中央線で読む新書 -5ページ目

反貧困

NPO法人・もやいの事務局長による。

センの貧困論 「貧困はたんに所得の低さというよりも、基本的な潜在能力が奪われた状態と見られなければならない」 ここでいう潜在能力(capability)はセン独自の概念で「充分に栄養をとる」「衣料や住居が満たされている」という生活状態(これをセンは「機能」と呼ぶ)に達するための個人的・社会的自由を指す。(75)

ケン・ローチ「ブレッド&ローズ」(2000)、高級オフィスビルにて、そこで働くエリート達が会話を途切らせることなく清掃人をまたぐ、このように貧困は見えない存在となる。

【つまみ読みにGOOD】 2008年
反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書 新赤版 1124)/湯浅 誠

零戦と戦艦大和

半藤「太平洋戦争を通じて、米海軍は二十六人の指揮官をいろいろな事情で更迭しています。対するに日本は本当にクビにしたのはゼロに近い。勝った方が多くの指揮官を替えているのですから」(39)

【話のネタ本にGOOD】 2008年
零戦と戦艦大和 (文春新書 648)/半藤 一利

ロシア 闇と魂の国家

ドストエフスキーの時代から今日にいたるまで、間にソ連をはさみながらも、連続するものとしての「ロシア」を亀山郁夫と佐藤優が論じる。キリスト教の知識の浅い私には多くの部分でついていけず。

【何かの機会に再読を】 2008年
ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)/亀山 郁夫

反米主義

見えないアメリカ 」がうちからのアメリカなら、こちらは外からのアメリカ。外からのアメリカならば「反米大陸 」の方がよい。アメリカなるものを広範に押さえているものの、読み応えがもうひとつ。

【物足りず】 2008年
反米主義 (講談社現代新書 1956)/近藤 健

流言とデマの社会学

「流言の量は問題の重要性と状況のあいまいさの積に比例する」(オルポートとポストマン)

マッカーサーに親近感を憶えた日本人のあいだで「元帥の祖母は日本人である、彼の母は京都生まれの日本人である、彼は日本女性の妾腹の子だがアメリカ人の義母に育てられたのだ」といった流言が流れる。(56)

関東大震災での「朝鮮人流言」。吉河光貞「関東大震災の治安回顧」によれば9/1の19時に横浜の本牧町の火災現場で「朝鮮人が放火している」という流言が最初。(横浜は東京よりも被害が大きく、強奪が起きていた。なかでも右翼団体の立憲労働党総裁・山口正憲の一派が9/1の16時頃から4日にかけて、団員を武装させ、民家を強奪していた) これら日本人の暴挙が誤解され、訛化されたのではあるまいか、と吉河。この朝鮮人流言は2日未明には放火ばかりでなく、強盗・強姦・殺人・投毒などに拡大。2日の午前中には神奈川町・鶴見町・川崎町に、2日午後には東京府内まで。東京府内において小石川・牛込方面では山口正憲の立憲労働党本部があり、自ら略奪を働いた山口が、あつかましくも使者を派遣して流布したのではないかと、吉河。2日中には千葉・茨城・群馬・栃木、3日には福島にまで到達。震災直後は電信・電話などの通信網がほぼ全滅、新聞も発行不能で、鉄道もほとんど動かない状況でありながらである。
 
【通勤用にGOOD】 2001年
流言とデマの社会学 (文春新書)/広井 脩

地獄の日本兵

あれだけの兵士を無意味な死に追いやった戦争発起と戦争指導上の責任の所在は浮かび上がってこない。「英霊」という語感の中に見事に雲散霧消してしまっている。 (5)

【つまみ読みにGOOD】 2008年
地獄の日本兵―ニューギニア戦線の真相 (新潮新書 273)/飯田 進

霞ヶ関埋蔵金男が明かす「お国の経済」

薄い。急ごしらえ感を否めず。「埋蔵金」の由来は与謝野馨の財政改革研究会。なんという皮肉。

【薄い】 2008年
霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書 635)/高橋 洋一

自己決定権は幻想である

散漫

【散漫】 2004年 洋泉社y新書
自己決定権は幻想である (新書y)/小松 美彦

見えないアメリカ

どの大統領候補にも、知事候補にも、議員候補にも、共通して存在する二つ目の敵(* 一つ目は対立候補)とは、「ワシントン」という記号である。/アメリカではなぜ知事が大統領になりやすく、市長への尊敬が強いのだろうか。日本ではあまり知られていないことの一つに、アメリカ民衆の「反ワシントン政治」感情がある。上下両院議員はたとえ地元から選出されていても「ワシントン政治」の象徴であり、ケネディ大統領以来、二〇世紀後半を通して上院議員の大統領は生まれにくかった。…アメリカの「反ワシントン感情」には、アメリカ特有の地域主義や、南北間の対立の歴史があいまって複雑な意味合いが込められている。非選挙年には「ワシントンの理屈」で動く政治が優先するが、選挙年には「反ワシントン」の民衆ポピュリズムが勢いを増す。(93)

ジョージ・ウォーレス(民主党) 1963年、アラバマ州知事に就任した演説で「今も人種隔離を、あすも人種隔離を、永久に人種隔離を」と。これは反中央ポピュリズムでもある。

ビル・クリントン大統領の母校であるジョージタウン大学も、実はきわめてカトリック色の強い大学である。私のカトリック教徒の友人にも出身者が多いが、皆きわめて優秀だ。彼らは「最初からカトリック系以外の大学を進学先として考えたことはない」という。力試しで受けたアイビーリーグに合格しても辞退する。(148)

【話のネタ本としてGOOD】 2008年
見えないアメリカ (講談社現代新書 1949)/渡辺 将人

権威主義の正体

「権威主義が相対的に高いのは、教育程度が低い人、老人、田舎に住んでいる人、障害者、教条主義的色彩の強い宗教に関わっている人、社会経済的地位の低い人、社会的に孤立している人という結果が出ている」(115)

【つまみ読みに】 2005年
権威主義の正体 PHP新書 330/岡本 浩一