連投ツイートしようと思って書いていたのですが、あまりに長くなったので、やっぱりブログに記すことにします。


▼「格差拡大」と「自己責任論」がいかに経済を停滞させ、逆をやれば経済成長するか、の「メモ書き」。(一段落140文字しばり)


経済協力開発機構(OECD)や国際通貨基金(IMF)の研究者は、所得や富の格差が経済成長に悪影響を与える可能性を示す。
両者は低所得層は教育投資を減らすのでマクロでの慢性的な経済停滞に繋がる、その対処として社会保障費を増やすことは成長を阻害しないと結論付けた。


ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマンは「格差が社会の足を引っ張る」「格差是正と経済成長の間でトレードオフはない」「供給サイド経済学の理論は格差を拡大させるための言い訳にすぎず、経済成長には資さない」また「格差は作られた」とし、これらがすでに主流の考え方になっていると説く。


ピケティは 民間財産の分析から、経済成長率の低下によって資本収益率が経済成長率を上回り、その結果として格差拡大が持続すると結論づける。
有名な「r>g」の不等式がそのシンプルな答え。
現在ではその相関関係から格差拡大が経済成長の鈍化を招くという議論も進む。


ノーベル経済学者のスティグリッツは「格差は政治的かつ社会的な不安定さを高める。格差が経済成長の低下、経済的不安定性の拡大につながることは、IMF内部も含め広く認識されてきた。格差拡大で需要が減少し経済が低迷すると、富裕層は再分配を阻止する為政府権限を制限しようとする」と語る


国民所得Y=消費C+投資I+政府支出G+(輸出X-輸入M)
これはY=国民所得(GDP)を導く計算式
日本はC+I+Gの内需が85%、X-Mの外需が15%の国で、貿易はGDPにそれほど寄与しない
でも今は内需側のCもIも増えない。だからYを増やすにはGを増やすしかない。


消費Cは限界消費性向(人々が所得のどれほどを消費に充てるか)に依存する。
誰かの消費は誰かの所得。所得が増えれば増えるほどGDPは増える。
そして限界消費性向は低所得者が増えるほど下がる。
格差が拡大するほど国全体の消費は減り、格差が縮小するほど増える。


ノーベル経済学章受賞者のスティグリッツは「下層から上層へ金を移動させれば、消費は落ち込む。なぜなら、低所得者より高所得者のほうが、所得に占める消費の割合が少ないからだ」と説明する。
竹中平蔵でさえ認めているように「トリクルダウン」など起こらない。


究極言ってしまえば弱者が死のうがどうだっていい、だって俺じゃないから。
だけど誰かが貧乏になると俺も貧乏になる。誰かの消費は誰かの所得。
ネオリベは自己責任論で格差拡大を進め、我が国の経済発展を邪魔すんなよってこと。
情けは人の為ならず。



自分は金儲けが得意だとして自己責任論にハマり、他人を努力が足りないと見下しているネオリベ富裕層はバカだということになる。
タックスヘイブンで脱税し、下請けや社員にまともな報酬を払わない守銭奴の経営者はマクロ経済オンチであり、我が国の経済発展に寄与しないと言える。


「合成の誤謬」という言葉がある。
家計において倹約は良しとされるが、国家財政において倹約は良しとされない場合も多い。
ミクロで見て良いことでもマクロでは悪いことになる場合もある。
例えば、国家財政においては「無駄を省く」ことは「GDPの減少」を意味する。


多くの人間は家計や企業会計と国家財政を混同している。
独立国には中央銀行という「打出の小槌」があり、過度なインフレにさえならなければ通貨供給量を増やすことができる。
格差を縮小させるため社会保障分野に政府支出Gを投資し、国民の消費を促し、景気浮揚させなければならない。


政府支出Gを投じると乗数効果・波及効果を得ることができる。
国民の所得が増え、消費支出も増大し、GDPが倍増する。倍々ゲームだ。
新規国債を発行し実体経済に通貨を供給しなければならない。
「国民の借金1000兆円」のデマに騙されてはならない


安倍政治の問題は金融市場にだけマネーを供給し実体経済には支出しない点。
金融市場に通貨を供給し続けるとバブルが発生する。
バブルはいずれ弾け不況を生む。
不況になると低所得者ほど打撃を受け、再び格差が拡大するという悪循環に陥る。


2015年、ピケティは「不動産や株の値をつり上げてバブルを作ることは良い方向とは思えない。特定のグループを大儲けさせることにはなるだろうが、それは必ずしも良いグループではない」と警鐘を鳴らしている。
特定のグループとは、アベノミクスを進める黒幕のことだ


実体経済にマネーを還流させなければいけない。
金融資産を持つ富裕層などは放っておいても勝手に経済活動を続けるので、法人税減税などの優遇政策をやる必要はない。
むしろ税の累進性を高めることに利用する程度でよい。
不平等と格差を解消しない限り真の経済発展はない


子供の7人に1人が貧困、母子家庭の平均年収は180万、1人親世帯の貧困率は50%を超えOECDでワースト1位。
この20年で可処分所得は297万から245万円に激減、エンゲル係数や貯蓄ゼロ世帯は激増。
ところが日本は政府支出伸び率世界最下位。
自己責任国家ニッポンの正体


この経済状況に対し、自民党は「自助・共助が必要」とし「美しい国」を目指す。
政府支出を絞り、市場を自由放任し、狡賢い強者が弱者を食い物とする自己責任国家を目指す。
格差は意図的に作られたのだ。


マンデル・フレミングの法則とは固定相場制では財政出動が、変動相場制では金融政策が有効とされる理論。
MF理論に沿うように、1973年に終了したブレトン・ウッズ体制では財政政策を中心に、変動相場制下のワシントン・コンセンサス体制では金融政策中心に行ってきた。


80年代、新自由主義・マネタリズムの生みの親フリードマンの理論を、レーガンやサッチャーらは採用。
貨幣供給の増加率を一定に保つことで景気安定させ市場の自由に任せるべきとし、金融緩和を縮小、規制緩和を進め、財政政策も止め緊縮財政に陥ってしまった。
結果、わずか数年で不況となる。


ワシントン・コンセンサス体制では金融政策(主に金融引き締め)に加えて新自由主義政策を進めた。
90年代にはIMFが中心となり途上国に市場原理主義・規制緩和(公営施設の民営化)・市場の自由化・緊縮政策を押し付けた。
結果、格差が拡大し不況となる。


2009年、G20にて英ブラウン首相が「ワシントン・コンセンサスは終わった」と言明。
日本でも90年代からワシントンコンセンサスの潮流に乗り、緊縮財政と規制緩和を続けた結果が「失われた20年」として現れていた。
ところが、間違いが確定した現在も日本はこの愚行を続ける


リーマンショック後の2011年、米国ではウォール街を占拠せよ(OWS)と称される大規模デモが行われたが、日本では「反格差デモ」としてしか伝えず、なぜウォール街なのかを無意識化した。
米国人は格差と不況の原因が銀行家である事を知る。
日本人は家畜として生きる過程で考える力と知識を奪われた


日本人は70年かけて洗脳された。
貴方の生活が苦しいのは政府の責任なのだ。銀行家の仕業なのだ。
彼ら特権階級の帰依するカルト宗教が新自由主義や自己責任真理教となるが、その教義が自己啓発本などを介してビジネスパーソンに流布された。
国家に寄生するカルトのデマに騙されてはいけない。