《前編》 より
 

 

【陸軍のトップ二人が天皇におこなった報告】
 サイパンが陥落して日本側にとって戦況不利となっていた頃のこと、
 内容は、「まもなく原爆作戦をやりたいと思いますが、よろしいですね?」 という念押しに近かったろう。
  ・・・(中略)・・・ 。
 太平洋の米軍に日本原爆を叩きこんで大逆転。第二のパールハーバー。それは実際に東条・杉山にまで案が上げられ、天皇に報告するところまで行っていたのだ。
 ということは、それを実現できる見通しも、この1944年夏の時点で ―― つまりアメリカの広島原爆より1年も早く ―― ついていたということだ。 (p.204)
 しかし、
 日本の原爆開発の進み具合と、そのハワイへの投下計画を聞いた後、昭和天皇はとても静かに、しかし非常に強く、こう答えられた。
 「自分はそれに反対である」 (p.205)

 

 

【「悪の宗家」になるではないか】
 昭和天皇のその発言(なぜ原爆攻撃に反対するのかの理由)はこうだ。
 「数か国がその新兵器開発を競っているとのことだが、日本が最初に完成し使用すれば、他国も全力を傾注して完成させ使ってくるようになるであろうから、全人類を滅亡させることになる。
 それでは、人類絶滅の悪の宗家に日本がなるではないか。 ・・・(中略)・・・ 」 (p.208)
 昭和天皇の反対によって、日本は世界史に 「悪の宗家」 として名を留めることにはならずにすんだ。
 日本は破壊のエネルギーを封印してきた国である。天皇はそういった意識の流れを継承する中心的な役割を持っていたのであり、国民に対する慈愛と共に、世界に対して日本が果たさねばならない役割が当然のこととして念頭にあったのだろう。
   《参照》   『日本人が知らない「人類支配者」の正体』 太田龍・船井幸雄 (ビジネス社)
               【破壊のエネルギーを封印してきた日本】

 日本人がもつ世界統治観は “徳による正義” なのであって、 “Power is Justice(力こそが正義)” という暴力と略奪がセットになった欧米の世界統治観ではないのである。

 

 

【杉山元師を諌めた天皇陛下】
 杉山元師もやはり恐懼はしたものの、それでも 「勝つにはどうしても原爆が必要だ」 と考えた。それでその後も、全責任は自分が被ることにして、そっと開発を続けさせ、ついに 「原爆を積むロケットの燃料実験」 をやるところまで漕ぎつけた。 ・・・(中略)・・・ 。
「ところが、そのロケットの燃料製造過程で、誤爆事故が突発し、それがふたたび陛下に知れるところとなった。
 陛下は私(杉山)を呼ばれ、 『まだやっていたのか!』 と強く諌められた。まことに面目ないことであり、それ以上続けることはできなくなった」
 杉山元師はこう岩田氏に打ち明け、かくも天皇の心を煩わせた責任をとって、日本が勝っても負けても 「自決して陛下にお詫びする」 と語ったという。
 そしてそのとおり、終戦直後、杉山氏はみごとな自決を遂げた。(p.213-214)
 陛下の意に背いていた杉山元師の行動を責めることはできない。それも 「日本を守る」 という一念だったのである。しかし、天皇陛下は 「人類を守る」 という視点で生きていた方である。
 昭和天皇はきわどいところで、世界でただひとり人類視点に立ったことで、二度もなんとか阻止しきったのである。(p.214)
 もしも、日本が原爆を先に使用していたら、広島・長崎だけでは決して済まなかっただろう。
 当時の米大統領トルーマンは、最初にアメリカ原爆で広島を破滅させた直後、日本がなおも抵抗を続けるなら、「 “原子爆弾の雨” は “ひきつづき” 日本人の頭上に降り注ぐだろう」「つまりケダモノはケダモノとして扱われるだろ」 と世界に向けて声明した。(p.217)
 ケダモノは、天皇陛下を頂点とする日本人ではなく、アメリカの支配者たちである。

 

 

【いまだに戦争は続いている】
 戦争をビジネスとして肥え太ってきた “闇の権力” は、2012年をタイムスケジュールとして、中東で大いなる祝祭としての核戦争を実施する計画で事を進めてきた。
   《参照》   『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』 ベンジャミン・フルフォード (青春出版社)
               【世界の大きな動き】

 しかし、これがうまくいかないとなれば、東アジアが次の候補地として狙われるのである。しかも、狙われるのは経済的に豊かな国、日本である。国家間の対立をもって戦争を起こせないとなれば、パンデミックを引き起こすような生物化学兵器としての細菌が、日本のはるか上空からから振り撒かれるのであり、軍事科学技術を使って意図的に地震を起こすのである。
 東大地震研究所がまったく予測できなかった3月11日の大震災以降、福島県の浜通り地方を震源とする大きな地震が2度も起こっている。最初から福島原発を狙っていたのだろう。

 

 

 お金だけが幸せの原資と思いこんで成長してきた近年の日本人は、すでに経済戦争に敗れ、3・11によって形を変えた核兵器による被曝を体験しているのである。
 昭和天皇が御存命であられたなら、どう思いどう行動されたのだろうか。

 

<了>