「CB650R e-clutch」、注文通ってるかな。店長忘れてないか?
隣のビルの名店
最終日(金曜日)
朝9時から。久保田さんと一緒に、発信前の輸入信用状のSWIFT発信文や関連書類を丹念に精査した。
結果、問題はなさそうで一安心。
お昼前には応接室で、松岡支店長と小川次長を前に、私と久保田さんで初芝病院の輸入案件の概要を説明することに。
松岡支店長は、珍しく終始ご機嫌。説明中も、まるでメトロノームのようにうなずき続けている。
説明が一通り終わると、支店長が満面の笑みで言った。
「久保田さん、一週間お疲れさまでした。おかげで山本にレベルの高い輸入案件を指導いただき、支店全体が一段とレベルアップするとおもいます。今後の取引についても、元住銀行さん一行取引を見直し、御行さんとも積極的に取引を進めたいと思います。安永副部長にもよろしくお伝えください。あと、御行の国際部長・榊原さんには、後日改めてお礼のご挨拶をさせていただきます。」
さらに松岡支店長は、続けて小川次長に指示を出す。
「小川次長、もし久保田さんがご都合よろしければ、隣の『美々卯(みみう)』で昼食を一緒にどうかね?」
それに応えるように小川次長がにっこりと。「いいですね!久保田さん、いかがですか?「美々卯」は大阪発祥のお店で、「うどんすき」がとてもおいしいんですよ!」
つい気が緩んだ私も思わず口を挟む。「そうそう、ほんとにおいしいんですよ!」
久保田さんも軽くうなずき、「では、ぜひ」と快諾。
昼食の席でも松岡支店長のご機嫌ぶりは変わらず、話が弾む。
それもそのはず、これが新生東京支店のスタート案件。支店長としても、しっかりとした手ごたえを感じたのだろう。
そんな3人を横目に、心の中でそっと思った。
「いや、今日の美々卯、いやにおいしく感じるな……」
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