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 日本を憂うる著者の考えることは、主要な部分において、『臆病国家日本が、世界の救世主になる日』 の著者たちの考えに似ている。

 

 

【国益=世界益をなしうる唯一の国:日本】
 そして、環境だ。地球は重病状態におちいってきた。・・・中略・・・。日本の環境技術をもってすれば、相当良くなる。しかも、日本の環境技術はさらに飛躍的にのびる可能性を持つ。・・・中略・・・。高い境地を求めること。今世界が一番怯えるこの課題に敢然と取り組み、地球環境の守護神たらんと決意し、実行すること。「日本に足を向けて寝られぬ」 状況をつくること。これを、国益追求と共に統一してやること。この 「無私」 は必ず日本を守る。最高にして最大の国家安全保障なのだ。 (p.68)
 アメリカは、第三次世界大戦という戦争特需による独善的国益を計画的に推進してゆくことだろう。アメリカの国益は明々白々に世界損である。
 日本は、環境技術による国益イコール世界益を追求しうる唯一の国である。しかし日本の愚かな政治家が、アメリカの国際協調という見え透いた嘘に追随するなら、地球に与えられた延命期間を唯一善転しうる主人公を失うことになり、地球は坂を転げ落ちることになるだろう。

 

 

【祈りを忘れている日本人】
 私はこの度の闘病生活で、「祈り」 ということを深刻に考えざるをえなかった。
 ・・・中略・・・。
 そして神武以来、天皇は一日も休まず国民の安寧と幸福を二千年以上祈りつづけているという。私はその話をうかがった時、「だから万一系がつづいたのか」 と深く感じ入った。
 ・・・中略・・・。
 日本人は本当に襟を正す時にきている。真剣に国家をみつめ、そのゆく手に責任を負う姿勢に立たねばならぬ。自由と民主主義の国なのだから、その中で、どの宗教などという問題ではない。壮大な大宇宙と対峙し、真摯に祈ることを生活に溶け込ませたらどうか。 (p.102-104)
 
              【祈りの大切さ】
              【孤独(ひとり)の祈り】
 
 
【外国人が拒否する日本の教育】
 教育といえば、この国の子ども達の学力がとにかく低下した。かつては 「世界一」 といわれた日本の学力も、今は見る影もない。私の主宰する 「新・松下村塾」 に海外留学の仕事をする浅井先生がいる。彼はこう嘆く。「いや塾長、本当に困るのは日本に留学生が寄ってこないんですよ。学齢期が近くなると、中国人など自分の国へ帰っちゃうんです」。
 理由をきくと、とにかく ①学力が低い ②学校で規律をしつけられない。この二つが一番多い理由だという。(p.144)
 教師が先に声をかけても挨拶はしない。ダラシノない服装を放置する。廊下に座り込んで昼食を取る。こういった状況を毎日のように見ているけれど、公立高校はこれらを取り締まる意思がほぼないらしい。規律なしである。これを教育とは言わないと思うが、これが日本の実状である。

 

 

【高度信頼社会が崩壊しつつある日本】
 フランシス・フクヤマとは 『歴史の終わり』 を著した学者さん。
 フランシス・フクヤマは、「日本の経済発展を支えた最大のポイントは、日本が高度信頼社会であった」 こととする。 (p.159)
 高度信頼社会を維持してきた日本の老人たちが、自称 「詐欺師」 と平気でのたまう若者達の「振込み詐欺」のカモになっている。善悪の基準は、道徳教育の不在と希薄な人間関係を滑走路として、カネの多寡という基準に容易に取って代わられる。
 
<了>