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 3年間に渡って闘病生活を送っていた著者。びっくりするほどたくさんの病気を抱えていたそうである。そこから回復して最初に出したのがこの書籍なのだろう。2007年6月初版。

 

 

【日本民族の思想的弾力性】
 昭和天皇が下した判断で、もう一つ評価できるのは、皇太子(今上天皇=1933年~)の教育を異教徒であるヴァイニング夫人(エリザベス・ヴァイニング、クエーカー教徒=1902~90)に託されたことです。国家神道の司祭者として、まことに思いきった決断をされたわけですが、この効果は少なくなかった、といえます。
 これなども、多神教の国・日本だからこそできた、といえるのではありませんか。価値観がすべて 「唯一の神」 に収斂する一神教の国では、考えられないことです。日本民族の思想的弾力性、対応の融通無礙の特性を立証する、最適の事例の一つともいうことができるのではないでしょうか。(p.14)
   《参照》   『子どもが孤独でいる時間』 エリーズ・ボールディング (こぐま社)
             【クエーカー教徒 と 惟神人(かんながらびと)】
   《参照》   『日本人を幸せにする経済学』 日下公人・森永卓郎 (ビジネス社)
             【核を持つか否か】 

 

 

【足の引っ張り合い】
 鈴木梅太郎(1874~1943年)という、ビタミンB1を発見した日本人科学者がいます。その鈴木の残した研究を勉強して、ビタミンCを発見したアメリカ人の ライナス・カール・ポーリング(1901~94年)にノーベル賞が授与されました。また、鈴木梅太郎がノーベル賞を取るかどうかという瀬戸際には、日本で足の引っ張り合いが盛んでした。中傷の投書がいっぱいノーベル賞の選考委員に届いているのです。異性関係のスキャンダルだとか金銭関係の醜聞だとか、それが全部捏造です。・・・中略・・・。
 ユダヤ人の場合は反対です。関係者みんなで助け合います。パッと結束します。(p.44-45)
 亡国やディアスポラを経験せざるをえなかったユダヤ人と、海洋という防御壁に守られて比較的安穏として生きてこられた日本人、という違いがこのような差になってしまうのだろう。
 実は、日本人に日本という国家意識が生じたのも、ディアスポラ後のユダヤ人達が三々五々日本に辿りついた後のことなのだという。今でも日本の国防として神霊界が動く場合は、日本に結集してきたそのような外来の存在たちであり、根っからの日本人は国際的にはかなりノー天気なのだろう。
 未だに自分の栄達ばかりを考えて、国際社会の中での日本の役割を自覚できていない卑小なる人々が、足の引っ張り合いに興じている。
   《参照》   『禁断の日本超古代史』 宗川日法 (グリーンアローブックス)
             【日本・ユダヤ同祖論の傍証】

 

 

【母性を失った母親】
 いささか極論ですが、ニートと呼ばれる人たちが生まれる背景には、母親が本来持っているはずの母性を失っていることが挙げられます。そのために母親から吸収するものが乏しくなってしまって、「うるせえな、このやろう」 と怒鳴られる対象が母親になってしまったわけです。
 もう母性が乏しいわけです、今の日本の母親に。したがって、子供は母性吸収ができないのです。本当に豊かな、そして高貴な母性を発散できるような母親が減っています。これは日本人の美質が一面、壊されてきている証拠です。(p.47)
 まったく同感。男の子にしてみれば、ルーツの遮断に近い感覚になるであろうし、女の子の場合は、母性喪失を継承して家庭は必要を感じないものになって行くのであろう。

 

 

【理想の日本人を排出する構造】
 理想の日本人を排出する構造を喫緊につくらなければなりません。それこそが現在の日本の緊急の課題です。そのためにはどうしたらいいのでしょうか。一つには母性の復活と父性の復活です。父性豊かな、時には雷おやじにならなければならない父親が弱くなって、子どもに迎合して、お金ばかり与えています。これではいけません。
 ルソーは、こんなことを言っています。「子どもを堕落させるのは簡単だ。子どもが欲するものを100%与えろ」 と。 (p.139)
 与えたくても与えられないような貧しい時代の方が、家族はまとまっていたのだろうし、子供は頑張る気力というか底力を蓄えていたのは間違いない。
 国や民族の未来を背負って立つ人は、必ずや貧しい環境で育っているはずである。年収1000万以上の家庭が殆どという昨今の東京大学卒の人材には、それほど多くは期待できないのだろう。
   《参照》   『オモニ ホームレスから大統領へ』 李明博 (講談社)

 

 

【他国がうらやむ日本の国の姿】
 日本にあって他の国にはないもの、それは天皇制です。・・・中略・・・。
 それも単に、同一王朝が継続しているというだけではないのです。日本の皇室には 「男系」 の後継者が絶対の条件として守られてきました。この結果、日本の皇室には、神武天皇以来、今上天皇まで二千年にわたって遺伝子の継続性が守られてきたのです。
 ヨーロッパ・中国などの王や皇帝は、存在の依拠点は権力(暴力)にあります。それに対して日本の天皇は民と共生する権威(祭祀王)です。(p.155)
   《参照》   『日本人と天皇』 村松剛 (PHP)
 人類は、遺伝子の担い手である46本の染色体をもっています。卵子がY染色体をもつ精子を受精すると男子が、X染色体をもつ精子を受精すると女子が生まれます。男性の性染色体はXY型で、女性はXX型です。Y染色体はX染色体とほとんど交流しません。したがって、Y染色体は女性に受け継がれません。そのため、女系天皇を容認すると、遺伝子の根幹が変わってきてしまうのです。
 日本人の祖先が、こうした遺伝子の仕組みを理解していたとは考えられませんが、男系を継承した結果、連綿とした 「遺伝子の継続性」 を確立してきたのです。(p.155-156)
 愛子様は、男系の女子である。
 参考  ユダヤ教の祭司・コーヘンも男系によって継承されてきました。1980年代の生物学的な調査によってわかったことは、世界4大陸で活動している 「コーヘン」 のすべてが、ある特定の遺伝子を保有していることが確かめられたそうです。各時代のコーヘンを遡っていけば最終的にはモーゼの兄の司祭アロンに行き着くといいます。 (p.157-158)
 日本とユダヤの類似性は昔から多く語られている。
   《参照》  『大使が書いた 日本人とユダヤ人』 エリ・コーヘン (中経出版)
 
<了>
 

  濤川栄太・著の読書記録

     『日本の遺伝子を変える』

     『石原裕次郎 鎮魂歌』

     『繁栄のシナリオ』

     『理想の日本人』