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「昭和」を点検する

半藤一利+保阪正康の対談

保阪 お久しぶりですね。
半藤 いやだなあ、しょっちゅう顔をあわせてるじゃない。
保阪 そうでした(笑)

ここだけ面白かった。

【-】 2008年
「昭和」を点検する (講談社現代新書 1950)/半藤 一利

戒厳令下チリ潜入記

チリはアジェンデ政府まではひかえめな国であっただけでなく、保守的なブルジョアジーですら民族の徳として簡素さを誇っていたような国である。軍事評議会は自分たちこそチリをすぐにでも繁栄させることが出来るのだということを示そうとして、アジェンデが国有化したものをすべて民間に返還に、国を民間資本や多国籍企業に売り渡した。その結果は何であったかと言えば、目のくらむような、だが、必要のないぜいたく品と、ブームの幻想をふりまいただけのお飾りの公共事業の爆発に他ならなかった。(79)

私たちはチリ国内をあちらこちら歩き回ったが、その間、かれの足跡を見出されないところはどこにもなかった。握手をしたことがある人、子供の名付け親になってもらった人、庭の葉を煎じて悪質な咳を治してもらった人、かれのおかげで職につけた人、あるいはかれとチェスの試合をして勝ったと言う人など必ずいた。かれが手を触れた物は、すべて形見として保存されていた。ここはそんなでもあるまいと思ったところでも、他の椅子よりも手入れが行き届いている椅子を指して「そこに一度座ったんですよ」と言われたりした。(109)

「この国の未来を入れて写真を撮って下さいね」
私はびっくりした。ジターヌの空箱にメモしておいたことと同じことを言っている。箱にはこう書いてあった。「チリでは、未来について考えていない人を探すのはほとんど不可能だと言えよう」と。しかも、これは今とは別の社会を知らない世代の子供たちだ。それなのにもう、自国の未来について確信をもっている。(176)

【通勤用にGOOD】 1986年

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険 (岩波新書 黄版 359) G.ガルシア・マルケス

空の戦争史

英国は「無差別爆撃は市民の士気を挫く」と考えていたが、ドイツ軍に空爆にあい、それに関して詳細な調査を行ったところ、まったく逆で、国民は結束し、戦争開始前と比較して精神病で入院する患者や自殺者が減少、アル中の患者は半減した。(151) ドイツにおいてもハンブルクで空爆五ヶ月後には以前の80%まで工業生産レベルが回復。これも市民が結束したためと思われる。(米国は抗戦意識を削ぎ、ヒトラー打倒の動きが起きることをきたいしていたが) (166)

S・オデル「最後の戦争-それは英語を話す者たちの大勝利」(1899年) 英語を母国語とする人種が劣等人種との戦争で焼夷弾を空から投下して勝利し、その結果、劣等人種たちは英語を話すことを強要され、ロシアやアジアの無知蒙昧な人間たちに「文明」もたらされる筋書き (14) 

【つまみ読みにGOOD】 2008年
空の戦争史 (講談社現代新書 1945)/田中 利幸

性と暴力のアメリカ

中絶を行う病院を爆破しさえする、アメリカの性と暴力とピューリタニズム。ジェシカ・リンチ事件(イラク戦争で白人女性が捕虜となったとデッチあげ)やパナマ侵攻など、アメリカのインチキ正義の事例など。

オナイダ・コミュニティ ピューリタンの共同体自体が楽園を人工的に創り出そうとする試みであったが、フーリエ主義や社会主義などのユートピア思想の影響を受けた人びとも楽園建設に参画するようになり、その代表がこれ。ジョン・ハンフリー・ノイズが1848年にNY州北部に50人程の実験共同体をつくる。自給自足の共同生活が営まれ、多夫多妻というべき複合婚(「汝の隣人を愛せよ」の実践)が導入、「フリー・ラブの実践の場ではなく、むしろ『性の共産主義』の舞台」(藤本茂生「アメリカ史のなかの子ども」)。最盛期は300人に達するが内紛などにより1881年に解散。経済的安定がもたらされるにつれて、一夫一妻制への回帰を求めることが強まったためらしい。ノイズはカナダに逃亡、メンバー達は株式会社を設立、現在アメリカを代表する食器メーカー「オナイダ」となっている。(22-25)

ブランチ・デヴィディアンの拠点にFBIが突入した1993年4月19日の2年後にオクラホマシティー連邦ビルが爆破 「イギリス軍に立ち向かった民兵たちの系譜に連なる自警団であるミリシャこそ、真の愛国者の末裔であり、彼らから銃を奪う連邦政府の政策は、愛国者に対する裏切り行為である。そのような連邦政府を倒すことは、愛国者の末裔の使命だというのである。オクラホマシティー連邦ビル爆破事件は、ミリシャや銃規制反対運動に共感する人間による、愛国心の表明であった」(179-180)

【通勤用にGOOD】 2006年
性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)/鈴木 透

男の子のための軍隊学習のススメ

中曽根は海軍主計中尉であったが、「海軍短期現役主計科士官、略して「短現」…これは二年間、海軍の現役将校として服役する制度で、主計科のほかに軍医科・薬剤科・歯科医科・法務科・技術科などがありましたが、戦後に主計科出身者から政治家や官僚、企業幹部や大学教授などが数多く出てきたため、いまでは「短現」と言えば、だいたいこの主計課を指しているようです。…主計将校は物流や会計を担当します。ですから、志願者は、大学もしくは旧制専門学校の法学部・経済学部・商学部の卒業(予定)者となりました。制度がはじまった一九三八年当初から人気が高く、競争倍率が低いときでも三十倍くらいだったそうです。…合格者数の順番は東京帝国大学法学部、経済学部、それから京都帝国大学法学部と続き、私立では慶應義塾大学が多かったといいます。勤め先も、内務省や外務省をはじめとする官庁、財閥系大企業がほとんどでした。」(117)

【つまみ読みに】 2008年
男の子のための軍隊学習のススメ (ちくまプリマー新書 (089))/高田 里惠子

ドキュメント死刑囚

「創」の篠田博之による宮崎勤・小林薫・宅間守。

宅間から篠田への手紙「雑民達よワシをアホにするな!!」の怨嗟。

【読み応えがない】 2008年
ドキュメント死刑囚 (ちくま新書 736)/篠田 博之

学歴・階級・軍隊

副題の通り、自由を謳歌する特権階級であった高学歴者にとっての軍隊。

旧制高校の自由主義が大衆の支持を得なかったことについて、竹内好は「民衆は、高等教育から直接の恩恵を蒙っていない。大学が自分たちの生活の利益を守るものとは考えない。ところが、軍隊は、かれらの生活に直接触れている」(67) 

ナチスは高学歴ブルジョア層による勇士の寡占状態にあったが(183)、日本は反対であった。爆弾三勇士は「炭鉱労働者・農民・漁師で、当時の貧しい庶民出身」であり、これがメディアを通じて大衆に受ける。

なにかと示唆に富む書物である。

【話のネタ本にGOOD】 2008年
学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常 (中公新書 1955)/高田 里惠子



人間にとって法とは何か

法とは何かを考えるにあたり、これを読むことはない。

【-】 2003年
人間にとって法とは何か (PHP新書)/橋爪 大三郎

ポリティカル・セックスアピール

いま哲学とはなにか

読みやすい。

「世界は、人間の了解の企てによって、そこに意味連関の総体として現れ出てくるのである。」(101) 世界系の祖としてのハイデガー。

【通勤用にGOOD】 2008年
いま哲学とはなにか (岩波新書 新赤版 1137)/岩田 靖夫