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 『秀真伝』の内容を分かりやすく語ってくれている著作。宇宙が孕む「壺(ウツボ)」に関する主要なポイントは、『ガイアの法則』に書かれている記述に呼応しているだろう。95年1月初版。再読。

 

 

【宇宙の根本原理を見立てた3要素】
 日本には古代から自然と一体となった、すぐれた「宇宙原理」が存在していました。その中でもっとも根底となる基本要素が3つあります。それは〈円〉〈柱〉〈螺旋〉です。
 この3要素は宇宙の根本原理の「見立て」であり、地上と天界との交流をはかり、地上に天界の「楽園」を移す(写す)ためのものだったのです。また〈円〉〈柱〉〈螺旋〉は、日本の三種の神器である〈鏡〉〈剣〉〈璽(をしで)(曲玉)〉として象徴的に伝えられました。(p.3-4)
 〈円〉と〈螺旋〉は、回転運動として見立てることができる。現在でも日本各地で行われている盆踊りは、その名残。
   《参照》   『ガイアの法則』 千賀一生 (徳間書店) 《中編》

             【意識領域の拡大とスピン(回転)運動】

 

 

【矢的】
 神事として行われる弓道の的と、そこにつき立つ矢の関係も円と直線です。矢が御柱を、的が御座を象徴し、矢と的で「ヤマト」の国が完成したことを象徴的に示しているのかもしれません。(p.279-280)
 伊勢神宮の伊雑宮の近くには「矢的」ではなく「的矢」「的矢湾」という地名がある。
   《参照》   『女という生き方』  木村佳代子  ピエ・ブックス

             【浦上博子】

 

 

【3つの母胎】
 『ホツマツタヱ』には、妊娠過程と、宇宙創成過程の照応性が解かれています。したがって、〈人間母胎〉〈地上母胎〉〈宇宙母胎〉の3つが照応していることになります。これは『ホツマツタヱ』からしか導き出せません。世界のいかなる伝承からも。そして古代の宗教儀礼の帰着するところは「母胎回帰」なんです。それに転生観が関係してきます。(p.36)
 宇宙が空間を孕み出すという認識が、下記のリンクに記述されている。
   《参照》   『ガイアの法則』 千賀一生 (徳間書店) 《後編》

             【物質科学】

 『ホツマツタヱ』でしかわからない「高天の原」と〈大壺(空)〉の関係は、世界的に確認されている〈腹=母性=壺〉という宗教上の基本概念とまったく一致するわけです。このことは『古事記』『日本書紀』からは、まったく導き出すことができません。 ・・・(中略)・・・ 『ホツマツタヱ』が『記』『紀』以前のわが国の真伝であるからにほかなりません。
 以上のことから、わが国古来の宇宙構造は、
 ① 高天の腹(たかまのはら)=<腹> ②大壺(うつぼ)=<子宮> ③天(あめ)=<胞衣> ④地球(くにたま)=<胎児>
 だったことが明確になるでしょう。(p.143)
 古代ギリシャ文明の中心となっていたのは「デルフォイの神殿」。この名は子宮を意味する「デルフォス」に由来している(p.288)という。

 

 

【妊娠過程に関わる月名】
 睦月、如月、弥生、・・・と続く、日本に古来から伝わっている月の名称は、本来、妊娠過程を象徴したものだった。
 精子と卵子がなかよく結合し睦み合うことから、妊娠第一ヶ月を「ムツキ(睦月)」というのです。(p.302)
 六ヶ月になると、胎児の「水」が乾き、それによって臍帯に血液が通うということが書かれています。水が尽きるから「ミナツキ」とよぶのです。
 七ヶ月目は足踏みをすることから「踏み月」といいます。
 八カ月目には、「八月にて 十二歯成り歯の 歯成るとき」と書かれ、胎児に12本の歯が形成されることから、八ヶ月目を「ハツキ」とよぶことがわかるでしょう。(p.309)
 出産は十月十日とよく言われますが、 ・・・(中略)・・・ 一ヶ月から十ヶ月を経て「一十(ひと)」としての全てが備わり、この世に生まれ出づるのを待つのです。 ・・・(中略)・・・ 神の位に座すゆえに妊娠十ヶ月を「神名月」と呼びます。「カンナヅキ」は、諸神が出雲に集合し、他の地では神に不在になるから「神無月」などと解釈されていますが、これはまったくの付会説としかいえません。(p.310)
 広辞苑を引いても、7月は「文月」、8月は「葉月」としか表示されないくらいだから、その由来だって勿論書かれてはないない。

 

 

【言霊の淵源】
 『万葉』が男性的なのは、奈良時代の大陸様の影響ですね。『古今』は手弱女風です。『ホツマ』は、その両者の要素を備えている。
 また『万葉』は「言霊」という言葉がいくつか出てきますが、すでに、その「言霊」がどのようなものなのかは伝わっていません。その淵源が『ホツマ』なんです。(p.25)

 一音一音が神として祭られ、整然とした体系性と、それぞれの言霊的役割が明解にわかるのも、世界でも「ホツマ三書」以外にありません。(p.61)
 言霊について詳細に記述されているのは、「ホツマ三書」のひとつ「フトマニ」。
    《参照》   『天河』 柿坂神酒之祐 (扶桑社)

              【フトマニ】

 

 

【「八咫の原理」】
 8という数に関する原理を〈八咫の原理〉と呼びます。
 したがって、「人の位」としての〈子音〉が八行であるということは、たんなる偶然ではなく、〈八咫の原理〉との関連において、ごく重要な必然的意味をもつものといえましょう。(p.73)
 『秀真伝』は、ヲシデという文字で書かれているのだけれど、ヲシデの構造図は、下記リンク書籍に取り込んである。
   《参照》   『「秀真伝」が明かす超古代の秘密』 鳥居礼 (日本文芸社) 《後編》

             【「八咫の原理」を象徴するヲ】

   《参照》   『古神道入門』 吾郷清彦・松本道弘・深見東州 (たちばな出版) 《後編》

             【聖なる数 ―― 八 】

 

 

【日本語の母音は宇宙五元素と一体】
 日本の空(うつぼ)・風・火・水・埴(はに)の宇宙五元素説が、「四大」「五大」「五行」などと大きく異なる点は、それらが、〈宇宙音〉としての日本語の五母音と一体であるとされることにあります。言語のかわりに母胎としての母音が、宇宙万有の源泉である五元素としての一体であるとする考え方のすばらしさを知らなければなりません。(p.80-81)
 ヲシデの〈父型〉は宇宙創成の果程をあらわしていたのです。(p.82)
 下記リンクの記述は、このような『秀真伝』の内容を念頭に置いて書いたもの。
   《参照》   日本文化講座⑩ 【 日本語の特性 】 <後編>

             ●《言霊》それは日本語の中に生きている縦の秘儀である●