あれから、いったいどれほどの月日が経ったことだろうか。
JR化後に登場した251系よりも生き延び続け、今なお臨時列車として活躍を続ける車両がいる。
185系。
熱海・伊豆方面に向かう時は、特に2016年以降は多くの機会で「踊り子」で利用してきた。
また、251系引退前から定期運用終了まで、撮影記録も多く重ねてきた。
しかし、定期運用終了以降となると…
2021年4〜5月に大船・上野発着で計2往復が運転された臨時快速「あしかが大藤まつり号」と
翌6月に青梅発着で運転された「鎌倉あじさい号」に乗車した後、空白期間が生じた。
そこからしばらくは、185系による多客臨時列車の設定そのものが消滅したからだった。
そして昨年「あしかが大藤まつり号」と「谷川岳もぐら/ループ号」が特急として設定復活。
この期に及んで特急格上げとは増収に躍起になっているなとは感じたが、それぞれ乗車。
さらに東海道線には、列車名もそのまま「185」という妙ちきりんな列車が走り出していた。
これは、横浜(または川崎)〜伊東間を客扱い上ノンストップで走るという、異例な設定。
しかも当初は平日水曜の運転と、非常に乗りづらい列車であった。
それもあるのと、なにより比較的利用し慣れた区間であるためにずっと敬遠していたのである。
しかも今年春になり、唐突に「伊豆急下田発着」が設定された。
これまでの伊東発着に加え、4月13日、5月18日、6月29日のみの設定。
定期運用終了以来、団臨以外ではおよそ3年ぶりの一般臨時列車の伊豆急行線乗り入れである。
伊東折り返しはちょっとと思って逡巡していたが、伊豆急下田まで行くと聞いて「むむむ?」と
気持ちが一段傾いたのは、3月の初めのことだった。
コロナ禍以降伊豆急行方面のイベントもなくなり、足を伸ばす機会がなくなっていたからだ。
それもあって計画はしたが、1ヶ月前の指定席特急券発売日にみどりの窓口に買いに行けない。
合理化もあって、地元駅の窓口は悉く廃止されてしまっていた。
昨年の「谷川岳ー」のように、友人に頼むのは非常に忍びない。
そのため今回は、えきねっとを使って事前予約をすることにした。
だが、今まで事前予約で取れたことなぞ一度も無かった。
それだけに、今回もダメならしょうがないかと緩めに構えていたのだが…
切符、取れた。
なんと、いともあっさり取れたのである。
設定当初の瞬殺ぶりはなんだったの?!と肩の力が一気に抜けた。
そして、
えきねっと、たまにはいい仕事してくれんじゃねぇか
と見直した。
それが3月13日のお昼のこと。
しかし、実際乗るかどうかはかなり逡巡した。
入金こそはしておいたが、父の入院騒ぎがあったりして、かなり心身公私ドタバタしていた。
たまたま取れた座席が1号車、クハだったことも音鉄気質には多少メンタルに影響。
このため、実際の切符受け取りは乗車前日までズレ込むこととなった。
友人に譲るか?ともギリギリまで考えていたが…
まぁ天気も良くなりそうだし…と思い直し、決めていた通りに動くことにした。
更にちょうどこの日、京急蒲田で友達がイベントステージに立つという話も実行を後押しした。
横浜から京急快特ですぐ、という移動の簡便さと昨年の新鮮な印象が強い旅の推進力となった。
…さて、4月13日土曜日、朝8時。
向かったのは横浜駅…ではなく
中央フリーウェイ高輪ゲートウェイ駅。
なぜわざわざ寄ったのかというと、横の電留線に今回の185系が停車していたからだ。
今回は所属基地から5時台に出庫し、上野東京ライン経由で品川から一旦入庫。
かつての185系の住処であった高輪ゲートウェイ界隈で、2時間ほど停車していたのだった。
上京してきたサンライズエクスプレスと共に、再会の一休み。
ただ、留置位置は思っていたよりも遠く、長居しても収穫は少ないと判断した。
だがここにもやはり、185系目当ての方も居た。
これからどうなるんですかねぇ〜なんて少し談笑して、この日は別れたが…
後日、また別の場所で再会して互いに爆笑することになろうとは、まだこの時は知らない。
そしてすぐ、京浜東北線〜東海道線と乗り継いで横浜へ。
朝食を兼ねた駅弁を買い込むため、気持ち早めの動きとなった。
まずは東海道線ホームで…買うといったら、やはりアレである。
そして、3・4番ホームに移動してみた。
5番線熱海方には、既に相当の人出が!
わかりきっていることではあるのだが、結構な危険性を匂わせる人出に一瞬目眩を感じた。
…そして、8:46。
警笛一閃とともに、視線が東京方へ。
久しぶりの、横浜駅での185系である。
それも5番線入線というのは、この臨時特急「185」ならでは。
そんな不思議な風景をずっと見ていたいが…
なななんと、発車まで3分余りしかない!
一昨年の喧騒を思い起こさせる賑わいに、緊張すると同時に…
ここで乗り遅れたら、洒落にならん!