コーポレート・ガバナンス
元日銀行員による。
西武鉄道を巡って、みずほ銀行主導の経営改革委員会と株主の
村上ファンドが対立したのが好例だが、日本の企業統治はかつては
銀行が行っていた。そして今日は株主が者を言い出した。
企業を質すのは、金を貸す銀行か、株主なのか?
このコーポレートガバナンスについての良書。
アメリカにおいて公的年金基金が物言う株主であること(ドラッガーの言う
ところの年金資本主義)は周知だが、401Kで株価に興味を示す者も多く、
結果アメリカでは株主によるコーポレートガバナンスが働く。
なおドイツにおいては労働者の経営参画が行われ、労働者の側にも監査役の
拒否権が与えられている。監査役には銀行の人間が選出され、銀行による
統治という側面も日本と同様にある。その監査役は株主権を代行する機関と
して取締役の任免権や重要取引の同意権を持つ。
日本的ガバナンス(銀行を中心とした企業グループによる株の持ち合い。
その銀行は大蔵省に統治されているように何かしらの官庁の指導も受け、
官庁-業界団体-各企業の規制の流れを持つ)の成り立ち過程と破綻が
分かり易く書かれている。
【通勤用にGOOD】 2002年
西武鉄道を巡って、みずほ銀行主導の経営改革委員会と株主の
村上ファンドが対立したのが好例だが、日本の企業統治はかつては
銀行が行っていた。そして今日は株主が者を言い出した。
企業を質すのは、金を貸す銀行か、株主なのか?
このコーポレートガバナンスについての良書。
アメリカにおいて公的年金基金が物言う株主であること(ドラッガーの言う
ところの年金資本主義)は周知だが、401Kで株価に興味を示す者も多く、
結果アメリカでは株主によるコーポレートガバナンスが働く。
なおドイツにおいては労働者の経営参画が行われ、労働者の側にも監査役の
拒否権が与えられている。監査役には銀行の人間が選出され、銀行による
統治という側面も日本と同様にある。その監査役は株主権を代行する機関と
して取締役の任免権や重要取引の同意権を持つ。
日本的ガバナンス(銀行を中心とした企業グループによる株の持ち合い。
その銀行は大蔵省に統治されているように何かしらの官庁の指導も受け、
官庁-業界団体-各企業の規制の流れを持つ)の成り立ち過程と破綻が
分かり易く書かれている。
【通勤用にGOOD】 2002年
-
- 田村 達也
- コーポレート・ガバナンス―日本企業再生への道
キリスト教と日本人
井上章一だけに面白い。
仏教・神道・キリスト教三つ巴の日本史。
唐の時代にネストリウス派が中国で広まった。その石碑の模造品が
日本の高野山にある。日本とキリスト教の関わりは実に古くにさかのぼる。
以来、「仏教が西方につたわり、キリスト教に改変されていく。地獄と極楽と
いう世界観が、インフェルノやパラダイスとして、再構成される。」 (164)と
大概の知識人が想い描いていた江戸期を経て、佐伯好郎に代表される
日本=ユダヤ同祖論にいたる経緯が書かれる。
西洋の宗教を必死になって自分たちの土俵で理解しよう(例えば法隆寺に
ある「伊佐良井」(いさらい)と呼ばれる井戸はイスラエルが転訛したものと
みなすなど)とする日本人の姿を通じての受容の精神史。
その佐伯がそこに至る経緯が紹介されている。1905年に北海道開拓を
思いついた佐伯は、その資金をカナダ留学中に知り合ったユダヤ人に頼む
ことを目論む。「それにはユダヤ人の注意を日本に向けさせる必要がある」
「そのために打った第一着手が大秦氏=猶太人の着想であった」(32)
【書物としてGOOD】 2001年
仏教・神道・キリスト教三つ巴の日本史。
唐の時代にネストリウス派が中国で広まった。その石碑の模造品が
日本の高野山にある。日本とキリスト教の関わりは実に古くにさかのぼる。
以来、「仏教が西方につたわり、キリスト教に改変されていく。地獄と極楽と
いう世界観が、インフェルノやパラダイスとして、再構成される。」 (164)と
大概の知識人が想い描いていた江戸期を経て、佐伯好郎に代表される
日本=ユダヤ同祖論にいたる経緯が書かれる。
西洋の宗教を必死になって自分たちの土俵で理解しよう(例えば法隆寺に
ある「伊佐良井」(いさらい)と呼ばれる井戸はイスラエルが転訛したものと
みなすなど)とする日本人の姿を通じての受容の精神史。
その佐伯がそこに至る経緯が紹介されている。1905年に北海道開拓を
思いついた佐伯は、その資金をカナダ留学中に知り合ったユダヤ人に頼む
ことを目論む。「それにはユダヤ人の注意を日本に向けさせる必要がある」
「そのために打った第一着手が大秦氏=猶太人の着想であった」(32)
【書物としてGOOD】 2001年
- 井上 章一
- キリスト教と日本人
スタジアムの戦後史
東京スタジアム読みたさに手にする。
「こち亀」に登場する東京スタジアムが素晴らしい。(本書p185)
東京スタジアムの他に後楽園球場・両国国技館・川崎球場・日本武道館
が取り上げられる。
【通勤用にGOOD】 2005年
「こち亀」に登場する東京スタジアムが素晴らしい。(本書p185)
東京スタジアムの他に後楽園球場・両国国技館・川崎球場・日本武道館
が取り上げられる。
【通勤用にGOOD】 2005年
-
- 阿部 珠樹
- スタジアムの戦後史―夢と欲望の60年
ブランド広告
かつて 目隠しテストで牛乳の飲み比べをすると約七割が明治乳業を
おいしいと言うが、目隠しせずに行うと雪印を選んだという。(P105)
これこそがブランドであろう。
消費者インサイト広告(消費者側からの商品へのアプローチ)の時代である、
が本書の論調である。これの対義語はインサイドアウト広告(メーカー
メッセージ)であり、日本の場合はタレント広告もそれに近い。
本書が書かれた前年のカンヌ広告祭によって、消費者インサイト広告が
日本でも強く意識されだした認識するが、それ故にそれ以降の日本の
消費者インサイト広告批評をこの著者で読みたいところである。
なお、本書では「クリエイティブ」でなく「クリエーティブ」となっているのは
著者が電通社員であるから。
【通勤用にGOOD】 2002年
おいしいと言うが、目隠しせずに行うと雪印を選んだという。(P105)
これこそがブランドであろう。
消費者インサイト広告(消費者側からの商品へのアプローチ)の時代である、
が本書の論調である。これの対義語はインサイドアウト広告(メーカー
メッセージ)であり、日本の場合はタレント広告もそれに近い。
本書が書かれた前年のカンヌ広告祭によって、消費者インサイト広告が
日本でも強く意識されだした認識するが、それ故にそれ以降の日本の
消費者インサイト広告批評をこの著者で読みたいところである。
なお、本書では「クリエイティブ」でなく「クリエーティブ」となっているのは
著者が電通社員であるから。
【通勤用にGOOD】 2002年
-
- 内田 東
- ブランド広告
人生と投資のパズル
行動経済学を様々な設問から説明。株で損切り出来ない人にお勧め。
分かり易いのはP81の設問。
【1】 1万円の商品を売る店から20分で行ける場所に同じものが
7500円で売られている。さてわざわざ20分かけて行くか?
【2】 12万円の商品を売る店から20分で行ける場所に同じものが
11万7500円で売られている。さてわざわざ20分かけて行くか?
大部分の人は【1】では20分かけて2500円安い商品を買いに行くのに
【2】では20分かけて2500円安い商品を買いに行かないのだという。
こうした非合理の数々があげられていく。
なお、損切りが出来ないのは
・損失による失望は利益を得る喜びよりその規模が大きい。
(儲けと損失の非対称性)
・利益はすばやく実現され、損失は先送りされる傾向がある。
(損失先送り効果)
・自分の所有物を手放すとき、それを購入するのに要した費用の
何倍も要求することがある。(所有効果)
からである。
【書物としてGOOD】 2004年
分かり易いのはP81の設問。
【1】 1万円の商品を売る店から20分で行ける場所に同じものが
7500円で売られている。さてわざわざ20分かけて行くか?
【2】 12万円の商品を売る店から20分で行ける場所に同じものが
11万7500円で売られている。さてわざわざ20分かけて行くか?
大部分の人は【1】では20分かけて2500円安い商品を買いに行くのに
【2】では20分かけて2500円安い商品を買いに行かないのだという。
こうした非合理の数々があげられていく。
なお、損切りが出来ないのは
・損失による失望は利益を得る喜びよりその規模が大きい。
(儲けと損失の非対称性)
・利益はすばやく実現され、損失は先送りされる傾向がある。
(損失先送り効果)
・自分の所有物を手放すとき、それを購入するのに要した費用の
何倍も要求することがある。(所有効果)
からである。
【書物としてGOOD】 2004年
- 角田 康夫
- 人生と投資のパズル
"街かど景気"の経済学
2000年から始まった内閣府が全国約2000人の職業人から景気に
ついて毎月アンケートを実施する「景気ウォッチャー調査 」。
その調査システムの紹介。
例えばデパートの店員であれば「お客様の財布のヒモは固く、目的以外の
ものは買わない」(「買い回り」をせず「目的買い」しかしない)という報告など
である。
この調査の利点は早さである。個人の主観ではないかと思ってしまう
調査だが、その分、販売や生産の数字が実際に出てくる前にアンケートで
収拾・公表されることとなる。
もっと面白いネタが出てきそうな題材だが、この調査の歴史が浅いためか
いまひとつ書物として面白味に欠けるのが残念。
景気転換の予兆(紳士服が売れ出すとか)をこの調査から知ろうにも、
始まって以来ずっと不景気なので、仕方がないことではある。
【時間つぶしにはGOOD】 2003年
ついて毎月アンケートを実施する「景気ウォッチャー調査 」。
その調査システムの紹介。
例えばデパートの店員であれば「お客様の財布のヒモは固く、目的以外の
ものは買わない」(「買い回り」をせず「目的買い」しかしない)という報告など
である。
この調査の利点は早さである。個人の主観ではないかと思ってしまう
調査だが、その分、販売や生産の数字が実際に出てくる前にアンケートで
収拾・公表されることとなる。
もっと面白いネタが出てきそうな題材だが、この調査の歴史が浅いためか
いまひとつ書物として面白味に欠けるのが残念。
景気転換の予兆(紳士服が売れ出すとか)をこの調査から知ろうにも、
始まって以来ずっと不景気なので、仕方がないことではある。
【時間つぶしにはGOOD】 2003年
被差別部落のわが半生
解放同盟幹部による。
この新書は、政治性にからめて解同の是非を問うのに終始せずに、ひとりの
人物伝としてしっかりと読みたい代物である。
奈良県月ヶ瀬村の殺人事件 、加害者・丘崎誠人の父が村に移入してきて
以来、よそ者ということで差別されてきたことが、その息子が村の中学生を
殺すに至った背景にあることは報じても、丘崎がコリアンであることは
どこも報じずに、差別の実態がうやむやになったと著者。
【時間つぶしにはGOOD】 2004年
この新書は、政治性にからめて解同の是非を問うのに終始せずに、ひとりの
人物伝としてしっかりと読みたい代物である。
奈良県月ヶ瀬村の殺人事件 、加害者・丘崎誠人の父が村に移入してきて
以来、よそ者ということで差別されてきたことが、その息子が村の中学生を
殺すに至った背景にあることは報じても、丘崎がコリアンであることは
どこも報じずに、差別の実態がうやむやになったと著者。
【時間つぶしにはGOOD】 2004年
-
- 山下 力
- 被差別部落のわが半生
誤解だらけの大リーグ神話
いたって穏便な大リーグのレポート。
書名からして、日本人が日本球界の手本にと引き合いに出すメジャー
リーグの実体を言っているようであるが。いささか拍子抜け。
気にとまった箇所2つ。
「50歳までやる仕事ではない。家族も含め体に悪いから」
(P86 ヤンキースのGM キャッシュマン)
楽天から3000万円でGMのオファーを受けたがそんな安い金で
出来るか、と断ったと自分から暴露した広岡達朗。カネ以前に老体で
やれる仕事では本来はないようだ。
「モラル」から「ビジネス」へ(P156-157)
もともとは法曹界からの人材がコミッショナーを務め、ブラックソックス
事件で失った信頼を取り戻すのに躍起になった。その後、青天井の
年俸にオーナーが苦しみ出すようになると、ビジネスマンのピーター・
ユベロス がコミッショナーとなる。
球界が抱える事柄を優秀な第三者に託しているわけだ。
【車窓からの眺めの方がマシ】 中公新書ラクレ 2002年
書名からして、日本人が日本球界の手本にと引き合いに出すメジャー
リーグの実体を言っているようであるが。いささか拍子抜け。
気にとまった箇所2つ。
「50歳までやる仕事ではない。家族も含め体に悪いから」
(P86 ヤンキースのGM キャッシュマン)
楽天から3000万円でGMのオファーを受けたがそんな安い金で
出来るか、と断ったと自分から暴露した広岡達朗。カネ以前に老体で
やれる仕事では本来はないようだ。
「モラル」から「ビジネス」へ(P156-157)
もともとは法曹界からの人材がコミッショナーを務め、ブラックソックス
事件で失った信頼を取り戻すのに躍起になった。その後、青天井の
年俸にオーナーが苦しみ出すようになると、ビジネスマンのピーター・
ユベロス がコミッショナーとなる。
球界が抱える事柄を優秀な第三者に託しているわけだ。
【車窓からの眺めの方がマシ】 中公新書ラクレ 2002年
-
- 読売新聞運動部
- 誤解だらけの大リーグ神話
テレビのからくり
TBSと経営統合を目指す三木谷楽天社長。本日の「バンキシャ」にて
「いつでも過去の『水戸黄門』を見られるオンデマンド放送を」と、テレビと
ネットの融合を語っていた。
ところが「水戸黄門」の著作権をTBSは持っていないのである。
本書を読んでいくと次のような事例にあたる。
・「水戸黄門」 TBSが時代劇を嫌ったため、松下電器の意向を受けた
電通がTBSを介さずに直接制作会社に発注して始まる。
・「セブンミステリー」 テレビマンユニオンがTBSに出した企画書を、
TBSは テレビマンユニオンが全面参加するのを嫌い、ボツに。
ところがそれを 見つけた電通が日立に持ち込む。
結果日立を広告主としてTBSとテレビマンユニオンの共同制作で実現。
# この「セブンミステリー」が長寿番組の「世界ふしぎ発見」へと発展する。
とうの昔からテレビ局(というかTBS)には制作能力がないことがよくわかる。
広告から企画まで広告代理店の世話になるのは電通が強大だからだけでは
ないのである。
このように、ビルの屋上に広告スペースを持つ家主とテレビ局は変わらない。
看板を持っているか、放送事業の免許を持っているかの違いでしかないの
である。
【話のネタにGOOD】 2004年
「いつでも過去の『水戸黄門』を見られるオンデマンド放送を」と、テレビと
ネットの融合を語っていた。
ところが「水戸黄門」の著作権をTBSは持っていないのである。
本書を読んでいくと次のような事例にあたる。
・「水戸黄門」 TBSが時代劇を嫌ったため、松下電器の意向を受けた
電通がTBSを介さずに直接制作会社に発注して始まる。
・「セブンミステリー」 テレビマンユニオンがTBSに出した企画書を、
TBSは テレビマンユニオンが全面参加するのを嫌い、ボツに。
ところがそれを 見つけた電通が日立に持ち込む。
結果日立を広告主としてTBSとテレビマンユニオンの共同制作で実現。
# この「セブンミステリー」が長寿番組の「世界ふしぎ発見」へと発展する。
とうの昔からテレビ局(というかTBS)には制作能力がないことがよくわかる。
広告から企画まで広告代理店の世話になるのは電通が強大だからだけでは
ないのである。
このように、ビルの屋上に広告スペースを持つ家主とテレビ局は変わらない。
看板を持っているか、放送事業の免許を持っているかの違いでしかないの
である。
【話のネタにGOOD】 2004年
-
- 小田桐 誠
- テレビのからくり