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 いつも悲観的なタイトルの書籍を著わしている浅井さんと、日本に帰化したワスプのジャーナリスト:フルフォードさん。お二人とも、日本はどうすべきなのか、具体的な提言をしつつ語っている。
 フルフォードさんは、 他の著書でも、世界の中における日本に期待しつつも、日本のことを慨嘆しっぱなしである。

 

 

【根性なしは卒業せよ、日本】
 アジアはアメリカに対する債権国です。つまり、お金を貸している立場です。・・・中略・・・。ですから、日本はアメリカに 「軍事費ばかり突出するような予算は認められない」 と要求する権利があるはずです。
 要は、日本にそういう要求をアメリカに突き付けるだけの根性があるかどうか。日本はもっと野心を持ち、自信を持ってアメリカに対抗しなければならない。もう、そういう時期に来ています。いつまでも 「臆病国家」 でいるのは、世界に対する背信行為だと思いますよ。 (p.23)
 日本と中国、いずれもアメリカに対する債権国である。二国は、ともにアメリカに対して共同歩調をとれるはず。中国の中枢がロックフェラーの意向にわせてアメリカ化する道を選ぶのか、それとも、技術力と資金力を有する日本を盟主としてアジアを安定的に維持しようとするのか・・・。
 日本が 「臆病国家」 から脱出すれば、中国も将来の選択を誤るはずはないのに・・・・と思っている。

 

 

【欧米人よりも一段進化した民族】
 フルフォードさんは、日本人をこのように語っている。
 私が想像していたユートピア以上のものがあった。それは日本人同士の信頼関係の強さと、相互のコミュニケーション能力の高さである。中国では、畑の一角に見張りの塔がある。作物泥棒を見張るためである。つまり、そういう監視施設をおかなければならないくらい、泥棒が頻発しているということである。ところが、日本の畑にはそうした監視施設などまったくない。隣人が物を盗むなどという発想がそもそも存在しないのだ。互いに信頼関係が強いということである。
 そうした親密な関係に基づいたハイレベルな連動性には目を見張るものがあった。それは、他人との対立関係が基本の関係性の中で育ってきた私にとっては、驚くべきことだった。他人を受け入れ、信頼する ----- それが他者との関係性の基本となっている日本人は、欧米人よりも一段進化した民族であると私は感じた。(p.130)
 日本人にとっては当然のことなので、こういったことを評価されてもピンと来ないのが普通の日本人なのだろう。しかし、世界の現実は “対立&略奪“ が基本である。
   《参照》   『日本力』 伊藤洋一 講談社
             【サファリパークと動物園】

 

 

【平和戦艦ヤマトを建造し、『第一次世界平和大戦』 の宣戦布告をせよ!】
 フルフォードさんの考えである。
 まず日本は、全世界に向けて 『第一次世界平和大戦』 の宣戦布告を行うべきだ。日本がもつおよそ5兆ドルの海外資産を、貧困の終結と地球環境保護のために使うつもりだと発表するのである。(p.136)
 そして、沖縄の米軍のために60億ドルも支払うのなら、それで、世界の災害救援のための 「平和戦艦ヤマト」 の建造に充てるべきだとも書いている。 大賛成である。

 

 

【アメリカをハードランディングさせることなく・・・】
 米国債購入を急にストップするのではなく、米国債を担保にして新たな資金を調達するなど、アメリカに損失を与えないように日本が抱える海外資産を活用することはできるはずだ。そうした仕組みを考えるために、世界中の頭脳を集めてプロジェクトチームをつくることも検討すべきであろう。 (p.137)
 明治維新後、国を発展させる過程で、資金力のなかった当時であってすら、何人もの外国人を招聘して学んだのだから、現在の日本なら超一流の人材の知性を集めることなど容易なはず (p.177)、と書かれている。
 しかし世界の状況は、日本国のみの立て直し云々を言っていられるレベルの段階ではない。世界の超一流の知性は、地球自体の存立が危うい段階にきていることを知っている。
 例えお金の条件などつけなくとも、戦争を起こす意思のない日本がイニシアチブを取るならば、集まってくれるのではないだろうか。

 

 

【道義的な義務】
 すでに述べたように、日本が抱える対外黒字は言い換えれば人類の未来に対する資源である。それをわがままなアメリカに預けるよりも、地球の環境をもっと良くするために使う道義的な義務が日本にはある。 (p.141)
 

 この書籍の終盤には、お二方共、日本人に対して、共通の危惧(叫び声)をあげている。

 

 

【浅井氏】
 私がもっとも危惧しているのは、現代の日本人からかつての日本人が持っていた理念や矜持、マナー、志、潔さ、そして他人を敬うといった 「日本的精神」 が失われていっていることだ。借金は返すことができるが、堕落した心を持ち直すのは難しい。堕落した国家が繁栄することもない。だからこそ、私は日本人の 「心」 の質の劣化に大きな危機感を覚えているのだ。(p.190)

 

 

【フルフォード氏】
 私が日本で20数年暮らしてきて、日本が抱えるもっとも重大なリスク要因だと感じるのは、じつはアメリカ依存でも財政破綻の危機でもない。人々の無関心と無気力、そして目標の喪失である。気力のない国は必ず衰退する。それは過去の歴史が示す真実である。・・・中略・・・。
 日本は、非常に大きな潜在的ポテンシャルを持っている。それは世界の多くの国々がみとめてるところだ。それなのに、目標を見失ってそのポテンシャルを発揮しないのは、日本にとっても世界にとっても大きな損失である。
 頼むから、日本よ、世界を救う救世主になってくれ。 (p.184)
 
 

<了>