オートバイをもう一度(61) | cb650r-eのブログ

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「CB650R e-clutch」納車、マジ来年か?

 

四菱銀行が殴り込み?

 

初芝病院を訪問した翌日、午後2時から来客の予定が入っている。四菱銀行国際部の有永副部長と久保田部長代理が来る予定で、小川次長が対応することになっている。
時計の針が2時を指す頃、インターホンが鳴り、しばらくしてから二人の女性が姿を現した。一人は、浅野温子を彷彿とさせるキャリアウーマン風。そしてもう一人は…強いて言えば「モナリザ」風味の地味な女性。正直、二人はなかなか対照的だ。

5分ほどすると、小川次長が応接室の扉を開け、私を呼んだ。呼ばれるまま応接室に入り、ソファに腰を下ろすと――
「アンタが山本?」
突如、甲高くヒステリックな声が飛んできた。振り向くと、浅野温子似の有永副部長が私を指さしながら詰め寄ってきた。

「初芝病院にちょっかいを出してるのは、あんたなのね!四菱銀行にケンカを売るとは、いい度胸してるじゃない!」
えっ、私何かしましたか?と慌てて言い返そうとしたが、彼女は容赦なく畳みかけてくる。
「何とか言いなさいよ!アンタね――」

その時、久保田部長代理が堪えきれず、うつむく。そして、小川次長も天井を見ながら笑いをこらえる。

「有永、冗談はそれくらいにしろよ」
小川次長がたしなめると、有永副部長は突然スイッチを切り替えたかのように、にっこり笑って名刺を差し出してきた。

「はじめまして~。四菱銀行国際部の副部長、有永で~す♪」
あまりに急なキャラ変に、こちらの頭も追いつかない。名刺を見てみると、確かに「有永 裕子」と書かれている。

一方、モナリザ風の久保田部長代理も続けて名刺を差し出してきた。「久保田 美智」と記載されているが、名刺に「通関士」という肩書がある。
「通関士…?銀行員なのに、そんな資格がいるんですか?」

「以前、四菱商事に勤務していたもので…。」

「そりゃ、すごい。あの、四菱商事ですか。」俺は思わずつぶやいた。

小川次長が笑顔で説明し始めた。
「有永は、俺と大学の同期で、俺と同じ慶応の経済学部出身だよ。それと、今回の初芝病院のMRI輸入プロジェクトを全面的に支援してくれるそうだ」

「まぁ、実際に手を動かすのはこの久保田ですけどね。来週1週間、彼女をこちらに常駐させますから、まあ、思う存分こき使って使ってくださいよ~。あと、当然のことながら、輸入信用状(L/C)の開設は、もちろん、うち(四菱銀行)でお願いしますわよ!」早口でまくし立てる有永副部長に、こちらはただただ圧倒されるばかりだった。
 

それにしても、これが四菱銀行のエリートたちの迫力といったところか…。

 

 

 

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