では、模擬セッションを通じて、徹底的にこの訓練をします。
そして実はこれ、
他人だけでなく“自分自身”にも使うことができるんですよ。
自分に優しくする具体的な方法
例えば、イライラしたとき。
ただ我慢するのではなく、こう声をかけてみてください。
「そりゃ腹も立つよね」
「よく頑張ってるよ」
これは単なる慰めではなく、
”自己共感(セルフコンパッション)”
と呼ばれる有効な心理アプローチ。
こうして自分の感情を受け止め、客観的に観てあげることで、
気持ちが落ち着く
思考が整理される
他人にも優しくなれる
といった変化が起きます。
「自分に優しくする」は甘えではない
ここまで読んで、「自分を甘やかすってこと?」
と思ったかもしれません。
しかし、
「自分に優しくする=甘やかす」ではないのです。
「甘やかす」とはやるべき事を見逃すということ。
「自分に優しくする」とは、
現状を認める
感情を受け入れる
結果ではなく努力を認める
ということ。
むしろこれは、
心の回復力(レジリエンス)を高める行動です。
人は「他人からの評価」より「自己承認」で満たされる
最後に大切なことをお伝えしますね。
実は、
人は、他人に認められること以上に
自分で自分を認められたときに満たされる
のです。
自分で自分を認められるからこそ、自分を信頼し、積極的に行動できる。
いわゆる”自己肯定感”が上がるのです。
だからこそ、
自分の気持ちに共感する
良い悪いと判断せずにそのまま受け入れる
自分の想いと行動を一致させる
この3つを、ぜひ自分自身に向けてみてください。
まとめ|これからの時代は「自分にも優しく」
これから意識してほしいのは、
「他人に優しく、自分にも優しく」
というスタンスです。
自分を大切にできる人ほど、
結果的に他人にも自然に優しくなれます。
まずは今日、ひとつでいいので
「よく頑張ってるね」と
自分に優しい言葉をかけ労ってあげてください。
きっと
「明日も頑張ろう」
そんな気持ちになりますよ。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、自分に厳しくしすぎるのではなく、自分の気持ちにも優しく寄り添う切っ掛けになれば嬉しく思います。
筆者プロフィール|安田伸也
元海上保安官・潜水士。海上保安庁に約35年間勤務し、潜水士、巡視船航海士、巡視艇船長などを経験。海難救助、転覆船や沈没船の捜索、領海警備、密漁船や密輸船への対応など、3,000件以上の事件・事故に関わってきました。
在職中には職場の人間関係やコミュニケーションに悩み、約20年間、うつやパニック障害などのメンタル不調を繰り返しました。退職後に心理学やコーチングを学び、現在は心の安全コンサルタントとして、安全大会や企業研修で、心理的安全性、コミュニケーション、メンタルヘルス、事故防止などを伝えています。
