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 小泉改革で刺客に狙われた亀井さんと、日本の教育問題などで主要なオピニオンリーダーとなっている濤川さんの対談。濤川さんは、2世議員などではなく庶民レベルからのたたきあげである亀井さんを高く評価していることから、この対談が実現していたらしい。

 

 

【環境を改善するのは技術だけではない : 濤川】
 仏教に「依報・正報(えほう・しょうほう)」という言葉があります。依報というのは環境を意味します。正報というのは主体、つまり人間の心です。心が美しい人が住むと、街も美しくなるということです。
 かつて日本は満州に行きました。日本人が約100万人も行ったのです。そこで起きた出来事を聞いて驚きました。なんと、日本人が満州に行ったら、満州の気候が変わったというのです。日本人と元々満州に住んでいた人々とでは、生活習慣と文化がまったく異なります。そうして日本人がたくさん満州に行ったことによって、満州の気候大系が変わってしまったといいます。
 住んでいる人の心、生活の対応、あるいは「思い」というもので、自然空間、気候までが変容してくるという一例です。
 もちろん一面、環境が人間をつくるということもあります。しかし、現代がいちばん忘れてしまっているテーマこそ、人間が環境をつくるとうことです。この二律背反、原則を呑み込まなければ、人間の本当の幸福創造はないものといえます。 (p.111)
 環境を変えることで人間の心を変えた事例は、ジュリアーニ・ニューユーク市長の地下鉄の落書き徹底清掃により凶悪犯罪まで減少したという事実で確認できる。人間の心が環境を変えるとい事例を、濤川さんが書いてくれている。環境と人間、不可分のものであるのはいうまでもない。
  《類似》   『「癒しの世界』への旅』 船井幸雄 (廣済堂出版)
            【自然を助けなければならない】

 

 

【授業時間を増やそう : 濤川】
 ニューヨークなどでは、授業時間を4割増やしました。子供の目がキラキラ輝くような、本当に魅力的な、心を揺さぶられる授業をやろうとしたのです。
 これは当時のジュリアーニ・ニューヨーク市長が先頭に立ってやりました。結果ニューヨークはどうなったか。
 もちろん警察力の強化もあり、微罪のうちに犯罪をつぶしていく方策の成果などもありましたが、青少年の犯罪は激減し、非行が減って、そして学力が非常に伸びたのです。これは何をモデルにしたのかといいますと、実は日本の学習指導要領なのです。  (p.172)
 ジュリーアーニ市長の改革は14年前のことである。
 教育破綻しつつあったアメリカが健全だった日本の教育を手本とし、健全だった日本が破綻しつつあったアメリカの教育を手本としていた! 最近、日本の教育もやや軌道修正したとはいえ、この事実には心底あきれ返るばかりである。   
           【危機に立つ国家】
 子供の創造性云々言ったって、創造性を発揮しようにも子供には土台がない。大人だって失業者が増えて遊民が増えれば、「小人閑居して不善をなす」だけであろう。

 

 

【ノーベル賞の秘訣は音読 : 濤川】
 私は今、「日本と世界の子供たちを救う会」で音読運動をやっております。大変多くの方が、日本列島で音読を始めています。どんどん声を出して、「源氏物語」を読む、和歌を読む、古文を、物語を読む。
 声を出して読むことによって、八十代、九十代の痴呆症の方がどんどん治っていく。子供たちのIQもどんどん高くなる。名作を読むことによって、EQ,心の指数、情緒、精神力も極めて豊かになっていきます。
 世界で一番IQが高いのは、おそらくユダヤ人でしょう。彼らは生まれてからずっと、ユダヤ経典というものを音読し続けています。 (p.179-180)
 音読は、発声時に脳の器官を振動させ、視覚と聴覚も伴ので全脳訓練になっている。日ごろ読経を習慣としていた老人がこれを止めたら、急速にアルツハイマーが進行してしまうのではないだろうか。

 

 

【再び天照大神の時代? : 亀井】
 日本は今、再び天照大神の時代に帰ったのではないか、と感じています。あるいは源氏物語に描かれた時代とでも申しましょうか。
 つまり女性が非常に力を持つ時代、ということです。
 ・・・(中略)・・・。
 アメリカは「レディーファースト」などというけれども、少なくとも生活していく一番大事な財布は亭主が握っているのです。日本はその財布すら女性が握っている。  (p.124-125)
 日本では以前から家庭で女性が財布を握ってきたのだから、昔から天照大神の時代である。女性の働く場が増えアメリカ型社会に移行してきたから離婚が増え、離婚時の女性の経済的保証も主要なポイントの一つとして男女同権が叫ばれるようになったのだろう。
 武を基とした封建時代や、重厚長大型産業が日本の主要な柱となっていた高度経済成長期には、女性の社会参加形態は限られていたであろうけれど、現在のビジネス社会では、女性を取り込まずして企業は生き残れないということは既に基本的な常識になっている。
 誰よりも時代の変化を先に察知する職業である経営コンサルタントの船井幸雄さんも大前研一さんも、10年ほど前から、女性を重要な位置づけで語っている。

<了>