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 宇宙のリズムとはいっても、人体にもっとも影響が大きい天体は月であり、それ以外の天体については殆ど記述されていない。シュタイナーの他の著作と同様に、キリスト存在にかかわる太陽霊についての記述はあるけれど、太陽と人体に関する明確な記述はない。

 

 

【知的活動は午前中】
 午前中が勉強・知的労働に適しており、午後が野外活動・肉体労働に適していることは、だれもが経験的に知っています。夜は芸術的・情緒的なことに向いています。午前が思考、午後が意志、夜が感情というふうに分類できます。(p.7)
 私はこれらを経験的に認知してこなかった。言われてみればそうかもしれないと思う。
 始業10時、終業6時というプロジェクトに参加していたことがあるけれど、実に緩慢な進捗状況のプロジェクトだった。韓国企業のサムソンは7時~4時だという。しかも残業している者は無能と言う評価。これは、圧倒的に優れていると思う。
   《参照》   『サムスンの最強マネジメント』 申元東 (徳間書店)
            【7・4制度】

 「朝を制する者は一日を制す」 と言うけれど、日本企業は、サムスンに毎日敗北し続けていることになる。
   《参照》   『もう朝だぞ!』 友常貴仁 (三五館)
             【日出づる国、日本の朝】

 

 

【血圧とアストラル体】
 人間が眠ると、アストラル体と個我は身体の外に出ていかねばなりません。低血圧だとしましょう。そうすると、アストラル体の活動がわずかになります。そうなると、人間は自分の身体のなかで、絶えず小さな失神を感じ、その結果、虚弱になり、器官が正しく形成されません。(p.41)
 睡眠中に体を冷やしてしまうと低血圧状態になっているのだろうか。そんな日は、体調ばかりではなく頭の冴えまで全然ないという体験は誰でもあることであろう。アストラル体(心魂)がかなり希薄になっているのだから、冴えていないわけである。
 肉体と霊体は連動している。特に血液と霊体との関連は深い。

 

 

【踊りと体操】
 人間は身体を動かそうとしますが、地球に適したように物質的身体を動かそうとはしません。人間はエーテル体に従おうとします。エーテル体は円環運動をしようとします。それで、人間は踊ります。踊るのは、人間が物質的身体ではなくエーテル体に従おうとすることなのです。踊りたいと欲望するのは、人間が物質的身体を忘れて、自分は宇宙に属する存在であると感じることができる、ということなのです。(p.69)
 人間は地球に属する動きに慣れねばなりません。この通常の動きを、私たちは教育のなかにも受け入れねばなりません。体操です。(p.70)
             【ダンサーとは喧嘩するな】
             【狂ほす】
 踊り(円環運動)は宇宙に属し、体操は地球に属する、ということ。
 これを読んで、ヒンズーの踊るシバ神を思い出してしまった。それらは宇宙のリズムを象徴しているはずである。宇宙のエネルギーをそのまま取り入れるために動的な踊りを用い、地球のエネルギーを取り入れるために静的なヨーガのような瞑想ポーズが考案されてきたはずである。
 冴えた星の見える西アジアの乾燥した砂漠地帯で、星のエネルギーを直接ダウンロードするゾロアスター教のような宗教が起こり、インドで人間の内的開発に傾斜した仏教が起こったことにも対応している。

 

 

【霊的精神世界】
 エーテル体を鍵として考えると、体操の延長であるスポーツのしすぎは180度意味合いが変わってしまう。
 「文武両道」 という言葉があるけれど、武道を西洋起源のスポーツに置き換えるなら、「文武両道」 はかなり難しくなる。
 人間は精神世界を考えないことによってのみ精神世界から遠ざかる、と思ってはなりません。スポーツをしすぎることによっても、精神世界から遠ざかるのです。つまり、物質的身体をエーテル体からまったく離れさせることによって、人間は精神世界から遠ざかるのです。
 スポーツに打ち込むと、人間は精神的なものを忘れます。そういう人たちは、死ぬと、すぐに精神世界から戻ってきます。西洋文明全体が精神を受け取らないと、精神世界に戻りたくない人間のみが、地上に住むようになるでしょう。そうなると、しだいに地球を崩壊させる人間たちのみが、地上に住むようになるでしょう。すでに、そうなりはじめています。人間がもはや、まったくエーテル体へと向かわず、物質的身体のみに向かうと、地上には恐ろしい状態が到来するでしょう。(p.72)
 今日の日本人が、日本古来の霊的精神文化を失っている原因もこれだろう。日本の古武道などは、専ら霊的精神と連動するものであり、故に呼吸法とも不可分な関係にあった。今や日本では、霊的精神も呼吸法も関与しない西洋起源のスポーツが真っ盛りである。
 スポーツ振興の立役者であるスターたちは、国民的ヒーローでありながら、精神世界を理解できない人々として末長く顕彰されるのである。これでは、日本を日本たらしめてきた霊的精神的文化が維持できるわけはない。
 日本人であれ西洋人であれ、スポーツのしすぎで精神(霊)的なものを理解できなくなり、人生を物質的なものとしてしか理解しかできない人間たちは、死んだ後、行くべき星を判別できず、無自覚に自縛霊となって地球上に居残り続けるのである。こういった数多の存在が、まさに地球の崩壊を強力に加速させている。

 

 

【地球と月と太陽】
 地球は12月末、みずからの心魂を完全に内に保ちます。人間が息を吸って、空気を自分の中に保つように、地球は心魂を吸い込んでいます。
 そのころがイエスの誕生とされたのは正当なことです。 ・・・(中略)・・・ 。ゴルゴダの秘儀のころ、古代の密儀に参入した者たちは、地球が息を吸っている時期にイエスが誕生したことに、深い意味を結びつけました。
 これらの密儀参入者たちは、つぎのようなことを述べました。カルディア文化・エジプト文化において密儀参入の場が発生した古代には、高次の太陽存在について語られました。 ・・・(中略)・・・ 。彼らは、日光の霊性を直接観察することはありませんでした。日光を、月に反射された形で、観察しました。 (p.137-138)
 密儀参入者たちの長老が弟子たちに、「星の位置を、月光との関係で見てはいけない時代がやってくる。未来には、宇宙は別様に地上の人間に語る。太陽の光が直接、観察されねばならない。私たちの精神的な認識のまなざしは、月の開示から太陽の開示へと移っていかねばならない」 と、言いました。(p.139)
 イエスが生まれたのは冬至の頃。すなわち一年の内で太陽の影響が最も弱い時期であり、相対的に月の影響が強い時とも言える。神道では古来から年に2回、夏至と冬至に、大祭をおこなう習わしがある。陽と陰で、太陽と月に対比される。陰が極まる冬至の大祭は “大祓い” といわれている。霊的な穢れを払うということであり、霊の住むべき天体は月である。月は仏教の波動天体でもあり、キリスト教および仏教は月霊の法則をメインとして、およそ2000年間の双魚期の地球を感化してきのであろう。
 上記の書き出しの中に “私たちの精神的な認識のまなざしは、月の開示から太陽の開示へと移っていかねばならない” とあるのは、ダイレクトに太陽を波動天体とする太陽霊の法則をメインとした時代になることを予告しているのである。
 太陽を国旗に持つ日本に古来から伝えられている神道が秘め置いてきたものが、活用されるようになるということだろう。
   《参照》   『神霊界』 深見東州 (たちばな出版) 《後編》
            【明治維新は月神霊界と太陽神界の分岐点】
            【物質文明と精神文明の逆転】

 

<了>

 

  ルドルフ・シュタイナー・著の読書記録

     『人間の四つの気質』

     『世界史の秘密』

     『仏陀からキリストへ』

     『第五福音書』

     『はじめてのシュタイナー』 志賀くにみつ