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cb650r-eのブログ

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半年前に、CB650R e-clutch を注文したよ。たぶん。

 

Windows95 を追え!

 

EVANTIの雰囲気BGM(音量注意!)

 

「あれ、小川次長に小笹さんじゃないですか。どうしたんですか、こんな時間に。」
「いや、実は小笹の担当先の『ホリタトレーディング』さんから、銀座のお店でフランス料理をごちそうになったんだよ。」
「フォアグラだぜ、山ちゃん。」小笹さんが得意げに付け加える。
「あぁ、調布にある会社ですね。ひげの社長のところの。」
「そうそう。」


「さて、お隣のお連れさんはお友達か?お邪魔したら悪いかな。それとも奥のテーブル席も空いてるし、一緒に飲むか?」
「ひと通りトークで殴り合ったので、ぜひご一緒させてください。」北山が少し酔った口調で言う。

北山と小川次長、小笹さんが名刺交換をした。小川次長が名刺を見ながら言う。
「初芝電産ですか。いい会社にお勤めですね。」

俺が小川次長と小笹さんについてひと通り紹介すると、今度は北山が話し始めた。話は、彼が就職した平成3年(1991年)の春から始まり、昨年1994年の春以降の話に移った。そして、Windows 95を搭載した初芝電産の新製品「Let’s Book」について語り始めた。もちろん、Windows 95は1995年11月に国内販売が予定されているが、当時はパソコン自体が一般的ではなく、多くの人が見たことも触ったこともない時代だった。
 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

 

 

 

 

 



 

半年前に、CB650R e-clutch を注文しました。のはずです。

 

エバンティで語ろう!

 

懐かしい顔である。大学の4年間、昼間はバイクで峠を一緒に走り回り、夜は徹夜でマージャンを打った仲間である。
「話はあとだ。」そう言って俺は、隣のビル地下1階にあるバー「エバンティ」に北山を連れ込んだ。
 

EVANTIの雰囲気BGM(音量注意!)

 

「ジェイクさん、こんばんは~。」
「イラッシャイ、マセ。」
「今日は古い友達を連れてきました。今後しばらく連れてきますので、よろしく。」
「ジェイクさん、まずはビールを2つください。」
「おい、高そうな店だな。大丈夫か?」
「そう見えるだろ? 違うんだよ。ここは酒メーカーの直営店で、まずお酒の価格がリーズナブル。軽いイタリアンなら食事もできるし、つまみも充実してる。銀座なら俺はここ一択だな。」
「そうか。じゃあ今日はお前のおごりな。社会人の先輩だし。」
「おう、いいぜ。飲もう。まずは北山の就職を祝って乾杯だ!」
「なんか調子狂うな。じゃあ乾杯!」
俺たちは乾杯した。
「さて、何から話す? どっちからだ?」俺は思わずまくしたてた。
時系列はめちゃくちゃだが、お互い入社してからのエピソードをマシンガンのごとく打ち合った。カウンター席だが、完全にテンションが周りの客を上回っているが、しょうがない。

夜9時を過ぎたころだった。見慣れた2人の男が店に入ってきた。

 


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「CB650R e-clutch」、注文したにちがいない。

 

電話の主は誰?

 

さて、話が多少前後するが、1995年4月下旬のある日、机の前の電話が鳴った。職場のお局こと平野さんが外線電話を回してくれたのだ。
「初芝電産の北山さんから、山本主任宛ての外線です」
「初芝電産の北山さん? 誰だっけ?」

受話器を取りながら応じた。
「はい、山本です」
「山本さん、お久しぶりですね」
気味の悪い低い声だった。
「はぁ、どうも」
「忘れられたら困りますね~」
「どちらの北山さんでしょうか?」
「山ちゃん、ひどいよ~。連絡くれないし~」
聞き覚えのある声だ。
「まさか、高野山経済大学の留年男の北山か?」
「そうだよーん。ひどいよ、山ちゃん。昨日、山ちゃんの実家に電話したら、大阪貿易の東京支店にいるっていうじゃないか。てっきり大阪にいると思って連絡しなかったら、まさか2年前の春から東京に異動になってたなんて。おふくろさん元気そうだったけど」

北山が続ける。
「俺な、大学で1年長く勉強してさ、バブルのおかげで平成3年春に初芝電産に入れたんだよ。今は北米向けのパソコン輸出を一手に任されてるんだ。お前、よく聞けよ、俺のデスクの隣に誰が座ってると思う? あのホームラン王のむす…」

「待て、北山! 電話じゃ無理だ。今日の夜7時、地下鉄銀座線の京橋駅、東京生命ビル1階のひまわり銀行のATMコーナーに来い! 絶対だぞ!」

 

 

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「CB650R e-clutch」、注文したよ、たぶん。

 

DONE!(契約成立!)

 

その日の午後は、いよいよ営業の仕上げである。

初芝病院の7階、副院長室。今日は、初芝電産の総合企画部の松本副部長と総務部の綾部副部長、そして初芝メディカルシステムズの石田技術本部長が同席している。今回の輸入案件について、初芝電産の法人保証をいただいている。
 

「大阪貿易の山本でございます。本日は、御社のMRI「Mutive 1.0T」輸入案件についてご説明させていただきます。まず、本件輸入のリスクについてご説明いたします。」
小一時間かけて輸入案件全体について詳しく説明した。
「ご質問等はありませんか?」


初芝メディカルシステムズの石田技術本部長が口を開いた。「無礼を承知で一言申し上げますと、私どもは当初、なぜ大阪貿易さんにお願いするのか理解できなかったのですが、黒田副院長がぜひとも御社を輸入元に、と推薦されたことと、四菱銀行国際部の榊原さんに完全フォローを約束いただいたのでお願いすることにしました。今説明をお聞きして、納得がいきました。松本副部長、ゴーサインでよろしいですね。」
「これで行きましょう。」松本副部長が言った。

小川次長が携帯電話を俺に渡しながら言った。「有永副部長に連絡だ。これでGOだ!」

この案件については、何らトラブルも、面白い話も、この後何も起こらなかった。
病院では、新たにMRIシールド工事(MRIなどから発生する磁気が室外の人や機器に影響を与えないよう、壁などを加工すること)が始まり、約2か月後にMRIは成田空港に到着し、無事設置された。

思い出といえば、
輸入完了時に、大阪貿易東京支店、四菱銀行国際部、初芝電産、初芝病院、初芝メディカルシステムズの関係者14名で屋形船に乗って大宴会をしたことか。
あるいは、黒田副院長と小川次長の3人で箱根に泊りがけで行ったことか。

 



いや、実はこの出来事から四半世紀後の2020年、私は黒田院長を訪ねて初芝病院を再び訪れることになる。

 

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「CB650R e-clutch」、注文通ってるかな。店長忘れてないか?

 

隣のビルの名店

 

最終日(金曜日)

 

朝9時から。久保田さんと一緒に、発信前の輸入信用状のSWIFT発信文や関連書類を丹念に精査した。

結果、問題はなさそうで一安心。

 

お昼前には応接室で、松岡支店長と小川次長を前に、私と久保田さんで初芝病院の輸入案件の概要を説明することに。

松岡支店長は、珍しく終始ご機嫌。説明中も、まるでメトロノームのようにうなずき続けている。

 

説明が一通り終わると、支店長が満面の笑みで言った。

「久保田さん、一週間お疲れさまでした。おかげで山本にレベルの高い輸入案件を指導いただき、支店全体が一段とレベルアップするとおもいます。今後の取引についても、元住銀行さん一行取引を見直し、御行さんとも積極的に取引を進めたいと思います。安永副部長にもよろしくお伝えください。あと、御行の国際部長・榊原さんには、後日改めてお礼のご挨拶をさせていただきます。」

 

さらに松岡支店長は、続けて小川次長に指示を出す。

「小川次長、もし久保田さんがご都合よろしければ、隣の『美々卯(みみう)』で昼食を一緒にどうかね?」

それに応えるように小川次長がにっこりと。「いいですね!久保田さん、いかがですか?「美々卯」は大阪発祥のお店で、「うどんすき」がとてもおいしいんですよ!」

つい気が緩んだ私も思わず口を挟む。「そうそう、ほんとにおいしいんですよ!」

 

久保田さんも軽くうなずき、「では、ぜひ」と快諾。

 

昼食の席でも松岡支店長のご機嫌ぶりは変わらず、話が弾む。

それもそのはず、これが新生東京支店のスタート案件。支店長としても、しっかりとした手ごたえを感じたのだろう。

 

そんな3人を横目に、心の中でそっと思った。

「いや、今日の美々卯、いやにおいしく感じるな……」

 

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「CB650R e-clutch」、注文通ってるかな。店長、唄で通して。

 

女将の唄が忘れられない。

 

「二人とも、ついておいで!」と自分の机の上のポーチをひっつかんで、颯爽と国際部を出ようとする有永副部長。久保田さんと俺は、慌ててその後を追いかける。

建物を出るなり、有永さんはキビキビと手を挙げてタクシーを止める。
「山ちゃん、前ね! ほらほら、乗った乗った!」
「運転手さん、神田のやぶ蕎麦まで、行っちゃってください!」

お店に着くと、運よく待たずに席に通された。だが店内は満席だ。

 

店の雰囲気BGS(音量注意;女将の唄がかすかに聞こえます)

 

「ほんと、あんたたちラッキーねぇ!」

席につくなり、有永さんが間髪入れずに注文を飛ばす。

「あなごの白焼き、鴨肉、そばがき、芝海老揚げ、それから日本酒のお銚子を3本! あと、せいろ蕎麦は後で頼むからね!」
「えっ、昼からお酒っすか?」
「何言ってんのよ!これは接待!接・待!『大阪貿易様、新規お取引ありがとうございます~』ってね!」

店内では若女将が注文を唄いながら厨房に通している。
「なんか風情がありますねぇ。初めて来ました、この店。」

俺たちは、つまみの美味しさにやられてしまい、日本酒をおちょこでぐいぐい、差しつ差されつ。気がつけば、すっかり酔っぱらっていた。せいろ蕎麦を食べるころには、かなり、酔っぱらってしまった。

そういえば、有永さんは…新卒で第一東京銀行、そこからアメリカン銀行東京支店に転職、さらにドイツコマーシャル銀行東京支店を経て、今の四菱銀行国際部で働いている――らしい。俺の記憶が確かなら、の話だけど。

久保田さんもかなり酔っている様子。一方の有永さんは、店を出たところで例のPHS携帯電話を取り出し、いきなり大声でしゃべりだした。

「あ、ヒロちゃん!お宅の山ちゃん、しっかり接待しといたからね!こないだのエバンティ奢ってくれたお礼じゃないからねぇ~!」

どうやら相手は小川次長らしい。酔ってても声のデカさは健在だ。

その後、俺たちは四菱銀行に戻った。エントランスを通ると、国際部の同僚が久保田さんを一瞥し、ひと言。
「久保田、酒くせぇ。」

――のどかな時代だった。

結局、俺と久保田さんは2時間ほど応接室でグロッキーなまま過ごす羽目になった。

 

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「CB650R e-clutch」、注文通ってるかな。

 

これがプロの仕事。

 

2日目の火曜日は、久保田さんからの貿易全般や貿易書類についてのレクチャーだった。信用状統一規則や関連法令、学説、判例まで交えながら、懇切丁寧に教えてくれた。

3日目の水曜日には、実際に信用状開設依頼書を作成。作っている間、「ああ、これが本当のプロ商社マンの仕事か…」と謎の感慨にふけってしまった。

そしていよいよ4日目の木曜日。朝一番で、久保田副部長と一緒に大手町にある四菱銀行国際部へ向かう。 実際に俺が作ったL/Cのアプリケーション(依頼書)をもとに、SWIFT(スイフト)の電文を打ち込む作業を体験させてもらうことになった。
今回は輸出側の利便性を考慮し、通知銀行を「ANBアロム銀行」、通知経由銀行を四菱(advice through the Yotsubishi Bank Amsterdam branch)に設定。当然ながら、実際の信用状の発行は、別の役席者の承認が必要なため、海外送信は承認待ちの状態である。

SWIFT端末の前で、久保田副部長と椅子を2つ並べて一緒に作業していると、背後から「お、出来たか、出来たか」と有永副部長がニヤリと顔を突っ込んできた。

「よし、作業はいったんストップ!」と有永副部長は言う。時計を見ると午前11時ちょっと前。

 

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「CB650R e-clutch」納車、マジ来年か。

 

これが目に入らぬか~。

 

【エバンティにて】
店内の雰囲気BGS(音量注意!)

 

 

ジェイクさん、ビール3つお願いします!
「カシコ、マリマシタ」

今日はカウンターじゃなくて、奥のテーブル席に陣取った。
 

「まずは初日、お疲れさんだった!乾杯!」
「山本、初日はどうだった?」
「いやー、めちゃくちゃ勉強になりました。知らないことだらけで…!」
「でもさ、山本さんの『松茸輸入の話』、あれ笑っちゃいましたよ。」久保田さんがニヤニヤしながら言う。

え、そこ掘り返します?と思いながら聞いていると――。
「ああ、あの『釘入り注意』松茸のお裾分けの話か?」
「……はい、それです。」

どうやら、まずは俺の失敗談が酒のつまみになっているようだ。

 

久保田さんは新卒で四菱商事に入社して、マテリアル部で主に輸入業務を担当していたそうだ。その後、入社10年目で四菱銀行の国際部に中途入社。昨年、部長代理に昇格したとか。スペックが高めだ。
今は、品川区旗の台の実家から通勤しているそうだ。

 

パスタやパン、シーフードの蒸し料理をつまみにワインを飲んでいたら、ふとテーブルに人影が。
「あら、3人でお楽しみのご様子ね?」
「有永、副部長!」
俺が驚くと同時に、小川次長がカバンをごそごそ。

「え、次長、いつの間に連絡したんですか?」
そう問い詰める俺に、小川次長と有永副部長は見事なハモリで――
「これっ!」

ドヤ顔で四角い物体を差し出してきた。

「ピッチ(PHS Phone)じゃないですか!」
「そうよ、今どきの『ヤン・エグ』(ヤングエグゼクティブ)は携帯電話ぐらい持ってなきゃダメでしょ?24時間戦えます、てか~!」

 

どうやら、東京のできるビジネスマンは、携帯電話を持つ時代になってきたんだなぁ、と他人事の俺。

有永副部長、酒が入るとテンションが爆上がりするタイプのようで、声も大きいし、笑い声も豪快。店の他のお客さんがチラチラこっちを見ているのがわかる。
まるで、女版の取手 豪だ。

 

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「CB650R e-clutch」納車、マジ2025来年か。

 

消火活動

 

明けて月曜日。9:00の開店と同時に、久保田さんが颯爽と現れた。

「先方にリファンドメントボンド(返金保証)を出させたり、送金ベースで取引する方法や、パフォーマンスボンド(稼働保証)を付けて決済を安全にする方法も考えられるけど、今回は四菱銀行のアムステルダム支店が出荷まで完全フォローしてくれるので、オーソドックスなL/C(信用状)で進めましょう。」

彼の手元の資料を指差しながら話は続く。「実は先々週からアムステルダムに動いてもらっていて、フィリクス社からMRI Mutive 1.0T の見積もりをFAXで受け取っています。建値はUSD2,750,000 CIF TOKYO。」

「L/Cはtwo payment方式にしましょう。first paymentは船荷証券(B/L)に対して、second paymentは初芝病院の黒田副院長の直筆サインが入ったサート(証明書)に対して支払う形で。」

「つまり、黒田副院長のサイン入りサートがオランダから後日日本に届き、それを確認して代金を支払うということですね?」と、確認するように尋ねた。

「その通り。もっと厳密にするなら、副院長のパスポートや運転免許証のコピーを添付させる方法もありますが、今回のparty(当事者)は全員信頼がおけるので、そこまでは不要でしょう。」

こうして初日の月曜日は、机上で輸入の流れを図解したり、詳細を詰める作業で終わっていった。

夕方6時が近づいた頃、近くで耳を疑うような声が聞こえた。

「山本、久保田部長代理、二人とも頭から煙が出てるぞ。アルコールで消火しないと。」
振り返ると、小川次長がニヤリと笑って立っていた。
「…ええ、もう頭がショート寸前です。」
そう答えながら、俺たちは互いの顔を見合わせて苦笑した。気づけば腹も空いてきたし、消火活動には大賛成である。

 

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「CB650R e-clutch」納車、マジ来年か?

 

四菱銀行が殴り込み?

 

初芝病院を訪問した翌日、午後2時から来客の予定が入っている。四菱銀行国際部の有永副部長と久保田部長代理が来る予定で、小川次長が対応することになっている。
時計の針が2時を指す頃、インターホンが鳴り、しばらくしてから二人の女性が姿を現した。一人は、浅野温子を彷彿とさせるキャリアウーマン風。そしてもう一人は…強いて言えば「モナリザ」風味の地味な女性。正直、二人はなかなか対照的だ。

5分ほどすると、小川次長が応接室の扉を開け、私を呼んだ。呼ばれるまま応接室に入り、ソファに腰を下ろすと――
「アンタが山本?」
突如、甲高くヒステリックな声が飛んできた。振り向くと、浅野温子似の有永副部長が私を指さしながら詰め寄ってきた。

「初芝病院にちょっかいを出してるのは、あんたなのね!四菱銀行にケンカを売るとは、いい度胸してるじゃない!」
えっ、私何かしましたか?と慌てて言い返そうとしたが、彼女は容赦なく畳みかけてくる。
「何とか言いなさいよ!アンタね――」

その時、久保田部長代理が堪えきれず、うつむく。そして、小川次長も天井を見ながら笑いをこらえる。

「有永、冗談はそれくらいにしろよ」
小川次長がたしなめると、有永副部長は突然スイッチを切り替えたかのように、にっこり笑って名刺を差し出してきた。

「はじめまして~。四菱銀行国際部の副部長、有永で~す♪」
あまりに急なキャラ変に、こちらの頭も追いつかない。名刺を見てみると、確かに「有永 裕子」と書かれている。

一方、モナリザ風の久保田部長代理も続けて名刺を差し出してきた。「久保田 美智」と記載されているが、名刺に「通関士」という肩書がある。
「通関士…?銀行員なのに、そんな資格がいるんですか?」

「以前、四菱商事に勤務していたもので…。」

「そりゃ、すごい。あの、四菱商事ですか。」俺は思わずつぶやいた。

小川次長が笑顔で説明し始めた。
「有永は、俺と大学の同期で、俺と同じ慶応の経済学部出身だよ。それと、今回の初芝病院のMRI輸入プロジェクトを全面的に支援してくれるそうだ」

「まぁ、実際に手を動かすのはこの久保田ですけどね。来週1週間、彼女をこちらに常駐させますから、まあ、思う存分こき使って使ってくださいよ~。あと、当然のことながら、輸入信用状(L/C)の開設は、もちろん、うち(四菱銀行)でお願いしますわよ!」早口でまくし立てる有永副部長に、こちらはただただ圧倒されるばかりだった。
 

それにしても、これが四菱銀行のエリートたちの迫力といったところか…。

 

 

 

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