すずの創作物語 -9ページ目

誰よりもあなたが… 41

「はるか…?」
げっ!ぶつかってきたの壮介?どうしよう…ここは偶然を装っておかないと。頭の中を一瞬でそんな考えが駆け巡った。
「壮介…久しぶりだね…」
「おお、何かの帰り?」「うん。会社帰り。壮介は?」
「オレも会社帰り。」
「そっか…」
どんな仕事?とか、他愛もない話をしているうちに、私が降りる駅に着いてしまった。
冷静なフリのまま、
「じゃあ、私ここだから。」
「ああ、じゃあな。」
電車を降りて、壮介を見送る。
電車が去って、私は放心したまま家に帰った。
信じられない再会。もう会うこともないと思ってたのに。
そして、溢れてくる壮介への封印した想い。
忘れたはずなのに、会ってしまうと、ダメだった。何年たっても、誰と付き合っても、私は心の奥底では壮介を忘れることなんて出来なかったんだ…。
でも、偶然会っただけ。また会える保証はない。ただ…同じ路線で通勤してるんだから、もしかしたら…そんな淡い期待がないとは言い切れなかった。

偶然の再会から2週間がたった。
その日は朝から会社で会議があるから早く出勤するつもりが出遅れた!
いつもは電車を何本かやりすごして、座って行くけど、とりあえず止まっていた電車に飛び乗った

誰よりもあなたが… 40

弘人と別れて1人になった私。
仕事と家の往復生活。
休みの日は家でゆっくり休んだり、友達と会ったり、穏やかな毎日を過ごしていた。

社会人になって一年以上が過ぎていた。
会社帰りの電車。疲れて寝てしまっていた私は、目を覚まして、どこの駅?と慌ててキョロキョロ辺りを見回した。ふと少し離れた向かいの席に目をやって、私は固まった。
「壮介…」
高校の時に付き合っていた、好きで好きで仕方なかった、あの壮介が座っていた。
高校を卒業して三年以上。卒業式以来に見る壮介の姿。
私は心臓が破裂しそうなくらいにドキドキ鳴って、過呼吸を起こしそうなくらい動揺していた。
壮介が引っ越したりしていなかったら、降りる駅も乗り換えの電車も同じはず…。

降りる駅に電車が着いた。壮介が降りる。私は降りて、思わず後を追った。乗り換えの電車に、いつも乗る車両とは違ったけど、壮介と同じ車両に乗った。話かける勇気もなく、ただ壮介と背中合わせに気付かれないように立っていた。
後ろに壮介がいる…それだけでドキドキが止まらなかった。
いきなり電車が大きく揺れた。
ドン!
後ろからぶつかられてよろけた。
「すいません」
「いえ…」
会釈しようと振り返った

誰よりもあなたが… 39

「仕事よりオレ優先してくれてもいいだろ!!」
「私は今仕事にやりがいを感じてるの!仕事と弘人を比べるなんて出来ないの!」
言い合いになった。
思わず出た言葉
「弘人…もう別れよう」「何…言ってんだよ…」「もうムリなんじゃないかな…」
「別れるなんて絶対イヤだからな!」
「私はもう弘人とやっていく自信ない。」
「オレ、はるかと結婚まで考えてた。はるかがいないなんて考えられない。」
「弘人…もう会えない。さよなら。」
私は電話を切った。
涙が溢れた。こんな終わり方を望んでいたわけじゃない。弘人が大好きだった。でも、これ以上一緒にいたら弘人をキライになってしまう。どんどん冷めていってしまう。そうなる前に、二年の月日を後悔しないために、この選択しかなかった。突然切り出してしまった別れ。でも、これでよかったんだと言い聞かせた。
弘人からは何度も電話がきた。家の近くに車が止まってることもあった。でも私は一切振り返らなかった。
振り返ったらズルズル戻ってしまいそうだった。
私は、色々任せてもらって、やりがいのある仕事に没頭していった。