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 75歳以上の女性ばかり50人の、大小いくつかの写真と座右の銘、それに簡略なプロフィールと取材した著者の印象が小さな字でページの右下に記述されている。

 

 

【高齢女性が持つ精神力の秘密】
 著者は、この本の作成動機を “あとがき” の中で、このように書いている。
 1995年、私の生まれ育った神戸で大規模な地震が起こり、73歳にもなる母も長年住みなれた家を瞬時にして失いましたが、銀行から借金をし、新たに家を建てました。震災直後の凛とした姿を見て、長年日本舞踊の師匠として働いている母の底知れぬ逞しさに本当に驚いたのです。
 21世紀を迎えた今、母を始として、女性であるが故の障害、あの忌まわしい戦争をも物ともせず我が道をひたすら歩んできた女性たちのしなやかで逞しい精神力の秘密を探りたいと思いました。
 そうすることが、昭和30年代からバブル絶頂期まで、高度成長をひた走ってきた日本という国を振り返ることになるのです。これから先、未曾有の高齢化社会を生きてゆかねばならない私達に対する大きな指針にもなるでしょう。
 それでもって、取材した方々の “座右の銘” が大きな活字で掲載されている。

 

 

【浦上博子】
 弓道家。九段。大正15年兵庫県の西宮市に生まれる。
 「和而不流 (わしてしこうしてながれず)」
 普通は、「和して同ぜず」なのだろうが、「流れず」 がいかにも弓道家である。
 ところで、弓道家という職業があることに驚いた。日本中どこにでもある職業ではないだろう。
 浦上さんの生地、西宮にある西宮戎大社は、日本中の戎さんの総大社である。「えびす」 には戎のほかにも、恵比寿、蛭子、夷といった漢字がある。夷の字を分解すると、“大きな弓” である。弓の中でも日本の和弓は世界中で最も大きな弓なのだろう。
   《参照》  日本文化講座 ① 【 七福神 】
 写真に写っている浦野さんの弓手(ゆんで:左腕)はかなり逞しい。着物に隠れて見えないけれど雌手(めて:右腕)はさらに逞しいはずである。
 実年齢は83歳であろうけれど、60歳程度に見える。この本の中ではもっとも精神に張りのある方のように見受けられる。「大和(矢的)の道」 に長じている方は老けないらしい。
 

 

【岡本宮染】
 新内家元。明治44年名古屋に生まれる。人間国宝であられる故・岡本文弥師匠の奥様
 「男はしっかりした女がついていないとダメ」
 多分、その通りだと思います。
 今日の日本があるのは、きっと気骨ある素晴らしい女性の皆様がおられたからこそであると・・・・思います。
 
 
<了>