中央線で読む新書 -8ページ目

東京裁判の教訓

軍政の責任者が裁かれ、軍令の責任者や統帥権を自在に利用した参謀・高級官僚は被告にすらあげられていないと保阪。これは分かり易い説明。なにはともあれ、今年一月に出た日暮吉延「東京裁判 」(現代新書)を何ヶ所か引用しているのだが、素直にそっちを読んだ方がいい。

【読むところが少ない】 2008年
東京裁判の教訓 (朝日新書 120)/保阪 正康

裁判官の爆笑お言葉集

「無期懲役でも仕方がないよね。」 久我泰博裁判長

よね…って。

地産の竹井博友、ムショ暮らしを「高塀の中の養生訓」で記す。服役中は図書係として一年半かけて刑務所内の蔵書を整理し尽くし、仕事ぶりが評価されて刑務所内で新しい本を購入する際の選定係に任命。その役得で何百冊も読破。さすが徳間書店の実質的創業者。

【つまみ読みにGOOD】 2007年
裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書 な 3-1)/長嶺 超輝

フォト・リテラシー

1961年生まれが2008年に書いたとは思えない洗練されてなさ。

157頁のブレッソンの「歌舞伎役者團十郎の葬儀、東京」(1965)は面白い。

【-】 2008年
フォト・リテラシー―報道写真と読む倫理 (中公新書 1946)/今橋 映子

自分探しが止まらない

私が嫌いな路上詩人・ミスチルなるものその他あれこれ。ああ私が嫌いなのは「自分探し」系なのだなと。

猿岩石・有吉の自伝・評伝を読みたくなる。

【読み応えGOOD】 2008年
自分探しが止まらない (ソフトバンク新書 64)/速水 健朗

「男気」とは何か

カラシニコフ自伝

聞き書き。ドストエフスキーの国の人らしく冗長。

流刑農民の息子が病院の図書館で「火器の変遷」全二巻を読み、銃の設計コンペに参加、そしてカラシニコフを設計。

1990年にM16の設計者ユージン・ストーナーと米国で会い「私たちのあいだには互いに大きな尊敬の念が生まれた」(210) この際にカラシニコフを米国に招いたのはスミソニアンで銃器のコレクションの学芸員エドワード・エゼル。なんでも集めるもんだ。

【つまみ読みにGOOD】 2008年
カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男 (朝日新書 106)/エレナ・ジョリー

官製不況

JAPAiNとまで言われるにいたる「日本売り」の諸々の要因の解説。

マートンの「アノミー論」 目標と手段の不均衡 社会的な目標を達成するための正当な手段を持たない若者が、非行や犯罪によって目標を達成しようとするというもの。

【つまみ読みにGOOD】 2008年
官製不況 なぜ「日本売り」が進むのか/門倉貴史

新左翼とは何だったのか

新左翼通史。ならば、なにもこの人に書かせなくてもよかろうに。しかし第四章の「新左翼と自治会・労働組合運動」は珍しい切り口。「最末期の学生自治会運動というのは、カネ(自治会費)と場所(学生会館)、独占的な権益(学園祭)、自分たちの天下り先(大学生協)を獲得する利権の場になっていたという言い方もできます」(132)

67年にはすでにメットを被ってはいてもセクト別に塗ってはおらず、68年1月に荒がエンプラ闘争に佐世保に行った際に解放派が青のヘルメットを被っていて、それに感化されて急遽、赤のポスターカラーでメットを塗ったのが社学同の赤の起源だそうな。その時点で中核派の白はまだとのこと。(機動隊の盾がジュラルミンになるのも67年)

【つまみ読みにGOOD】 2008年
新左翼とは何だったのか (幻冬舎新書 あ 3-1)/荒 岱介

アメリカの世界戦略

戦争を活用して米国はいかなる世界戦力を錬ってきたかの戦後史。

リンドン・ジョンソンは「偉大な社会」や「貧困との戦い」を掲げていた。一方でベトナム戦争に戦費をつぎ込む。二兎を追い、両方を失う。「彼のなかでは、東南アジアの開発と国内の貧困者やマイノリティ救済とが二重写しになっていたことを指摘しておく必要がある」(33) リベラルも米国人にかかるとこの調子。

【いささか期待はずれ】 2008年
アメリカの世界戦略(中公新書 1937)/菅 英輝

原発・正力・CIA

衆院議員になった正力松太郎、反米・反原発を削ぎたいCIA。双方の思惑を読売が体現していく昭和史。
新書サイズではモッタイナイ題材。

【物足りず】 2008年
原発・正力・CIA (新潮新書 249)/有馬 哲夫