性と暴力のアメリカ | 中央線で読む新書

性と暴力のアメリカ

中絶を行う病院を爆破しさえする、アメリカの性と暴力とピューリタニズム。ジェシカ・リンチ事件(イラク戦争で白人女性が捕虜となったとデッチあげ)やパナマ侵攻など、アメリカのインチキ正義の事例など。

オナイダ・コミュニティ ピューリタンの共同体自体が楽園を人工的に創り出そうとする試みであったが、フーリエ主義や社会主義などのユートピア思想の影響を受けた人びとも楽園建設に参画するようになり、その代表がこれ。ジョン・ハンフリー・ノイズが1848年にNY州北部に50人程の実験共同体をつくる。自給自足の共同生活が営まれ、多夫多妻というべき複合婚(「汝の隣人を愛せよ」の実践)が導入、「フリー・ラブの実践の場ではなく、むしろ『性の共産主義』の舞台」(藤本茂生「アメリカ史のなかの子ども」)。最盛期は300人に達するが内紛などにより1881年に解散。経済的安定がもたらされるにつれて、一夫一妻制への回帰を求めることが強まったためらしい。ノイズはカナダに逃亡、メンバー達は株式会社を設立、現在アメリカを代表する食器メーカー「オナイダ」となっている。(22-25)

ブランチ・デヴィディアンの拠点にFBIが突入した1993年4月19日の2年後にオクラホマシティー連邦ビルが爆破 「イギリス軍に立ち向かった民兵たちの系譜に連なる自警団であるミリシャこそ、真の愛国者の末裔であり、彼らから銃を奪う連邦政府の政策は、愛国者に対する裏切り行為である。そのような連邦政府を倒すことは、愛国者の末裔の使命だというのである。オクラホマシティー連邦ビル爆破事件は、ミリシャや銃規制反対運動に共感する人間による、愛国心の表明であった」(179-180)

【通勤用にGOOD】 2006年
性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 (中公新書)/鈴木 透