■千葉県動物愛護センター見学
東京以外の地域の現状を知るため、千葉県動物愛護センター
の見学へ。
参加者は、私とスタッフ10名の総勢11名。
東京都はセンター収容動物の譲渡に関しては、現在、登録団体が14団体あり、譲渡事業が進んでいる。
その背景には、収容犬の半分が小型犬であり、保護場所を確保しやすく再譲渡(里親さん)先を見つけやすいこと、子犬の収容が少ないこと、収容数(捕獲・持込)自体が他県よりも少ないこともあるだろう。
猫の譲渡については、犬ほどは進んでいない。
成猫の里親探しは時間がかかること、収容される子猫は生後2ヶ月以下で乳飲み子も多く育てることが困難であること、状態の悪い子も多いことなどがある。猫のボランティアに関わっている方々は、普段から地域猫活動(野良猫の避妊去勢、遺棄された猫の保護等)を行っている方が多く、必然的に自分たちの住む地域での活動がある。地域猫活動があるからこそ、センター収容される猫たちが、現状の数に留まっているともいえる。
千葉県の収容動物の現状はどうだろうか・・・・。
センター訪問は午後1時。
最初にセンター事業について担当者の方からご説明をしていただいた。
質疑応答も含めて、約30分。
収容・引取頭数は年々、減少しているとのこと。
平成8年の収容・引取頭数に対しての致死処分数は、犬18,118頭、猫11,473頭
平成17年の収容・引取頭数に対しての致死処分数は、犬7,017頭、猫7,856頭
しかしながら、この期間の譲渡数は、ほぼ横ばいで、平成17年の譲渡数は犬385匹、猫171匹。
1割にも満たない。
詳細は犬・ねこの致死処分の現状
を見てください。
平成19年度(2007年4月)から、団体・個人ボランティアへの譲渡
に門戸が開かれた。
今年度は既に登録団体・個人への譲渡が、犬30頭、猫308頭が行われているとのこと。
ほとんどは子犬・子猫であるが、センターで一般譲渡できなかった子たちの命が繋がっている。
説明の後は、施設の見学。
●譲渡用に保護されている子猫たち
スタッフのあいだからも「可愛い~」との声があがる。
未来を掴んだ子猫たち。
写真に撮れなかったが、処分待ちの子猫たちは別の部屋に置かれていた。
まだ生後1ヶ月ちょっとの子猫たち3匹の姿が見えたが、この子たちは今日の子猫の引取頭数が多ければ、夕方5時くらいに処分するとのこと・・・・。
●収容犬舎
収容犬舎の入口には、マイクロチップリーダーが設置されている。
犬舎に入れる前に必ずここを通すとのこと。
2006年6月~導入して、今までマイクロチップを装着していたのは、犬1頭のみとのこと。
収容犬は首輪がついている子も多く、元飼い犬だと思われる子も多いそうだが、収容されて家に戻れる子は、ほとんどいない。
マイクロチップが入っていれば、戻れたかも知れない。
当会では、2006年12月~すべての保護犬猫にマイクロチップ装着をすることにしたが、未だに、必要ない、可哀想、異物を入れたくない、そんなことで管理されたくない、うちの子は絶対に大丈夫だから入れない・・・・様々は声を聞く。でも、犬猫に絶対の安全などない・・・・と私は思っている。
思いもよらない事態が起こることもあるし、地震などの災害があれば、どうなるのか。
そして、犬たちが収容日ごとに入れられている犬舎。
1部屋・1部屋がとても広い。
千葉のセンターでは、子犬も小型犬も中型犬も大型犬も、収容日によって、同じ犬舎に入っている。
東京のセンターでは考えられないことだが(子犬・小型犬用の犬舎があり、個々にゲージに入っており、中型・大型犬も出来る限り、1頭1頭が、別の犬舎やゲージに入れられている)、それだけ収容数が多く、個別管理が難しい環境なのである。
入口の手前から新しく入って来た子たちの部屋になっている。
・7月5日収容の子たち(7月11日期限、12日処分)
どの子も静かでおとなしい。
餌箱の中にいる子犬は、生後2ヶ月くらいだろうか。
こんな小さな子が収容期限まで、ここで生きられるのだろうか。
・7月4日収容の子たち(7月10日期限、11日処分)
とても人懐こいセッター。人が通るとこうして傍にくる。
パピヨンがいた。ずっとこうして部屋の隅にじっとしている。
怖くて動けないんだろう。
・7月3日収容の子たち(7月9日期限、10日処分)
負傷犬のため、別の部屋にいた。
・7月2日収容の子たち(7月6日期限、10日処分)
ラブラドールの後ろにいる茶色の子たち、まだ生後7~8ヶ月くらいだろうか。
人を見ると尻尾を振って近づいてくる。
このラブラドール♀は、とても性格もよく温和そうな感じ。
今まで何頭も子犬を産んだようだ。
この子たちがいるのは、最終日の犬舎だ。
センターの処分日は、月曜以外の平日(火~金)とのことで、この最終部屋にいる子たちは、10日(火)の朝、処分に送られる。
この部屋には、午後遅くに、回収車で送られてきた子たち、3頭が追加で入れられた。
1頭は両目が白内障で真白。若い収容犬が近づくと、雰囲気を察してか唸った。
1頭は、高齢犬だろうか。若い収容犬たちに追い立てられて、体をガクガク震わせながら、部屋の隅に立ちつくしている・・・・。処分の火曜日まで、辛い時間を過ごすことに涙が出そうになる。
・隔離中の子犬
引取希望のある子犬は、別部屋に隔離され、2週間の検疫がある。
パルボの感染を完全に避けられないため、感染して死亡する子犬も少なくないとのことだった。
この子の命が繋がりますように・・・・。
●処分施設
収容犬舎を見たあとは、処分施設の見学。
写真撮影は禁止だったので写真はないが、処分施設に入るなり、焼け焦げたような臭いがしている。
最終日の部屋にいる子たちは、通路を通って処分機に誘導され、そのまま炭酸ガスにより致死処分となる。
処分機の中の犬猫は、大きなバスタブのようなステンレス製の箱に落とされ、焼却炉へ。
炭酸ガスによる致死処分は、苦しみを伴う処分。
酸素が無くなっていくことに苦しみながら、10~15分くらいは存命する子も多いとのこと。
今日見た子たちのほとんどが、もう来週には、この世にない命。
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センターに行って、今日ほど、自分の無力を感じた日はなかった。
今の私たちには、今日センターで会った子たちの命を繋ぐことが出来ない。
今日見た光景が、明日もあさっても、1ヵ月後も2ヵ月後も、延々と繰り返されているのである。
東京都のセンターであれば、当会は小型犬であればどんな子でも引取る気持ちでいるので、高齢や状態の悪い子であっても処分に送られる子たちは、ほとんどいない。
中型犬・大型犬は、大きい子を積極的に引き受けてくださる団体があるし、特定犬種のレスキュー団体もある。
それでも処分に送られる子もいるが、命を繋げるバックヤードの存在は大きい。
しかし、収容犬のほとんどが中型犬以上のMIX犬たちであり、その子たちに手を差し出す前に、子犬の処分持込が多く、子犬でさえ、引受先がなくて処分に送ることもあるという千葉県のセンターの現実。
どんなに性格の良いMIX犬がいても、保護場所や里親探しの問題を考えると、子犬優先の引取りになり、成犬にまでは、なかなか行き着かないだろう。
子猫の収容も多く、この日は回収車で運ばれてきた子猫は36匹。
先に収容されていた子猫3匹とともに、39匹が処分された。
多い日は50匹の子猫の処分があるという。毎日繰り返されている・・・。
成犬・成猫だからこそ、引取りたい。
人間から酷い扱いを受けていても、最期まで人間を信じ、尻尾を振っている子たち。
迷子になっても家に戻れず、飼主の迎えもなく、収容犬舎で恐怖に震える子たち。
使い捨てのモノのように遺棄されて収容された子たち。
病気になっても適切な治療を受けられず、挙句に遺棄・処分持込される子たち。
この子たちに、新しい幸せを見つけたい。
そう思っていても、片方には子犬がいて、子猫がいる。
同じ命を天秤にかけて、どちらかを選ばなくてはいけないとなれば、それは人間都合ほかならない。
でも、続けていかなければならないのだ。
千葉県のセンターだけではなく、他県の現状も同じだろう。
開かれた門戸。 しかし、厳しい現実。
私たちに何が出来るのか、それをこれから考えていきたい。
困難だとあきらめずに、1匹ずつでも繋げる命があれば、ゼロではなく1+1+1・・・・だ。
この現状を1人でも多くの方に知っていただくために、発信できることがあるはず。
現状を変えたいという気持ちがあれば、たとえ少しずつでも前進する。
見学に行ったスタッフの方々のブログにも、千葉のセンターについて書かれている。
胸にグッとくる叫びがある。
どうか読んでください。
・小梅さん
・えむこさん
・おはぎさん
・ansakuさん
・pruuさん
・ペリさん
・かにさん
・kotajijiさん
・ナツママさん